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00:00では次です、検察官や弁護士による性加害、法律家の世界の中で、被害の訴えは書き消され、実態はあまり知られていません。
00:11一体何が起きているのか、被害を受け、今も苦しんでいる人たちを取材しました。
00:16横浜市内の法律事務所で、事務員として働いていた南さん。
00:46南さんは、2人の息子を持つシングルマザーだ。家族を守るために、法律の知識を身につけようと、15年前、法律事務所で働き始めた。
01:07そこで、事務所を経営するA弁護士から、パワハラとセクハラを受けたという。
01:13身に覚えのないことも、私のせいにされて、頭を出せって言われて、原骨で殴られている。
01:25機嫌がいいときは、セクハラですね。言葉による。
01:3040歳前後の女性は、一番性欲が強くなるんだけど、そういうときはどうするんだって、何度も何度も聞かれるんですね。
01:432人きりのときに、ある小説の一場面を読まされることもあったという。
01:52それは、女性が洗面所で、自分の裸を見ている場面だった。
02:00読み終わると、A弁護士は、あなたのことが書いてあると思って、いつも読んでいると話したという。
02:08気持ち悪かったです。
02:12そのせいで、今でも、お風呂に入るときに電気をつけて、今でも入れないですね。
02:23鏡に映る、自分の裸を見ることができなくなりません。その直後から。
02:29本人に抗議できなかったっていうのは。
02:34やめてくださいとかっていうことは、一切言えなかったですね。
02:39機嫌悪くなられるのが怖かったので、言葉による性的暴力だっていうふうな感覚は持ってました。
02:50A弁護士は、過去に歴史に残る判決を下した元裁判官だ。
03:00半世紀以上前の、女性が父親を殺害した事件。
03:06女性は、父親から性暴力を受けていた。
03:10当時、親に対する存続殺人は、死刑か無期。
03:20この事件を担当したA氏は、存続殺人罪を憲法違反と判断し、女性に寄り添う判決を出していた。
03:31そういう判決を出した人なんだなっていう、意識や知識はありました。
03:38裁判官としては尊敬しますけど、人間としては尊敬はできなかったです。
03:47働き出して6年。
03:49みなみさんは、同じ事務所の弁護士に被害を相談したが、状況は改善されなかったという。
03:57その後、みなみさんは、うつ病と診断された。
04:07一緒に暮らす父親は、娘の異変を感じていた。
04:12救急車に呼んでもらって、迎えに行ったら、かっこきゅうで、もうどうしようもない状態でね。
04:34うつ病で休職中も、A弁護士は、みなみさんに何度も電話をかけ、自宅の近くまで来ることもあったという。
04:51みなみさんは、自ら命を断とうとするまで、追い詰められていった。
04:593年前、みなみさんは、A弁護士に対し、損害賠償などを求める訴えを起こした。
05:29裁判では、みなみさんへの尋問を、A弁護士みずからが行うという異例の事態が。
05:38お願いだから遮蔽だけでもいいからしてほしいって、本人の声は聞こえないようにしてほしいっていうふうにしたんですけど、声はね、どうしても隠せないので、今まで我慢してきた分、できるだけ答えようとはしたんですけど、もうその声ですら、もう怖くて怖くて。
06:02今年3月、横浜地裁は、みなみさんのうつ病は、A弁護士のパワハラとセクハラが原因と認め、961万円の賠償を命じた。
06:18判決を受け、みなみさんは。
06:23自分の主張が認めてもらえたということに関して、感謝の気持ちで、いっぱいです。
06:35自分一人だったら、ここまでもちろんやってこれなかったし。
06:41弁護士と事務員さんの関係で、やはりこう、彼女だけではない、いろんな被害があり得る、業界としてもこういうことがないようにということは、
06:51この判決を踏まえて、受け入れなければいけないなと思います。
06:59A弁護士は控訴し、裁判は今も続いている。
07:05A弁護士は、われわれの取材に対し、みなみさんへのパワハラセクハラを否定、うつ病の原因はほかにあると主張した。
07:18頭を殴る、怒鳴るなどという事実は全くありません。
07:27私とみなみ氏とは、他の職員が述べているように、とても仲が良かったと思っています。
07:36主張するこのような小説を、私は見たことも聞いたこともありません。
07:42一審の判決は、立証責任の原理原則に著しく反するものと考えています。
07:51先月、みなみさんは、A弁護士を障害容疑で刑事告訴するため、警察署に向かった。
08:04被害に遭う人が一人でも減ってほしい。
08:10相手が弁護士だろうが、元裁判官であろうが、そういう人を相手にするのは、ものすごい怖いし、勇気のいることだけど、泣き寝入りだけはしてほしくないなっていう。
08:26事務員ではなく、弁護士自身が被害者になるケースがあった、性被害で弁護士自殺。
08:41大分県中津市の法律事務所で、入所して間もない新人の女性弁護士が、当時代表だった清本善次郎元弁護士から、性的な加害行為を受けた。
08:58事務所の2階にあったプライベートルームで、2015年ごろから少なくとも2年以上、繰り返し被害に遭った。
09:09女性弁護士は、精神的に不安定な状況に陥り、自宅のアパートで、自ら命を絶った。
09:24弁護士になって、わずか3年半、32歳だった。
09:29あの日を忘れないために、同じ大分県の女性弁護士たちは、毎月27日の月明日に集まっている。
09:50みんな自分と彼女の思い出というか、抱えている、誰にも言えなかった思いをその場で割と皆さん言って、
