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教育
トランスクリプション
00:00私たちの暮らしや社会の未来が脅かされています
00:05大学や研究機関への圧力を強めるアメリカ・トランプ政権
00:18研究開発への助成金を打ち切り
00:23感染症対策や認知症予防など重要な研究が存続の危機に陥っています
00:30このままでは社会が健康対策や深刻な病気の予防法を失います
00:40日本人研究者も帰国を迫られる事態に
00:46研究テーマをアメリカで極めたかった道半ばでっていうのは本当に悔しいですね
00:52自由の国、アメリカで起きている異変
00:58私たちの社会はどうなっていくのでしょうか
01:11アメリカの動きはすでに日本の研究現場に影響を及ぼし始めています
01:18ここは人工衛星ゴーサートシリーズの研究をする実験室です
01:23地球温暖化の研究に取り組んできた国立環境研究所
01:30人工衛星を使った温室効果ガスの観測に
01:36NASAの最新の衛星のデータを活用してきました
01:39しかし、研究資金削減でNASAの衛星の運用が止まる恐れがあると連絡が入ったのです
01:58にわかには信じがたいですね
02:02そうしたデータが取れない、失われるということは
02:07非常に大きく対策にも影響してくる
02:09残念といいますか
02:11辛いところがあります
02:15アメリカで今何が起きているのか
02:21訪れたのは世界屈指の名門、ハーバード大学
02:32400年近くの歴史があり
02:38歴代大統領など名だたる人材を輩出してきました
02:47このハーバード大学に対しトランプ政権は
02:51日本円にして1兆3000億円に上る助成金などを
02:55見直すと発表したのです
02:57現地で取材を始めると
03:05政権との対立が深まる中
03:28緊張感が漂っていました
03:30大学では重要な研究が続けられなくなることへの
03:39懸念が広がっていました
03:40公衆衛生大学院のマーク・ワイスコフ教授
03:48歯を分析し
03:55認知症の発症などのメカニズムを明らかにする研究に取り組んでいます
04:00これらの研究は誰もが知りたいテーマだと考えていました
04:08治療法や予防策を模索することは重要だと
04:13しかし5月
04:16学長から突如メールが届きました
04:19自身の研究に使われる
04:222億円以上の助成金の打ち切りを知らせるものでした
04:27受け入れが高かったが
04:32あまりにも衝撃的すぎて
04:34まだ信じられません
04:36一晩で止めてしまうなんて
04:38今懸念しているのが
04:42研究者たちを雇い続けられるか
04:45認知症の研究などを支えてきた優秀な人材です
04:51次のステップがどうなるのか
04:58いつまで仕事があるのか分からないことに
05:02少し不安を感じています
05:04他の資金源が見つからない場合
05:09一部の研究者を解雇せざるを得なくなるでしょう
05:12このままでは社会が
05:15健康対策や深刻な病気の予防法を失うことになります
05:20トランプ政権が大学への助成金を打ち切る理由としたのは
05:32イスラエル軍によるガザ地区への攻撃に対する
05:36学生たちの抗議活動です
05:39政権は学生たちの監視を強化することなどを大学に要求
06:03一方大学側は
06:08独立性を失うとして
06:11それらの要求を拒否しました
06:13その直後
06:17助成金の一部が凍結
06:20放射線被曝の治療や
06:23ワクチン開発の研究なども
06:25その対象となったのです
06:27政権は他の有名私立大学に対しても
06:44数百億から1000億円以上の助成金を凍結しました
06:49さらに政権はハーバード大学に対し
07:08追加の措置に踏み切りました
07:10反ユダヤ主義を助長したなどの理由で
07:17留学生を受け入れるための認定を取り消し
07:21在学中の留学生も滞在資格を失うとしたのです
07:29全学生のおよそ3割を占める留学生たちには
07:36不安が広がっていました
07:38大学院に通う男性は
07:42衝撃を受けた出来事があるといいます
07:45近くの大学のトルコ人留学生が
