プレイヤーにスキップメインコンテンツにスキップフッターにスキップ
  • 一昨日

カテゴリ

📚
教育
トランスクリプション
00:0082年前にある薬剤を打たれた人の 肝臓の一部です
00:22今なお自然界の10倍を超える 放射線を放っています
00:28その原因は戦前に開発された薬剤 トロトラスト
00:38去年夏 長崎大学でそのトロトラストを打たれた人たちの 未公開資料群の存在が明らかにされました
00:51知らないままだったという人もいるんじゃないでしょうかね
01:00時を超えた調査で見えてきたのは 埋もれた大勢の被爆者の存在
01:08多くの人が被爆の影響と分からないまま 癌を発症し亡くなっていました
01:26ちょっと待てよ
01:27さらに遺族や元官僚など50人を超える 当事者への取材から浮かび上がってきたのは
01:36国の思惑でした
01:38広島 長崎への原爆投下
01:57福島第一原子力発電所の事故
02:03何度も被爆の脅威にさらされてきた日本で
02:07なぜトロトラストによる被害は 埋もれることになったのか
02:14この国で忘れ去られていった被爆者たち
02:19命の記録です
02:32私たちが取材を始めたきっかけは去年夏
02:36ある薬剤で被爆した668人分の 未公開資料があると聞いたことでした
02:43立ち入りが厳しく制限される 長崎大学の資料保管室
02:52こちらがトロトラスト賞の資料部になります
02:56中見ていただくと非常に精緻に記録が取られていて
03:00最も数も質的にも多くてですね
03:03他に類を見ない貴重さがある
03:06放射性物質が主成分の血管造影剤
03:13トロトラストを注射された人の カルテや臓器標本など数千点
03:21人が一度に全身に浴びれば死に至る染料が 測定された臓器もあります
03:28資料群の大半はトロトラストの実態を調査した 国の研究班の記録
03:40多くは研究班員だった 森武三郎医師が収集しました
03:49森武三郎医師と共に研究してきた福本学さんが引き継ぎ
03:57定年退職を機に長崎大学に託しました
04:01まず犠牲になった方がおられると
04:13それを集めた情熱を持った方がおられたと
04:19自分は解析を少しなりともしたわけですけども
04:25やりきれなかったことがたくさんある
04:28これはやはり財産であって
04:32ここからできるだけの抽出
04:34何か知識なり知見なりを絞り出さないと
04:42福本さんと長崎大学の黒浜ひろかずさんたちは
04:46チームでトロトラストによる 被爆の実態を調べることにしました
04:52さっきより見てその中心へ向かっているところは
04:56そこから出ているってことは言える
04:581930年にドイツで作られた欠陥造影剤トロトラスト
05:14当時雑誌に掲載されていた広告が見つかりました
05:22最も優秀なる造影剤なり
05:26絶対無害無痛
05:30急性の副作用がほとんどなくて非常にコントラストの良い造影剤だったというふうに言われてますのでベネフィットの有用性という面では非常に高かったのではないかなと
05:48トロトラストはX線撮影の診断精度を高めるために人体に注射されました
06:00CTやエコー検査が導入される以前
06:06血管や臓器を移す造影力に優れ
06:10急性の副作用も少ない画期的な薬剤とされていました
06:16しかし
06:22明らかにこのトロトラストの方から出ている放射線ということになります
06:30トロトラストの主成分は放射性物質の二酸カトリウム
06:37半減期は140億年
06:40今なお放射線を出し続けています
06:46トロトラストは誰に使われていたのか
06:55初期に注射されたという人の遺族が見つかりました
07:00失礼します
07:04千葉和子さんとたけしさん夫妻
07:10和子さんの父親がトロトラストを撃たれました
07:14三宅岩尾さん
07:26日本陸軍の上等兵でした
07:28三宅岩尾さん
07:30ここを撃たれて手術しとるけ
07:34ここがゴボっと
07:35二十三歳の時
07:40戦場で上半身を負傷した三宅さん
07:44傷の具合を見るためトロトラストを注射されたといいます
07:53後にその時の様子について
07:58三宅さん自らが語った音声が残っていました
08:02トロトラストを最初に持ってきて
08:07満州では私が一号のようにありました
08:10その前にはウランフンです
08:12こういう手術ができるんだ
08:13こういう難しいのでもできるんだということを
08:15店にありえたわけでしょう
08:17感謝くらいですよ本当に
08:19こういう風のは何だか
08:21体全体がそういうものを祝っていたらな