09:59弁護士同士で起きた性加害。声を上げようとしても、弁護士の世界特有の難しさがあるという。
10:13他の会社とかでハラスメントの被害があったら、それこそ弁護士に相談するとか、外部の窓口ということがあるんですけれども、
10:22ここはその最終的な紛争解決の最後の砦みたいなところなんです。
10:27原告側にも弁護士がつく。被告側にも弁護士がつく。身内で身内を、手続きをやっていくという、非常にそういう難しさがあります。
10:40今回の判決がニュースになった時に、コメント欄に、この弁護士は弁護士なのに自分で処理できなかったのかと。
10:49こういう問題があった時は、普通弁護士に依頼をするんだから、いろいろな手段を知っていたはずなのに、
10:56なぜ弁護士が追い込まれてしまったのかというコメントが本当に多くて、私たちむちゃくちゃショックだったんですよね。
11:02特にやっぱり、私たちのような小さい田舎の単位会は、全ての弁護士の顔が分かります。
11:11何かをやっている時も、相手の代理人の顔が浮かんだりして、遠慮がちになったりすることもあるんですよね。
11:17で、そういうこともあってかなかったかは分かりませんけれども、私たちこそ、なかなか声を上げにくいっていうのは、恐らくあると思うんです。
11:29大分県とは別のある弁護士団体が、セクハラについて行った内部アンケートの結果がある。
11:38所属する弁護士から、セクハラを受けたことがあるかという問いに、はいと答えたのは、回答者のうち22.9%。
11:54見聞きしたことがあると答えたのは、71.4%に上った。
11:59君の事務所は、女性は顔採用だが、よく採用されたねと言われた。
12:09老齢の男性弁護士が、女性弁護士にキスを迫った。
12:20弁護士の業界って、ちょっと、固定制度みたいな、職人機質みたいな、弁護士として一人前になるスキルを身につけていくために、ボス弁の言うことを聞いて、一生懸命学んでいくみたいな。
12:34ボス弁って言うんですね。
12:36ボス弁っていう言葉に、私反応しましたけども、皆さんの中でそれが当たり前。
12:45普通の業界を。
12:47アニ弁、アニ弁、アニ弁、妹弁、女性弁護士の先輩弁護士だったら、アニ弁とか。
12:53それは、その言葉自体がなんとなくね。
12:56そうですね。
12:57当たり前の話だと思ってたから、確かになと思って。
13:01かなりの、こう、縦社会なんだなというのが、ちょっと、聞いてて思いましたね。
13:09清本元弁護士は、2009年に、大分県弁護士会会長を務めた人物だ。
13:19裁判では、2人は恋愛関係にあり、自殺したのは、仕事の遅れが発覚するのを恐れたため、などと主張した。
13:32しかし、一審でも二審でも、恋愛関係は認められず。
13:40遺書の内容などを踏まえ、自殺の原因は、性加害にあると認定。
13:481億2,800万円余りの支払いを命じる判決が言い渡された。
13:54愛する娘を失った遺族は、判決後に、こうコメントしている。
14:02娘が努力を重ねて弁護士になった時被告事務所への就職が決まった時喜ぶ娘を見て私たちは心から喜びました
14:17あの子が、今も生きていたら、どうなっていただろう。
14:24娘は、どんなに大変な仕事でも、ただ普通の弁護士と同じように、仕事をさせてくれさえいれば、努力を惜しまず、責任を持って仕事に臨んだはずです。
14:38地元に、社会に、貢献できる弁護士に成長した娘の姿を、想像するような日々です。
14:50清本氏が所属していた法律事務所は、取材に対し、回答は差し控えさせていただきますと答えた。
15:00弁護士なので、セクシャルハラスメントはどんなものが害として、害としないのかということについての知識はみんな一定あるわけです。
15:10けれども、それでも事件が起きてしまう。
15:13だったら、何をすべきなのか、どうしたらそれが防いでいくことができるのかということは、多分、弁護士会全体での問題だとは思います。
15:23立場の違いを利用した聖火街は、検察庁でも。
15:36被害を受けてから約6年間、本当にずっと苦しんできましたので。
15:48大阪地検に勤める、検事の光さん。
15:532018年、大阪地検のトップ、検事生だった北川健太郎被告から、懇親会に出席したあと、酒に酔って抵抗できない状態で、性的暴行を受けたと訴えた。
16:12検察組織への影響と、自分への罰信を恐れ、被害を申告するまで、6年の月日を要したという。
16:27全ての私の権限を彼が握っていたんですよ。
16:31私の人事も、どういう仕事に就かせてもらえるかも、私がやっている事件を起訴するかどうかというのも、最終的な権限は彼にあったわけで。
16:43また、彼はすごい大阪、関西では本当に有名な、みんなから尊敬されていた人だったので、自分が被害申告するということは、それは検事をやめなきゃいけないということだと思っていたので。
17:00関西検察のエースと評され、絶大な力を持っていた北川被告。事件後に送られてきた、いわば口止めの書面も、光さんの申告を強く思いとどまらせた。
17:19今回の事件が公になった場合、私は絶対に生きていくことはできず、自死するほかないと考えている。大阪地検の検事制による大スキャンダルであり、発覚した場合、組織として立ち行かなくなります。
17:42光さんから事件について打ち明けられていた人がいる。34年にわたって検事を務め、今年3月に大阪高検を退職した田中和子さん。
17:58大阪高検に退職して34年間勤めましたあのビルの中に大阪高検が入ってるはい下が大阪地検で上が大阪高検です会で分かれてるんですか?