07:50路上で突然当局に拘束されたのです
08:00この件以降
08:01明確な理由のない拘束が相次ぎ
08:04私も恐怖を感じました
08:06デリケートな話題について
08:09SNSへの投稿を控えるなど
08:12慎重に過ごしています
08:14政権が私を攻撃する
08:18不当な理由を与えたくないし
08:20ビザを取り消されることも避けたい
08:24ただ安全を確保し
08:26学位を取得したいです
08:27大学などへの圧力を強める狙いは何か
08:34現政権に政策提言も行う
08:38保守系のシンクタンクが取材に応じました
08:43大学は最も優秀な人材を輩出し
08:46偉大な発見をしてきたことで尊敬を集めました
08:50しかしあまりにも多くが活動家に変わりました
08:54政府にとって理想なのは
08:58学術界が新米的な姿勢を取り
09:02愛国教育を行うことです
09:06もし彼らが新米的な姿勢を取り
09:09自由を推し進めるならば
09:11トランプ政権は
09:13差別のない状態に戻ったと認めるでしょう
09:17政権の支持者たちは
09:25大学に対する厳しい姿勢に賛同しています
09:287月4日
09:57独立記念日
09:58自由を勝ち取ったことを祝うこの日に
10:05トランプ大統領が署名した法案には
10:08大学への増税も含まれていました
10:11アメリカの地はどこへ向かうのか
10:26ハーバード大学で政治学を研究するライアン・イノス教授は
10:38今、民主主義のあり方さえも脅かされていると警鐘を鳴らします
10:45大学は独立性を維持するために
10:52政府や指導者を喜ばせる必要はない
10:55というのがアメリカの伝統的な考えでした
10:59今目にしているのはそこからの根本的な脱却です
11:05私が懸念するのは
11:08これを当たり前だと受け入れてしまうことです
11:12そうなれば人々は
11:15政府から罰せられる恐怖に
11:18怯え続けることになります
11:19その時、私たちが暮らす国はもはや
11:23自由な社会ではないのです
11:26アメリカの学問はどうなっていくのか
11:30現代アメリカを研究する渡辺康史さんと
11:33よろしくお願いします
11:35渡辺さんはまさにハーバード大学の大学院務を卒業していらっしゃるということで
11:40今見た政権と大学の対立ってどういうふうにご覧になりましたか
11:44留学生がインタビューされることをあそこまで警戒しているというのは
11:48自分の頃では考えられないことなので衝撃を受けています
11:52アメリカが世界の学問をリードしてきたのは
11:55やっぱり学問の自由を大切にしてきたからなんですね
11:59民主党であれ共和党であれ
12:01政治というのはお金は出すけれども
12:04しかし研究そのものに手を出すということはしてこなかったと
12:07その不可侵の部分にトランプ政権というのは手を突っ込んできているということで
12:11ハーバードの場合は今司法の場で争っていますけれども
12:15中にはもう降参した大学もあるわけですね
12:20政治の顔色を伺うとき
12:24学問の自由というのは本当にあるのかね
12:27学問の未来はあるのか危惧しております
12:29抗議の声も上げられない現地の異様な空気感や
12:34研究現場の危機感など取材から見えてきた実態は
12:37こちらのQRコードから詳しくお読みいただけます
12:40今トランプ政権が圧力を強める研究ですとか
12:44学問を見ますと共通するキーワードが浮かび上がってくるんですね
12:49無駄遣い、反ユダヤ、多様性、リベラル、気候変動
12:56こういったものを否定する考えです
12:58トランプ大統領の今の頭の中ってどういうふうに分析されてますか
13:02例えばリベラルとか多様性というのは
13:06要するにここを叩くことによって自分の支持基盤というのは喜ぶだろうという
13:11アピール材料として考えていると思いますね
13:13トランプ大統領の支持者の中には
13:16エリートによって自分たちの生活が悪くなったというふうに
13:20反エリート主義の考えを持っている人は少なからずいて
13:24トランプ氏はエリートと戦っているという姿勢を示すことで
13:28支持者の結束を図ろうとしているんだと思います