08:23そうなっているからな
08:25それを撃ってくれ
08:26記録によると日本での東予のピークは
08:341930年代初頭から終戦まで
08:42満州事変から太平洋戦争へと続く時代
08:47戦地で負傷した軍人を中心に
08:50推定3万人に使われました
08:56トロトラストをめぐる状況に変化が起きたのは
09:05終戦から10年ほど経った頃
09:09第5福竜丸は死の灰の洗礼を受け
09:13放射性物質を含む死の灰が降り
09:16日本のマグロ漁船が多数被爆
09:20漁船員が亡くなりました
09:23激しい反覚デモが相次ぎ
09:30被爆を不安視する世論が高まっていきます
09:38同じ頃医学界ではトロトラストによる
09:42発眼の報告が相次ぎ使われなくなります
09:46しかし、すでに投与された人たちの多くは
09:50追跡調査されませんでした
09:531960年頃から
10:04トロトラストを撃たれた元軍人たちに
10:08体の異変が相次ぎます
10:12次々と癌を発症し、亡くなっていく戦友たち
10:27被爆の影響を疑った三宅さんたち元軍人は
10:35国に救済を求めて患者と家族の会を結成します
10:42何も戦術に亡くなったりしてる時に
10:47何にも居るんじゃねん
10:48そういう戦術で
10:49昨年病気で死んでいってる人が
10:52これであれしてたかもしれん
10:55金がおりろいろな
10:57頑張ったかもしれん
11:00仕事休んでもやってました
11:03仕事休んでも生きようとな
11:05今回の資料群から
11:10患者と家族の会の手紙など
11:13数百点が見つかりました
11:20誰に頼る術もなく
11:23泣き寝入りして
11:25この世の終わりが来るのかと
11:28寂しく思う
11:30恐ろしい癌の発病でした
11:37あれもしよう
11:39これもしようと
11:41二人で語り合った
11:43ほんのささやかな夢は消され
11:46生涯は終わりました
11:51四十年前のトロトラストによって
11:55命を取られたのかと思えば
11:58まことに残念でなりません
12:02毎日、涙にくれております
12:11トロトラストの投与から
12:13四十二年後
12:15三宅さんも肝臓がんが発覚
12:19入院から八ヶ月余りで
12:21亡くなります
12:23やっぱりがという感じだったな
12:26何十年か経ってからだけな
12:28こうなるんだ
12:37考えたら
12:38まあ、かわいそうだった
12:40みんな、みんなこうやって死ぬんだけ
12:43家族も大変だなって思ったわしも
12:46気になるな
12:50いなくなるわかってるな
12:53トロトラストを打たれた人に共通していたのが
13:01がんなどを発症した後の急死でした
13:05大半が八ヶ月以内に亡くなり
13:08一ヶ月以内が最も多かったのです
13:20急死していく人たちの体内で
13:22何が起きていたのか
13:24長崎大学に資料が残る668人のうち
13:31解剖記録などがある人の7割以上
13:36314人ががんを発症していました
13:39ここががんですね
13:49中で出血を起こしていたり
13:51血管肉種の特徴が出ています
13:56そのうち54人が
13:58非常に稀で進行が早い
14:01特殊ながんに侵されていました
14:05血管の内側ががん化する
14:07血管肉種
14:10大多数が診断後半年以内に死亡する
14:14という報告もあります
14:18さらに相次いでいたのが
14:21同時に多数のがんができる
14:24多発がんです
14:28ここまで多発性に出てこないんですよね
14:31多発がんですと
14:33手術ができない場合も多いでしょうし
14:37早期にお亡くなりになってしまうという
14:39経過は考えられるのかなと思います
14:45医学的に考えられている
14:47トロトラストとがん発症の関係です
14:50駐車されたトロトラストは
15:00異物を分解する肝臓などの内部に
15:04分散して沈着
15:07体外にほとんど排出されず
15:09生涯にわたって電力作用が強い放射線
15:13アルファ線を出し続けます
15:16数十年かけて周囲の細胞を傷つけ
15:22同時多発的にがん化させ
15:24人体を内側から蝕んでいくというのです
15:30次元爆弾のようにダメージの強い
15:34放射線を出し続けるということは
15:36自覚症状が出にくい肝臓という臓器で
15:43たくさんがんができてくるということは
15:47患者さんにとっては非常に
15:50発見されたときには
15:53治療をするすべがない
15:57ヒゲのように見えるこれがアルファ線の秘跡です
