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教育
トランスクリプション
00:0020世紀を代表する哲学者 エドムント・フッサール
00:06現象学を確立し 現代哲学に新たな潮流を生み出しました
00:14そのフッサール最晩年の大著 ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学
00:23ナチスが台頭する中 ヨーロッパの行く末を憂いたフッサールは
00:31自らの哲学の集大成として 密かにこの本を書き続けました
00:41現象学から現代の私たちが学ぶべきものとは何か 読み解きます
00:47100分で名著 司会の安倍晋子です
01:15今月はこちら ドイツの哲学者フッサールによる
01:20ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学 という名著史上タイトル最も長い本でございます
01:26そして中身もご想像のとおり 難解な書物ということです
01:32スタッフから軽く報道されましたね
01:35この番組史上 一番難しいを更新したのではないかという
02:11カントとご解説いただいて 今回4回目なんですけれども
02:15今回タイトルだけで挫折しそうなんですが
02:17でもですね 実はこの本の副題がありまして
02:22これは幻想学への入門というタイトルがついてます
02:27結構難しいんですけれども
02:30なんでこんな考え方しなきゃいけないのっていう
02:34そのモチーフもよく書かれているので
02:36面白い本だと思います
02:39幻想学っていうのは
02:41このフッサールっていう人が考えた
02:44哲学の方法
02:46思考法なんですけれども
02:48徹底して一人一人の意識の世界
02:52心の世界と言ってもいいですが
02:54意識の世界を掘り下げていって考えていこうっていう
02:58この方法が私たち一人一人が生きていく上でも
03:02役立つものになるはずだっていうことで
03:05これを今回お話しできればなと思ってます
03:07では基本情報を見ていきましょう
03:09まず著者はドイツの哲学者エドムント・フッサールですね
03:14フッサールが人生をかけて打ち立てた
03:16幻想学についての集大成的な著作で
03:20副題は幻想学的哲学への入門です
03:23ナチス政権下フッサールはユダヤ人ですので活動の制約を受けたんです
03:29ですのでこの本も第1部第2部は国外の雑誌に発表
03:33第3部は未完のままとなって死後に総行がまとめられているんですね
03:38通称この本は危機書と呼ばれていて
03:42この時代への危機意識が込められているという本だそうです
03:46第1部はヨーロッパ学問がものすごく発展しているように見えるけれども
03:52実は危機に陥っているんだという話をするんです
03:57その上で第2部はその危機というのは一体どこから来たんだろうというのを
04:03歴史をたどって説明します
04:05そしてその第3部にとうとう幻想学とは何かという話をする段になって
04:11フッサールが病気で倒れてしまって
04:15あんまりまとまったものにならないままになってしまった
04:18そういう意味で未完の著とも言えるわけですね
04:22ちょっと突然の質問なんですが
04:24伊集院さんは良いとか悪い善悪ですよね
04:28善悪の価値観とか美酒好みみたいなもんですかね
04:33そういうものについて誰もが納得できるような共通理解って
04:40作れると思います
04:42うわぁちょっと難しい質問
04:45目指してるような気がするんですよねみんなね
04:48それと言葉としては何か芸術作品を
04:51普遍的な美であるとか絶対的な美であるみたいな
04:56キャッチフレーズがついたものがいくつかあるような気がするので
05:01できるできるっていうかやろうとしてる
05:05すごいすごい答えだ
05:08そうですか
05:09というのはですね結構いろんな人に聞くと
05:12無理でしょうと
05:13善悪の基準つったらもうそれはもう
05:16人によって国によっても多種多様じゃない
05:20美しい見にくい人だったよね
05:22当然じゃないっていう人割と多いんですよ
05:24でもちょっと角度変えてみると
05:28善悪という感覚を持つってことは
05:31多分どんな人も持ってますよね
05:34なるほどなるほど
05:35これは悪いこれやっちゃいかんだろう
05:37そういう感覚を持ってるってことを考えたら
05:40かなりこれむしろ普遍的
05:42今先生が当たらずとも遠からじみたいな反応をしてくれたのは
05:46目指してるのは確かだと
05:48いつも善はあるんだって悪はあるんだって
05:51美はあるんだっていうのをみんな意識はしてるんだけど
05:55じゃあそれが時代を変わっても
05:58例えばじゃあ物の価値宗教観とか変わっても
06:01揺るがないものがあるのかっていうと
06:04この難しいっていう
06:05そういうことですか
06:07おっしゃるとおりです
06:09減少学っていうのは
06:10人間性に共通なものってやっぱりあるんじゃない
