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教育
トランスクリプション
00:00我々は我々の哲学的思考において人類の公牧なのである
00:09フッサールが生涯をかけて打ち立てた幻想学
00:15その哲学は現代にも有用なものとなりうるのでしょうか
00:24最終回は幸福についての哲学対話を通して
00:28幻想学の実践に挑戦します
00:32人間ってどういうものなんだみたいなことにも近づいてきますね
00:37おっしゃるとおり
00:38100分で名著司会の安部道子です
00:55今月は哲学者フッサールの聞き書を読み解いてきました
01:12いよいよ最終回ですね
01:14そうですね
01:15なんとか先生のおかげでここまで来ましたね
01:19かなり難解な本ですけど
01:21チャレンジでしたね
01:22やっと楽しみと思えるところまで来ました
01:25最終回もよろしくお願いします
01:26司南役は哲学者の西謙さんです
01:29西さんよろしくお願いします
01:31よろしくお願いします
01:32今回応用編なんですけれども対話をしながらそこから合意を作り出していく本質監修という減少学の手法があるんですね
01:47でこれは私たちが生きてくうえでもなかなかに有用だと思うのでこれをやっていきたいと思いますでは早速本質監修とは何かからご覧ください
01:59目の前にコーヒーカップがあります
02:03このカップそのものつまり対象は自分の意識に現れて体験されるものです
02:11そのため現象学では主観という意識体験の場に立ち戻り自らの体験を掘り下げて考えます
02:22フッサールは体験を反省してそれらに共通する本質を取り出すことが大切だと考えこのプロセスを本質監修と呼びました
02:36例えばこの机の近くという例から出発して机という近くの対象を全く自由な任意によって変更する
02:50しかしそれでも知覚は何かについての知覚のままである
02:58その形や色などを全く任意に変えて想像することを始めるにもかかわらず
03:07私たちは知覚的現象という点を同一のものとして保持する
03:13こうしてあらゆる事実性から解放された知覚の一般的類型が知覚の軽装となる
03:23例えば私たちが日常的に用いる椅子についての本質監修を試みると
03:34形を変えたり色を変えたり素材を変えてみたり
03:40ありえそうな様々な椅子のバリエーションを思い浮かべます
03:47その中で絞り込まれたエッセンスが椅子の本質なのです
03:52こうして椅子とは何かという問題意識を深く掘り下げることで椅子の持つ本質を取り出せるのだとフッサールは考えました
04:05椅子の本質の話は分かりやすいですね
04:10別に赤い椅子を思い浮かべてその赤いが椅子の本質じゃないのは別に緑の椅子だろうが黄色の椅子だろうがいいわけで
04:18そうすると椅子の足が4本あるのは割と本質かと思ったら別に3本でも1本でも椅子だからってなっていくと座るためのものだっていうことはとても大事だったりとかでどっかで本質が見えてくるとちょっと面白くなってきましたね面白くなってきましたねはい
04:36本質を取り出すというのはさまざまな具体例を想像してみるそして具体例に共通するものつまりエッセンスを言葉にして記述するということなんですね。
04:50もともとじゃあ本質ってどっから来てるかというとこれあの価値について問うところから来てるんです古代ギリシアにソクラテスという人がいたソクラテスはですね勇気ってそもそも何?とか正義ってそもそも何?っていうようなことをですねアテネの市民たちと対話してたわけですよね
05:13具体的に言うと戦場で逃げずに戦うみたいな例もソクラテス挙げてますけど病気に負けないでちゃんと生きるっていうことも勇気の例とかとしては出してるんですがそれら全てに共通するものを言葉にできれば勇気のエッセンス勇気とは何かっていう一番確信に応えられるだろうこういうふうに考えたんですね。