16:01人体を内部から傷つけるアルファ線
16:07放射線の検出技術を使い
16:10その姿が映し出されました
16:15こんなに出ているんだな
16:18これを体の中に持っていたということですね
16:23宿命っていうかな
16:26発眼に向かうんだなっていう
16:31長崎大学の資料群の内訳を調べたところ
16:39意外な事実も分かりました
16:48これまで知られていた軍人だけでなく
16:51民間人にも東洋が相次いでいたのです
16:54軍人さんによく使われていたというふうに聞いていましたので
17:00多くの一般の方に投与されていたというのが
17:03このデータベース上は分かることで
17:05率直に驚きはありましたね
17:08その数は病理解剖データのある人のうち3割以上
17:14129人に上っていました
17:24がんの手術
17:26六膜炎
17:28横断のトレ
17:29民間人にはがんや婦人科系の病気の診断などに
17:36幅広く使われていました
17:41さらに造影剤として使うと体にどんな影響が出るのか
17:49乳児や10代の若者に実験的に投与されていた事実も分かりました
18:02この資料を見ていると
18:04一般人そして注入した理由は不詳ということがあるんですよ
18:12これは純粋な医療ではなくて
18:15やはりその医学的な興味で
18:20投与された部分があるのではないか
18:27中には特殊な使われ方があったと証言する人もいます
18:32民間人の患者を診察した医師の入江博さんです
18:38土屋共同病院というところにいまして
18:44村民が2人ぐらいトルトラストの症例が出た
18:50どうしてなったのって言ったら
18:52栄養剤のような感じで打たれたって言うんですね
18:55それは誰だってそれならこれはまずいなと思いますよ
18:59調べると10代でトルトラストを打たれた民間人の遺族が見つかりました
19:11荒川治さんです
19:26よろしくお願いいたします
19:31飼料群のカルテに母親の名前が記されていました
19:36荒川いおえさん
19:41誰にでも分け隔てなく接する女性だったといいます
19:51いろんな人がいる
19:56学生時代の方
19:59あ、これおばあちゃんですね
20:01すごい、よく分かりますね
20:03穏やかな人でしたね
20:06困った時には助けてくれるっていう感じのおばあちゃんでもあったので
20:10野良猫も自宅に呼び入れちゃうような感じで
20:13すぐに手懐けて
20:14親族に医師が多かったという荒川さん
20:3018歳の頃、理由は分かりませんがトロトラストを打たれていました
20:35周りにいるお兄さんたちがみんな医者なのに
20:45なんで知らなかったんだって思うし
20:49ひょっとしたら知ってたのかなと思ったりはしますね
20:53倦怠感というんですかね
20:56とにかくだるいという
20:58うちのお母さん体が弱いんだなっていうのは思ってましたね
21:01荒川さんは72歳の時、肝臓がんが発覚
21:091週間ほどで急死したといいます
21:14肝臓にクモの子を散らしたように
21:19ちっちゃいがんがいっぱいパーッと広がっているような状態
21:25思いましたね、早かったなと思って
21:32その直後、息子の治さんは医学の発展のためにと解剖を依頼されたといいます
21:41亡くなった後、解剖をさせて欲しいということはお話としてありました
21:52親戚がお医者さんなんでいいですよということで解剖をしました
21:59トロトラストっていう説明はなかったと
22:04聞いてないですね
22:06もしそうであれば、他の人もいるわけだから
22:09はっきりしたいですよね
22:11国は実態をどこまで把握していたのか
22:24原爆被爆者が国家保障を求めるなど
22:28当事者の運動が盛んだった1970年代
22:31トロトラストを打たれ被害を訴えていた元軍人たちも
22:411976年、旧厚生省にある要望をしていたことが分かりました
22:48求めていたのは、注入された疑いのある人への
22:55一斉検診や医療費の負担などです
22:58しかし国は、調査に慎重な姿勢を示していました
23:13お前はトロトラストの注射を受けたんだ
23:17したがってこういう問題が出てくるかもしれぬぞということを
23:22いちいち本人に知らせるということ
23:25いったい政治の場で、これをそこまでフォローアップすることがいいのだろうか
23:34さらに、公給をいたしたい
23:37衆議院の社会労働委員会だと思うんですけど
23:48厚生省の加藤栄一元総務課長です
23:52元軍人の保証業務などに携わっていたといいます
24:00経緯は詳しくないとしたうえで、国が調査に慎重だった背景について