13:31特に知名度の高い大学とか研究機関が
13:35トランプ劇場の格好のターゲットになっているというふうに思いますね
13:40トランプ大統領再選も果たして
13:42そして今回は周りにブレーキ役となるような人もいないので
13:47一期目の時はよりエスカレーションしているというふうに思います
13:50気になるのがですね
13:51私たちの暮らしにも関わるような研究が
13:55できなくなってしまうのではないかということなんですね
13:58こちらは助成金が打ち切られたり凍結されたりした例ですけれども
14:04新型コロナウイルス気候変動公共飲料水に関するもの
14:08そして欠格など本当に重要なものなわけですけれども
14:12どんな基準でトランプ大統領研究を止めているというふうに見てらっしゃるんですか
14:16科学者やリベラルが実際以上に脅威というのを煽り立てて
14:21社会というのを萎縮させようとしているということかと思いますね
14:26その一方で例えばアメリカの経済に直結する
14:30AIとか量子コンピューターに関しては
14:33助成をしているということかと思います
14:35こうした中で今アメリカの研究者たちの間には
14:39ある意識の変化が出始めています
14:41こちらはですね
14:43ある科学雑誌がアメリカの研究者1600人を対象に行った調査なんですけれども
14:49アメリカから離れることを検討していると答えた割合
14:5375%に上っているんです
14:56すでに人材の流出は始まっています
14:59母国アメリカを離れる決断をした
15:09大学院生のベンジャミン・キリーンさんです
15:13人工知能、AIを使った音声のみで操作ができる
15:30手術用ロボットを開発
15:32国際的な学会で最優秀論文賞に輝くなど
15:40将来が期待されています
15:42しかし
15:47所属する大学では
15:49政府からの研究資金が
15:51すでにおよそ1200億円以上打ち切りに
15:55周囲でも実際にストップする研究が出る中
16:03アメリカでは先行きが見えないと
16:06ドイツへ移ることを決めました
16:09今のアメリカは
16:15世界中の優秀な研究者にとって
16:17魅力的な環境ではありません
16:20多くの国の優秀な人と働きたいです
16:24こうした中
16:28今世界中で
16:30アメリカに集まっていた研究者を
16:32獲得しようという動きが加速しています
16:35カナダ最大の生命科学を研究する
16:44医療機関です
16:45日本円で33億円を拠出し
16:57100人の若手研究者獲得を目指す
17:01カナダリーズプロジェクトを開始しました
17:03アメリカを羨ましく見ていました
17:11カナダが医療と生命科学の研究をリードし
17:17新たな経済活動や国民の利益につなげたいと考えています
17:22さらに中国も
17:26近年
17:28海外の優秀な人材獲得に力を入れています
17:31先月
17:34政府で香港政策を統括する幹部は
17:38香港の主要八大学の学長らと会合を開きました
17:43アメリカのシンクタンクは
17:47中国が戦略的に研究者獲得を進めていると分析します
17:52あるノーベル賞受賞者は
17:59女性菌の凍結後
18:01中国への移住を打診されました
18:04中国の戦略家たちは
18:07アメリカとの対立において
18:09大きな追い風になると考えているでしょう
18:14日本も頭脳の獲得競争に乗り出しています
18:22去年
18:28国際卓越研究大学に初認定された東北大学
18:32国からの支援を受け
18:35世界トップレベルの研究水準を目指す取り組みを進めてきました
18:39先月
18:44今後5年間で
18:46およそ300億円をかけて
18:48研究者を獲得すると発表
18:50名門大学が集まるボストンなどで
18:56説明会も開催しました
18:58研究者を獲得する専門の部署には
19:08今アメリカからの応募や問い合わせが急増しています
19:13どんな研究者にアプローチするのか
19:29この日候補に上がったのは
19:33アメリカの気候変動の研究者2人です
19:36世界のトップの研究者になりまして
19:41今もこの先生を知らない
19:43気候研究者は世界でもいないだろうという方です