18:14講師にわたり光さんのことをよく知るという。
18:22私にとっては光さんはすごい親しい後輩で、旦那さんとすごく仲が良くて、子供さん可愛がってて仕事熱心で、北川と光さんと私と同じ部署にいた時もありますから、北川のことは上司としては尊敬してると思ってましたけど、男として見てるなんてありえないんですよね。
18:50被害から数年後、光さんはPTSDを発症。給食に追い込まれて間もなく刑事告訴に踏み切り、北川被告は準強制成功の疑いで逮捕起訴された。
19:09さらに光さんは大阪地検の同僚で事件があった日の懇親会にも参加していた女性副検事が、性行為には同意があったなどと検察庁内で広めたと訴えている。
19:28光さんは名誉毀損などの疑いでこの副検事を告訴告発したが検察は不起訴処分に。
19:40検察審査会に申し立てようと不起訴記録の開示を求めたが全て開示しないという回答だった。
19:55今、検察からもひどい被害、二次加害を受け、誹謗中傷されて、被害者の名前も全部言い広められて、こんな事態になるって分かってたら、私は多分、被害申告できなかったと思います。
20:10神戸地検時代、北川被告の部下だった田中さん。当時手掛けた一冊の指南書がある。
20:24性犯罪で不起訴になった事例や裁判で争点になりやすいポイントなどを捜査側の視点で記したものだ。
20:35これ実際の事件をベースにしてるんですけど、従前行為を抱いていたっていうのは、もうまさに不起訴になりやすい、最も典型的なパターンです。
20:46じゃあもうここに書かれていることも全部北川被告はもちろん知っている。
20:51知ってます。
20:52上で。
20:53はい。今の弁解というか、公判逃走をしていると思います。
20:58北川被告は初公判では罪を認めたものの、その後、性行為には同意があったと思っていたと無罪を主張する方針に転じた。
21:15性暴力事件の判例を元に主張を変えたのではないかと、田中さんは推測する。
21:24被告人が同意があると思ってたんですっていう同意誤審弁解って言うんですけど、この同意誤審弁解が通って無罪になった理不尽なケースが、性犯罪の事件には判例で山のようにあるんですね。
21:37このパターンだと無罪になりやすいとか、後で有利にできるとか、まあよく煩わされましたので。
21:48PTSD の治療で給食中の光さん。今、思うことは。
21:57法をつかさどる法の番人である検察庁でも起きていて、それでもその起きるたびに検証や再発防止策がとられてないんですよ。検察組織の傷口を広げないんですよ。同じことを繰り返されるだけだと思っています。それを阻止したいなと思います。
22:17今回、取材を受けてくださった皆さんは本当に勇気が必要だったと思います。私がお話を伺っていて感じたのは皆さん、自分の仕事をすごく愛していらっしゃるということなんですよね。だからこそ、その職を失いたくない仕事を続けたいという気持ちが強くて余計に声を上げづらいそういった面があると感じました。
22:43法律のプロなので、何がハラスメントなのか、何が性加害なのか。誰よりも熟知している業界なのに、人が1人亡くなっているんです。このことに本当に衝撃を受けて取材を始めました。
22:58女性弁護士が亡くなった大分県弁護士会では、セクハラ研修の義務化を決定しました。しかしただ、研修をするだけでは根本的な解決にはなりません。先ほどボス弁という言葉もありましたけれども、業界のカルチャーごと変えていかなければならないなと思っております。
23:17そうですね。そしてこの相手が法律のプロということは、戦い方を相手は知っている、熟知しているということですよね。その点もこの業界の難しさですよね。そうなんですよね。東京でも弁護士の方に複数取材をしたんですけれども、もうこんな例はごく一部だとか、大多数の人は絶対にそんなことしないという声をたくさん聞きました。しかしさらに取材したところ、VTRでもありましたとおり、7割が見聞きしたと。
23:44あったように全くそうではなかったと言えます。今後も取材を続けていきたいと思っております。

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