24:06こう指摘します
24:10当時は、がんであることすらちょっと告知するっていうのは
24:19いろいろ問題があるということで、相当議論されたわけですよね
24:23大体、異海洋ですとかなんか言って、ずっとやってたわけですからね
24:31国会で一つ一つっていうことだったら、本当に手間というか、いくらあっても足んないわけですよね
24:40しかし、メディアがトロトラストと発願の問題を、次々と報じていきます
24:55問題のトロトラストのアンプルを見ることができた
25:00NHKも、トロトラストの体内被爆について取材
25:06被害を訴える元軍人たちを特集していました
25:11自分の体の中に入っている放射性物質とは何なのだろうか
25:17治療をきちんとしてもらって、健康管理の指導を充分してもらって
25:23何とかして天井を全うさせていただきたいと
25:29保障を求める声が高まる中で、厚生省は元軍人だけを対象にした検診を始めます
25:40国は、トロトラストの沈着が認められれば、保障の対象だとしました
25:46しかし、今回見つかった手紙では、がんなどにならない限り、医療費の保障が認められないという声が相次いでいました
26:01本究極などのご方針は、障害発生主義と側文するが、障害発生すれば、時すでに遅いのである
26:18次元爆弾を入れた思いで暮らす沈着症者のため、速やかに全処されんことをお願いする
26:28厚生省という厚い壁が、悪魔の伝道に見えてなりません
26:42わずかな余命しかないだけに、憤りを覚えます
26:4723歳の時、トロトラストを打たれた三宅さん
26:56妻が2度にわたり、保障を請求したにもかかわらず、回答がないと記していました
27:02いまだ、何の返事もありません
27:10本人が元気なうちに、何らかの返事が、一日も早く聞きたいものです
27:25国の調査や保障は適切だったのか
27:32国の委員会のトップで、トロトラストが沈着した人の健康を管理していた
27:45医師の清沢健道さんが取材に応じました
27:52取り出したのは、保障の対象者を記した内部資料
27:56本来であれば、がんなどの発症を待たずに、幅広く保障すべきだったと打ち明けました
28:17今考えると、全顔状態ですからね
28:20だから、肝甲腺、全顔状態、発顔という経緯を持っていけば、やっぱり
28:24そこを一線で区切るというのが、良かったかどうかですね
28:28どうかなというか
28:30もうちょっとね、面倒を見てあげても、良かったかなという感じが
28:33ごくごく一部なんですけど、これが…
28:36今回、長崎大学の資料で分かった、民間人については、当時どういう扱いだったのか…
28:38今回、長崎大学の資料で分かった、民間人については、当時どういう扱いだったのか…
28:41今回、長崎大学の資料で分かった、民間人については、当時どういう扱いだったのか…
28:57今回、長崎大学の資料で分かった、民間人については、当時どういう扱いだったのか…
29:14民間人で被害が出ているというのは、その時点では把握されていなかった…
29:20把握されていないし、あまり議論にはならなかった…
29:23一般の人については、それはもう、もし保証するんだったら、薬害ですよ…
29:31薬害だから、見てあげるよっていう、そういう考えでないとできないけど、そういう考えはなかった…
29:39そうこうしているうちに、対象の患者さんがほとんど亡くなったというのが、事実だと思うんですね…
29:47それがやってあれば、消費軍人のみならず、他の一般の方でも、そういった経過を見るということができたんじゃないかなと思うんですけどね…
30:01厚生労働省は、民間人の調査をしなかった理由について、分からないと回答…
30:15結局、医療費の保証対象は、元軍人のみ122人…
30:23トロトラストを投与された推定3万人の0.4%でした…
30:29国は、なぜ、調査や保証の範囲を限定したのか…
30:44当事者の多くが亡くなる中、事情を知る元官僚が、匿名を条件に内実を初めて語りました…
30:53当時、厚生省は、被爆者の援護や、薬害の質問訴訟など、多くの保証問題を抱えていました…
31:19トロトラストの保証を広げれば、他の被爆や、薬害の問題にも波及する…
31:29そう懸念していたといいます…
31:32国としては、耐え忍ぶ時期だったってことですね…
31:38工房省の事業が、どんどん泣いてる…
31:41その当時は、当時はもっとたくさん、潜在医療がいたかもしれないけど、だんだん亡くなっちゃえば…
31:47そうですよね…
31:50一時は、およそ1200人いた患者と家族の会の会員は、次々と亡くなり、会は消滅したとみられます…