05:39でそれから2000年以上もたってフスアルっていう人がその本質を取り出すための具体的な方法を提示したそれが本質監修の方法といわれるものですでこれ考えると何がいいかというと何でそれ大事なの?大切なの?で大切だったらそれを自分たちも大事にしていこうじゃないかっていう何で大切なのかをつかむってことは生き方を考えたり社会を考えたりと考えられます。
06:09より良い方向に持っていったりするってことにつながっていくわけですこの本質監修を西さん普段から授業などで行ってらっしゃるんですよねはいそうですこれやってみると学生もすごく面白がってこんなにも自分の感じてることと相手の感じてることが同じなんだってびっくりすることもあれば逆にえっこんなに違うの?っていうびっくりすることもある
06:39まずは問題意識を共有する知りたいこととか考えたいことを出し合うですねそしてテーマについての多様な体験例を出し合う体験例の共通項を抜き出す
07:09してって共通項を考えるんだけどやっぱしいろんな人の同じテーマについての感触を聞く方が面白いし視点も広がりますよねうん
07:39でそこに共通する特徴ってないかなっていうのを考えてって最後に幸福ってこうなんじゃないかっていう定義までいこうとはい素朴なものでもいいしもう胸震わすものまでバリエーションはどんなものでもはいOKですけれど何か何ですかね直感的においしいご飯を食べるだったんですね
08:09ちょっと限定していわれてもおいしいご飯を食べてる1人で食べてる後ろめたさみたいなのもあるねんだから上さんとおいしいご飯を食べてるはめちゃくちゃ幸せ私あの干した布団のあったかい布団に入って眠る前ほんとにあったかくて気持ちのいい布団に入った時何でも思いついたのいい仕事をしたあとのお風呂をはい
08:38いい仕事というのは多分ねそうなんだよねそこ対になっててあのお風呂入っててもう何かこう仕事に対する後悔みたいのがあると例えばクイズ番組でできないのはしょうがないけど一回も回答ボタン押してなくて帰る時とかあるそういう時の風呂は逆に何かこう嫌な感じになってくんだよね反省会みたいになっちゃうはいはいいい仕事の後のお風呂これがいいんだねうん
09:08出産でしょうかねやっぱり生まれたての子供の指を握った時とか言葉なく涙出るような感じですよねなるほどなるほど幸福ですし
09:24あとテレビ見てますよとか100分で明朝見てますよとかあとそれラジオ聞いてますよっていうのを言われるのうれしいですねはいはいはいはいはいはい番組の感想をもらったり番組の感想ああまあでもいい感想ねお世辞じゃないお世辞じゃない本音のいい感想本音の感想ねなるほどいいですねいやでもなんかちょっと見えてくるような気がするわ
09:54じゃあちょっと次にこれらにちょっと共通するものを完全に共通しなくてもこの辺だけに共通してるでもいいのでなんか出してみませんかでもささやかであるっていうのは大きいかな若い頃に感じてたようなすごく高額を手に入れるとかそういうことじゃなくて大金持ちになるとかじゃなくてささやかな
10:24考えるとちょっと後ろめたくなったりとかするようになったね年取ってなるほど私も布団もですねやっぱり1日頑張った後の布団なんですよこれああそうだはいはいはいはいはいこの3つすごい共通してるなと思ってなるほどなるほどあれの何て言うんでしょう充実感を味わいながら入ったっていうことなんですうんうんうんうん充実ですかね充実のさらに寝どいになっちゃうのかもしれないんだけど
10:54楽んでくれてるっていうことがまあまあ僕はでかいかもこれもパートナーが喜んだとか笑顔とかその共有できる人がいるっていうことのうれしさなんじゃないか他者が喜んでくれるっていうのがやっぱりでかいような気がするなあはい私もご飯もありますけどこの子供に関してもご飯に関してもやっぱ感謝もあるんですよありがたいなあと思う感じっていうんですからねなるほどなるほど自分一人ではできないことだけども
11:24こんな幸せをありがたいなあってどういう言葉で言うんでしょうねはいはいいやこれ話してて面白いなと思うのはこうやってこう自分の意見を補正してたりとかすると同じようなケースだけどこうだと幸福じゃないなってなってくることでも何かちょっと見えてきますねみんなで話しているとね番組の本音は欲しいんだけど別に辛辣な批判が欲しいわけじゃないから