06:14人としての思いってあるよねって
06:18それってどういうものかっていうのは
06:19お互いに確かめることを目指す
06:23この共通理解を作る方法が
06:26減少学なんですね
06:28さあでは聞き書の内容に入る前に
06:31こちらをご覧ください
06:321859年にフッサールはオーストリア帝国
06:39現在のチェコのユダヤ人家庭に生まれました
06:44大学では数学を学びますが
06:48やがて哲学に転校
06:51フッサールの目標は
06:54哲学を厳密な学問として確立することでした
06:58人間の認識はどうやって成り立つか
07:03フッサールは意識と体験を見つめ直すことで
07:08それを考えようとします
07:10通常世界は広大で意識は小さいものだとされますが
07:18幻想学では宇宙も世界も
07:23一切が自分の意識に現れるものと捉えます
07:27そしてその意識する体験を振り返ることで
07:32あらゆる物事の意味と成り立ちを確かめることができる
07:37この減少学の方法は大きな注目を集めフッサールのもとには世界中から若き研究者が集まりました
07:48毎回思うんですけど哲学の回は特にアニメーションの担当の人が大変ですよ
07:57なんかその具体的なことをドンって書くのはちょっと難しいから
08:02ものすごい熟読して作ってくださってるんですけど
08:05読むのも大変だったと思うんですよね
08:07そもそもですけど減少学の考え方というのは具体的に言うとどういうことなんでしょうかはい例えばですね皆さんこれ現実だと思ってますよね今ここに阿部さんがいて伊集院さんいて何でこの今見てるこれが現実だっていうふうに思ってられるんですかね
08:28はっきり見えてますし動いてますよ触れるし触れるしそれ結構ポイントなんですよ見たり触ったりできないとかあるなと思ってますかって抜けたらこれ夢かなとかホログラムか何かかなってことになりますよね少し精密にやるためにこのりんごでちょっと考えてみたいんですけどこのりんごがあるとお二人思っておられると思うんですが
08:57このりんごがあるっていう認識はどうやって作られるとお考えですか
09:03今現在僕はそれを持ってもいない触ってもいない状態ですよねでも明らかにそこにりんごはあるじゃないかと僕は思っていますCGとも思っていないしなんで俺はそれをこんなに当たり前に思ってるんだろうか別にそれあるの疑ってないのは何でなんだろう
09:20え恥ずかしいな経験経験
09:23ちょっとこういうのを見ていただきたいんですがもともとまずりんごはあるじゃんとここにいろいろと光が当たったりかなんかして最終的に認識が作られますよっていう風にこれ科学的に見ればだいたいこういう説明になりますよね
09:41これが科学的な見方一般的と言いましたけど割と科学的な見方ですこれに対して現象学っていうのは意識の世界だけを見てそこを掘り下げるんですね
09:54そうすると実はある種の色ね鮮やかなこの色とか匂いもこういう形が与えられることでここにりんごあるよと思ってる
10:07当然ここには今までの経験があるからこういう判断をしてるってことになりますよね
10:13こういう風なありありとした感覚ありあり感ってふっさり言うんですけどありあり感があるとこれ現実のりんごだよねっていう風に考えるって言うんですね
10:25確信を言えば作ってるわけですけどその作ってるっていうのはどういうことかっていうと
10:31イジュウインさんこれね見ると裏側もやっぱり丸いと思ってません?
10:37そうですねそうですね見えてないけど見えてないけどで裏側もやっぱり赤いって思ってません思ってますね思ってますね
10:45まさしくイジュウインさんが経験によってってことをおっしゃったけど経験を通じて見えてるのこれだけなんですよ
10:53これ元に裏もこうだろうなっていう像を一瞬にして作っちゃってるんですねだから人間は何かあたかも目の前にあるものを忠実に受け取ってるような気がしてるけど実は与えられてる感覚を元にしてこれ3次元リッターじゃこうなってるよねっていうのをいつの間にか作っちゃってるわけですよ
11:15どうしてここにリンゴがあると思いますかって言われたら普通はいやあるじゃんみたいな答えですよねその途中どういうこう工程を踏んでるかなんかいつもは考えないからいやあるもんはあるよ俺見えてるしっていう話だけど実はそれを分解していくとその今までの常識学習予測いろんなものが入った上でこれはあるんだっていうことに結びついている
11:43ああおっしゃるとおりですこういうふうにこの我々が見ているいろんな対象とかこの現実そのもの世界そのものに至るまである意味で人間が意識の中で作ってるっていう見方をするんですね減少学はうんうんうんうん
12:001935年76歳を迎えたフッサールはウィーンとプラハで講演を行いました
12:09時はナチス政権下
12:13ユダヤ人迫害が激しさを増している頃
12:17ユダヤ人への厳しい取り締まりによりフッサールは大学から除名され
12:25校内への立ち入りさえ禁じられていました
12:28国外で何とか行われた2つの講演は哲学者としての自らの総決算となりました
12:38それらの講演をもとに書かれたのがヨーロッパ書学の危機と超越論的現象学です