32:03医学的な利便性があると、広く使われたトロトラスト…
32:20投与した当時の医師たちは、リスクをどう見ていたのか…
32:25放射線生物学の専門家、ゲイル・ウォロシャク博士です…
32:44アメリカ各地で放射線の専門医を目指す学生に、トロトラストの問題について教えています…
32:55見せてくれたのは、トロトラストの開発から2年後の1932年、アメリカの医師会が出した報告書です…
33:24放射線による長期的な影響などを懸念し、使用を認めないと警告していました…
33:31警告の背景にあると指摘するのが、1920年代に問題となったラジウムガールズです…
33:34警告の背景にあると指摘するのが、1920年代に問題となったラジウムガールズです……
33:38警告の背景にあると指摘するのが、1920年代に問題となったラジウムガールズです……
33:45警告の背景にあると指摘するのが、1920年代に問題となったラジウムガールズです………
33:52警告の背景にあると指摘するのが、1920年代に問題となったラジウムガールズです………
33:59警告口のように、アメリカの警告場で働いていた女性労働者たちが……………
34:07夜光塗料に使っていたラジウムで被爆……………、
34:16次々とがんを発症していました。
34:46日本の医師たちはどうだったのか。
35:03調べると、日本で使用のピークだった1930年代から、リスクが指摘されていたことが明らかになりました。
35:16複数の大学の医師が発がんや長期影響などのリスクに言及、使用禁止の警告も出していたのです。
35:30すでに放射線によってがんがん起こるということは分かっている時代ですから、そこに思いを馳せないというのは、やはりちょっと道義的に許されるかというと、慎重であるべきだったとは思いますね。
35:51はい。
35:52当時の医学書には、トロトラストについてこう記されていました。
35:59放射能物質としての組織への影響の問題も、いまだ十分に解決されていない実情にある。
36:12しかるに一方、利害特質の差し引き勘定を行えば、もちろん断行するのほかはない。
36:21結局、トロトラストはアメリカも含め世界各地で使われ、投与された人は数十万人に上ったとされています。
36:42トロトラストを使った医師たちは、がんを発症していく人たちをどう見ていたのか。
36:51取材を進めると、投与した医師の一人は、戦後、外科医院を開業していました。
37:05医師はすでに亡くなっていました。
37:08トロトラストについては、生前一言も語らなかったといいます。
37:13今回、投与した医師10人近くを調べましたが、
37:24トロトラストをめぐる国の調査に協力した記録は、何もありませんでした。
37:29下手に何かになりたくないという気持ちがあるんじゃないでしょうかね。
37:43僕が逆の立場でも、やっぱり黙っちゃうだろうというところがありますよね。
37:48自分だけやっているわけではないというようなことなんでね。
37:51他の人も言っているんだから、しょうがないだろうという。
37:53それを沈黙しちゃいけないんですよ。
37:57ちゃんと悪いものは悪いと言うべきですよね。
38:00それで何年か経った時に、今度、第三者的にそれをきっと判定する人も出てきますからね。
38:07時短が経った時に評価が耐えられるかというね。
38:13沈黙していったのは、医師たちだけではありませんでした。
38:17科学と社会問題をテーマに番組を制作してきた、元NHKディレクターの群二達夫さん、80歳です。
38:39半世紀前ですね。
38:40およそ50年前、トロトラストの内部被曝について取材。
38:48被害を訴える元軍人たちの特集番組を制作しました。
38:57この白衣の先生ですね。
38:59大大なカルテを丹念に調べてね。
39:02使命感に持った調査をやっていた先生だと思います。
39:06実際に患者さんの声を聞いて、やっぱりショックでしたね。
39:11体内被曝の恐ろしさというかね。
39:14そういうものを知らせたいなという感じがありました。
39:20しかし、一時盛んに伝えていた私たちメディアの報道も下火になっていきました。
39:28広く言えばメディアの役割というのは、もっと果たすべきだったかもしれないですね。
39:42もっと持続的にやるべきだというようなことにはならなかったんですよね。
39:49また次から次といろんな問題が起きてきて、それをやると。
39:52もっと大きな地球温暖化の問題とかね、そういう問題、原子力の問題とかっていうのをずっとやってきたので、
40:02そういう意味ではどこかで起き忘れてきたといえば、起き忘れてきたと。