11:54じゃあちょっとこれをまたさらにもうちょっと絞っていこうと思いますねそうするとまあささやかなのっていうのはまあみんなに共通してたけどささやかでない場合も一応ありうるありうるのでそうするとまずあの充実してる充実してるっていうことはえっとなんか満たされてるっていうことですね
12:24その時には不安がない暖かい布団で寝る時いい仕事のあとのお風呂だからここには充実とかこういうところなんですけれども幸福体験がある時にはここにはね満たされてる満たされてる不安がないってことですよね大きいですねねっ
12:53でももう一つちょっとすごく質が違うものはこっちですよねありがたいね満たされてるだけのこともあるかもしれないけど同時にこれがありがたいなこんなことをやってられる自分の境遇って暮らしってなんか恵まれてるなありがたいなっていう感謝の感じが入ってますよね
13:21で両方そろってる内でこっちだけのこともある満たされてる場だけのこともありますけど両方がつながってる場合も結構ありますよねじゃあ一応これをもとにこの2つから定義をしてみると
14:21満たされるような暮らしができるってなんて恵まれててありがたいことなんだろうっていうこの振り返ってありがたいって考えるだからこのありがたいっていうことをこう同時に感じるってところに何か人間の人間らしさみたいなところがあるような気がしますよね面白いですね出た答えをでもこれは動物は感じること感じないことってやってくと
14:51あれもおっしゃるとおりでこの本質監修やっていくと結局人間ってどんな生き物なんだろう人間って何を求め何に苦しみどんな人間って人間ってどんな生き物なんだろうっていうことに必ずつながっていきますへえ
15:09テーマなんですが他にもこんなものがあるそうです嫉妬ですとか恥ずかしさ不安そして愛とか喜び憎しみなどこれら感情ですよねそして活動の良さ社会的な意義正義などの理念などなど
15:26ぜひ皆さんもやってみていただきたいですね基本的にはですねやっぱどんなテーマでやってもこの人間とは何かっていうところをちゃんとこうもうちょっとこう仕上げていくと人が充実して生きることのヒントになったりとかまた困ってる人をどうサポートするといい支援になるのかっていうようなそういうのに役立つような現象学的な人間論みたいなものができる作れるんじゃないかなっていうふうに思ってますね
15:56学校でいい先生ってどういう先生っていうのを先生勇気を持って生徒だけでこの体験をしてほしいよね何かとてつもない先生で思わなかったこととかが出てくるかもしれないしね。
16:11さあではここで再び聞き書に戻って本がたどった数奇な運命見ていきましょう。
16:18フッサールがなくなる1938年
16:27ヨーロッパではナチスが領土拡大に乗り出し 故国オーストリアも併合されてしまいます
16:35孤独と絶望の中でフッサールは聞き書第3部を書き継ぎます
16:44しかし完成させることはかなわず 病に倒れました
16:53それから4ヶ月後 ベルギーから哲学を学ぶ学生
17:00バンブレダがフライブルクのフッサール家を訪ねます
17:05晩年発表できなかった遺構があるという噂を聞いて それをナチスの手から守るためにやってきたのです
17:16通された書斎には4万ページを超える膨大な量の装甲や論文書籍が未整理のまま残されていました
17:29バンブレダは装甲をトランク3つに詰めるとひそかにスイス国境の修道助宿車へ運び込みます
17:39さらに数ヶ月をかけてトランクはベルギーのルーバン大学に輸送されました
17:48救い出された遺構は研究者たちの手で長年にわたって整理解析されてきました
18:00それらをもとに戦後全周が少しずつ刊行され フッサール研究の大きな手がかりとなっています
18:11危機書第3部も奇跡的に残された遺構の一部なのです
18:18我々はごく一般的に言っても
18:26人間の哲学的思考やその結果が
18:30全人間生活において
18:33決して単なる私的な目的とか
18:37その他の限られた文化目的という意味しか持たないようなものではないと知っている