12:50この講演の題目そのものからしてすでに
12:59異論を呼び起こすであろうことを
13:02私は覚悟しておかねばになるまい
13:06一体我々の学問そのものが危機に陥っているなどと
13:12真面目に語られて良いものであろうか
13:15今日よく耳にするこのような言い方は
13:20あまりにも大げさに過ぎないだろうか
13:24大げさではなく学問は確かに危機にひんしている
13:33フッサールが生まれた19世紀後半近代科学の発展により人々の暮らしは大きく変わりました
13:45夜の街を街灯が照らし巨大な建築物が作られ
13:53万国博覧会では最新の技術に人々が歓喜した時代
13:58しかし急速に発達した科学技術は
14:06大量殺戮を可能にする兵器を生み出し
14:10戦場で多くの人々の命を奪います
14:1419世紀の後半には近代人の世界観全体が
14:22もっぱら実証科学によって徹底的に規定され
14:27また実証科学に追う繁栄によって徹底的に幻惑されていたが
14:33その徹底性たるや
14:35真の人間性にとって決定的な意味を持つ問題から
14:40無関心に目をそらさせるほどのものであった
14:44単なる事実学は
14:50単なる事実人をしか作らない
14:54このような傾向に対する一般的な評価の転換は
15:00特に対戦後避けることのできないものとなったが
15:04それが若い世代のうちに
15:08次第にこのような傾向に対する
15:11敵意に満ちた気分を引き起こすまでになった
15:15第一次大戦に敗れたドイツは
15:22巨額の戦後保障を突きつけられ
15:25国民は物質的にも精神的にも追い詰められていました
15:31理性や学問に対する敵意に満ちた気分が広がり合理主義よりも感情的な一体感を求める空気が社会に広がっていきます
15:44そして若者たちはナチスの演出する熱狂に吸い込まれていくのです
15:53科学が急速に発展して科学新法とかイコール学問信仰みたいなものがあったんだけどでも戦争も負けたし生活もきついし学問っていうものは俺たちを助けてはくれないんじゃないかっていうその空気の中っていうことなんですかね。
16:20年表を用意したのでちょっと見ていきたいんですがまさにフッサールが生きたこの19世紀の終わりの方から20世紀の最初というのはこのように近代科学が急速に発展を遂げたんですね。
16:34あのすごいですよね電話がまあねえっと使えるようになるとか電球ができればそれまでガス灯だったのが街灯もちゃんとつくようになるし無精鋭が放射能無線通信までものすごい勢いで発展するわけですよね。
16:53だからみんながまさしくそれにウキウキしてた。ところがこの学問の成果が結局爆撃機戦車になっちゃって莫大な死者が生まれていくわけですよね。
17:06だから科学への手放しの称賛みたいなのがあったのがもう一転してくる。しかもドイツは特に敗戦で全然食えなくなる。
17:15そういう状況の中で結局その学問や理性というものを積み重ねていくと良い未来があるはずだみたいなそういう希望がボロボロに砕かれてですね。
17:26学問や理性なんだよそんなものクソじゃないかみたいな感じがどうしても出てきちゃうんですよね学問なんかよりも感情が感情こそが真実だみたいなのが結構出てくるそういう一部はやっぱりナチの熱狂に飲み込まれるってこともやっぱり起こるわけです。
17:48こういう時代のタイミングってだびだびあるような気がして新しい価値観が自分を幸せにしてくれると思って頑張ったり我慢したりしたんだけどもちっともよくなんねえじゃねえかっていう時に急にその新しい価値観みたいのもう嫌だっていう人が出てくる。
18:12でいて例えば昔の価値観の方がよかったんですよとかあとさらに新しい極端なものに対してみんなが魅了されていくっていうのは今もそうなのかもしれないしたびたび起こってる。
18:26思い出されるのはフッサールがユダヤ人として危機のさなかに生きていたということですよねはいドイツ国内での著作の刊行はもうダメですし大学の中で講演することももうダメになるでも雑誌の論文発表も何もかもできない実はですねその頃フライブルーク大学ではフッサールの学弟子がハイデガーマルティンハイデガーですね。
18:55はいハイデガーが学長になるんですよでナチスに入党するんですそれでフッサールの現象学はまあちょっともう古いよねっていう感じのことを言い始めてた結局現象学っていうことでこうたくさんの人たちが集まってくるんだけどみんなハイデガー派になっちゃうんです。
19:18でフッサールはもうなんかこうその中で忘れ去られそうになる中いやいやハイデガーたちは俺の言いたいこと全然分かってないんだよっていうんで晩年現象学ってこういうもんだよっていうのを書き連ねていった。
23:18今世の中はないですねないけどだからだいたいのことはここまでに関しては容認できますよっていうのをすり合わせていくことしか俺はないと思うんですね。ちょっとこの後3夜で難しいと思いますけどもそのヒントみたいなものをもらいたい。
23:40第2回以降も楽しみですね。はい頑張りますよ。はい。日産ありがとうございました。ありがとうございました。ありがとうございました。

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