40:06一時期報道されたにもかかわらず、長年埋もれてしまったという意味では、すごくそのメディアの脆さという、感じるんですけど。
40:20メディアってそういうものなんだと思うんだよね。
40:24リフレインみたいなことをずっと言っていっても、あんまり関心持ってくれないと。
40:31私の後輩なんかも、福島第一原発事故の後、メルトダウンというシリーズをずっと続けてきているけれども、
40:40何が新しいんだとかね、どういう取り組み、新しい取り組みがあるんだとかね、切り口があるんだとか、
40:48そういうことが明確じゃないと、一つのテーマをずっと持続的に取り上げていくと、なかなか難しいんですよ。
40:56そこは悲しいかな、そういうことだと思うんですよ。
41:00そういうふうにして忘れられてきた問題っていうのは、いっぱいあるんじゃないかな。
41:10旧厚生省の調査対象にならなかった民間人は、その後どうなったのか。
41:27この方も検診から漏れてる。
41:31長崎大学の解剖記録やカルテを調べると、症状が進行してから病院に行く人が相次いでいました。
41:40晴れてるなと思ってきた頃には、もうマッケーの状態になっていると。
41:4754歳で、普通はこんなふうにはならないですよね。
41:55ちょっとかわいそうだな。
41:57民間人の死亡年齢の平均は、元軍人よりも10歳近く若い、56歳でした。
42:05リスクが高い症例っていうのは、B型肝炎とかC型肝炎も肝臓癌になるんですけど、
42:14そういった方は検診とかで拾い上げられて、半年に1回の画像の検査とか、そういったこともされてるわけですよね。
42:22それと同じように、トロトラストによってリスクが高まった人を、すべて拾い上げて検診をしていく。
42:29そういったことができたら、少しは経過が違ったのかなと思いますけれども、
42:36日本がその情報を集めきれなかったということと、あまりその重く、その当時の政府が重く向き合わなかったということなのかもしれませんね。
42:5918歳の頃、トロトラストを撃たれた荒川祐恵さん。
43:06調査チームが荒川さんの解剖検査記録を調べたところ、トロトラストの沈着が認められました。
43:27さらに、特徴的なガンの多発と血管肉種も発症していたのです。
43:38私たちは、調査と取材で明らかになった事実を、息子の治さんに伝えました。
43:59えぇ、ちょっと待てよって感じだなぁ。
44:06わぁ、なんて言ったらいいんだろう。大変だったねっていうことかなぁ。
44:15なぁ、中いくつの時からずっとそれと付き合って、その、生きていたのかと言うと、かわいそうになってきますよね。
44:26原因とその対応について、国として、あのー、きちっと説明をしてほしいと思いますよね。
44:43まあ、人がたくさん死んでるわけだから。
44:52国が被害の全貌を調査すべきではないか。先週、福岡厚生労働大臣に問いました。
45:02カルテ島の大部分が滅出をしているというふうにされておりますので、
45:11このトロトラストを注入された民間の方が受けた、
45:15この被害の全体像ということについての確認というのは、
45:19困難であるというふうに考えておりますが、
45:22現在、この進められている民間による調査の進捗を
45:25注視をしてまいりたいというふうに考えております。
45:32ふくらむ保障を避けようと調査を限定した国。
45:38沈黙していった医学界とメディア。
45:43そして、トロトラストによる被爆は忘れ去られていったのです。
46:02今回の資料群から、トロトラストを撃たれた人のデータを利用した
46:08ある研究を、国が推し進めていたことも分かりました。
46:141980年、旧文部省の補助を受け始まった、
46:24トリウム燃料に関する総合的研究。
46:292億円以上の補助金が投じられました。
46:33文部省の研究班のやり取りが全部入っています。
46:42トロトラストを撃たれた人を診断したイリエ医師も、
46:47研究班に呼ばれました。
46:50原子炉の燃料として、トロトラストの主成分、トリウムを研究する
46:56国家的プロジェクトだったといいます。
47:05原子炉の開発なんですね。
47:08ウラニウムと、核燃料がアメリカとソ連で抑えちゃってるもんだから、
47:15日本は手が出せないということで、トリウムを使おうということですね。
47:19大きな班で、全国のかなりの大学の人たちに入り込んでやった。
47:25各大学の教授ですよね、ほとんど。
47:30難しいですね、柴田先生とか。
47:34同じく研究班の一員だった、病理医の高次郎正道さん。
47:41全国の病院で解剖症例が出ると、
47:44臓器標本を収集するよう求められたといいます。
47:48研究班は、原子炉の事故や作業員の被曝といった事態に備え、