18:43したがって
18:45我々は
18:47我々の哲学的思考において
18:50人類の公募なのである
18:53人類の真の在り方は
18:58目標を目指す存在としてのみ可能なものであり
19:00そしてもし
19:02およそその実現が可能であるならば
19:05それは哲学を通じてのみ実現される
19:12支配したい人は独裁したい側はこの考え方は邪魔ですからね
19:25恐らく救出されなければ焼かれていたでしょうね
19:31フッサールは独自の即帰法を身につけていて
19:36そして考えることと同じスピードでかけたっていうんですね
19:40なのでものすごく大量の実質の即帰があったんです
19:46で実際その今前週は40巻余り出てるんですけど
19:52その大半が生前に未交換だった
19:56自筆即帰を起こして作られてるんですね
20:01ですからバンブレダの果たした役割ってものすごく大きいですよね
20:07そしてVTRにもありましたこんな文章でしたね
20:12我々は我々の哲学的思考において人類の公木なのである人類の真の在り方は目標を目指す存在としてのみ可能なものでありそしてもしおよそその実現が可能であるならばそれは哲学を通じてのみ実現される
20:34この哲学っていう言葉をフッサールは広く取ると学問全般のことも哲学って言います
20:42つまり学問をする人っていうのは自分の単なる私的な目的だけをやってるんじゃないよねって
20:51やっぱり何か社会人類に本当の意味で貢献することをやろうとしてるよね
20:59これ人類の公木ですよね
21:01でその際に人類の真の在り方って言ってますけど
21:05人類の本来の在り方っていうのは
21:07どういう社会やどういう文化の在り方を目指していったらいいのっていう
21:11やっぱりそのことを目指さないと人類としてはダメだんだと本来ではない
21:18もしそれができるんだったらそれは哲学を通じて
21:23こっちは狭い方の哲学だと思います
21:26つまり幻想学のような学問によって
21:29ここは共有できるんじゃないのっていう理念を作って
21:34その目標を目指す
21:35その時に初めて人類っていうのは本来の在り方になるんじゃないのこんなふうにフッサールは言いたかったんだと思いますねフッサールがその科学や物理みたいな学問がいらないつってるんでもないし
21:52何かその中で客観主観の両輪もそうだし科学とそれから人の気持ちみたいなものの両輪もそうだしそこを総合した哲学ができるんならばそれが人が良い世界に生きられるようになるっていう
22:12はいもう全くおっしゃるとおりだと思います自分たちがこういう法に社会を向けていこうねっていう理念が作られてそれを現実に動かしていくためには実証科学がやっぱ必要でこの両方がまさしく両輪となって連動していくフッサールが考えた新しい学問の形っていうか本来の学問の形だったんだろうと思います
22:39いやフッサールの現象学いかがでしたかたどり着きましたねいやでも本当に先生のおかげなんですけどもなんとかついていくこともできたし自分なりの考え方もできたし難しい本なのはよく分かってますけど難しいって悪いことばっかじゃなくてその難しい本を多分これからゆっくり読んでいくとやっぱり理解の深さはでかくなるって思うんで道しるべはいただきましたのでありがたいです西さんはいかがでしたか
23:06はいあのやっぱり本質監視ってそれぞれの人の思いを尋ねるみたいなことがやっぱり鍵だと思うんですよその中からあっここは本当に人としてやっぱ共有できるよねとか人としてリスペクトできるよねっていうようなそういう感覚が育ってくるととてもよいものなのでなのでぜひですねちょっとこの何々とは何かを問う哲学対話っていうのを皆さんもちょっと試してもらって他者とは自分の考え方を考えてくださいね。
23:38そういうことを考え続けていっていただきたいと思います
23:42西さんありがとうございました
23:44ありがとうございました
23:45ありがとうございました

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