47:54染料とリスクの関係や、がんの発症率などを調べました。
48:00トロトラストを撃たれた人のデータは、
48:06複数の研究班に引き継がれ、
48:12国際機関で、
48:14保証問題は別としましてね、これだけの特殊な、
48:20放射線障害による、
48:22極めて重篤な健康障害、
48:24というのを、
48:26トロトラストを打たれた人のデータは、
48:28複数の研究班に引き継がれ、
48:32この研究班で、
48:34放射線障害の基礎データとして活用されています。
48:38保証問題は別としましてね、
48:40これだけの特殊な、
48:44放射線障害による、
48:46極めて重篤な健康障害、
48:50というのを、
48:54明らかにして、
48:56非常に珍しい、
48:58研究成果と思いますよね。
49:00非常に、
49:02稀なって言いますか、
49:04得難いデータが、
49:06取られたということですね。
49:14しかし、
49:16データの利用をめぐり、
49:18研究班内部で、
49:20当初から疑問の声が上がっていたことも分かりました。
49:30生態影響を調べる班の、
49:32第1回の議事録。
49:34久留米大学の、
49:36池崎秀文医師の発言です。
49:44患者の気持ちとしては、
49:46検査だけされるのでは、
49:48もろもっと扱いされているような気分。
49:52この点の改善につき、
49:54ご助力願いたい。
49:56ご視聴ありがとうございました。
49:58ご視聴ありがとうございました。
50:00ご視聴ありがとうございました。
50:02ご視聴ありがとうございました。
50:04ご視聴ありがとうございました。
50:06ご視聴ありがとうございました。
50:08ご視聴ありがとうございました。
50:10ご視聴ありがとうございました。
50:12ご視聴ありがとうございました。
50:14ご視聴ありがとうございました。
50:16ご視聴ありがとうございました。
50:18ご視聴ありがとうございました。
50:20ご視聴ありがとうございました。
50:22ご視聴ありがとうございました。
50:24ご視聴ありがとうございました。
50:26ご視聴ありがとうございました。
50:27ご視聴ありがとうございました。
50:58ご視聴ありがとうございました。
51:00ご視聴ありがとうございました。
51:01ご視聴ありがとうございました。
51:02ご視聴ありがとうございました。
51:03ご視聴ありがとうございました。
51:04ご視聴ありがとうございました。
51:34ご視聴ありがとうございました。
51:36ご視聴ありがとうございました。
51:37ご視聴ありがとうございました。
51:38ご視聴ありがとうございました。
52:39ご視聴ありがとうございました。
52:40ご視聴ありがとうございました。
52:41ご視聴ありがとうございました。
52:42ご視聴ありがとうございました。
53:13ご視聴ありがとうございました。
53:15ご視聴ありがとうございました。
53:16ご視聴ありがとうございました。
53:17ご視聴ありがとうございました。
53:18ご視聴ありがとうございました。
53:19ご視聴ありがとうございました。
53:20ご視聴ありがとうございました。
53:21ご視聴ありがとうございました。
53:22ご視聴ありがとうございました。
53:53ご視聴ありがとうございました。
53:54ご視聴ありがとうございました。
53:55ご視聴ありがとうございました。
53:56ご視聴ありがとうございました。
53:57ご視聴ありがとうございました。
53:59ご視聴ありがとうございました。
54:00ご視聴ありがとうございました。
54:01ご視聴ありがとうございました。
54:02ご視聴ありがとうございました。
54:03ご視聴ありがとうございました。
54:04ご視聴ありがとうございました。
54:05ご視聴ありがとうございました。
54:06ご視聴ありがとうございました。
54:07ご視聴ありがとうございました。
54:08ご視聴ありがとうございました。
54:38ご視聴ありがとうございました。
56:08ご視聴ありがとうございました。
56:38ご視聴ありがとうございました。
57:08ご視聴ありがとうございました。
57:38ご視聴ありがとうございました。
57:39ご視聴ありがとうございました。
57:40ご視聴ありがとうございました。
57:41ご視聴ありがとうございました。
58:10ご視聴ありがとうございました。

お勧め

4:53
0:24
0:31
Anime9Foxi
2025/3/5
6:31
20:55
0:30