19:46最近も教科書を書かれまして
19:48その教科書が世界各国で使われています
19:50研究環境の整備やサポート体制についても
20:17話し合われました
20:18大学では戦略的に研究者獲得を進める一方
20:34今各国が協力する必要性も強調します
20:42トランプの政権の危機にあって
20:45受け皿にならなければいけない
20:46人類がさまざまな課題を抱えている中で
20:50研究には国境がありませんから
20:52やはりお互い力を合わせて
20:54課題解決に向かなければならない
20:56そういう時代だというふうに考えています
20:58こうしてアメリカの地が
21:02世界各地に流出していく中で
21:05世界はどういうふうになっていくというふうに
21:07見ていらっしゃいますか
21:08アメリカの資金に支えられてきた部分というのは大きいですので
21:12そこが縮小してしまえば
21:13世界全体の科学の発展というのが停滞してしまうと思います
21:17そして何よりもですね
21:19やはりアメリカの国力そのものが弱体化すると思いますね
21:22アメリカの強さというのは
21:24軍事力や経済力だけではなくて
21:27自由で開放的な制度を通して
21:30人材を世界中から集める
21:32いわゆるソフトパワーというものがあったと思います
21:35そこがアメリカのイノベーションの
21:38源泉になってきたと思うんですよね
21:40例えばノーベル賞の受賞者を見てみても
21:43アメリカが圧倒的に多いわけですけれども
21:45その3分の1というのは
21:47アメリカ以外の出身で占められていると
21:50それからアメリカを代表するスタートアップ企業だとか
21:54有力な500社の約半分がですね
21:57もともとアメリカ以外から来た人たちによって
22:00創業されたというデータもあります
22:02そこが失われればやはり
22:04アメリカ全体の国力が損なわれると思いますね
22:08そうすると世界のパワーバランスも変わっていくんでしょうか
22:11その可能性は十分にあると思いますね
22:14例えば冷戦時代なんですけれども
22:17アメリカを追われた中国の科学者が中国に戻って
22:22中国の宇宙開発の父と言われる存在になったケースもあります
22:26今回もですね
22:27アメリカから中国に戻った研究者が
22:32その後の中国の科学技術の発展を支えていくと
22:35その結果パワーバランスに影響を及ぼしていくという可能性は
22:38十分にあると思いますね
22:39となると中国への流出というのが加速するんでしょうか
22:43言語の壁もありますし
22:45それから中国の場合はやはり言論の自由というのが制約されておりますので
22:49私はむしろ例えばですけど英語圏
22:52同じ英語圏のイギリスとかカナダオーストラリアのようなところが
22:56まず検討されるのではないかというふうに思います
22:59となると言語の壁がある日本も獲得競争にはちょっと弱い立場ですかね
23:04そうですね日本は旅行先としては大変人気があるわけですけども
23:08研究環境がいいかというと必ずしもそうとは言えない
23:12例えばですけども給与体系などを見てみても
23:15実力主義というよりはいわゆる年功序列になっていますし
23:20それから給与水準もですね
23:22アメリカの2分の1分野によっても3分の1
23:25しかしその一方で担当事業数だとか
23:29あるいは学内業務の量というのはアメリカの2倍
23:33場合によっては3倍ということもありますので
23:351,2年ならともかくとして本格的に受け入れようとすれば
23:40かなり抜本的な制度改革を行う必要があるというふうに思います
23:43今のこのアメリカの地の流出の傾向というのは
23:47トランプ政権の4年で終わるのか
23:50その先も続くのかってどう見ていらっしゃいますか
23:52トランプ大統領の方針を引き継ごうとしている
23:56若い政治家もどんどん台頭してきていますので
23:58続く可能性は十分にあると思いますね
24:01アメリカには現在約110万人の留学生がいるんですけども
24:06彼ら彼女たちのネットワークを通して
24:10アメリカにとって大きな資産になっているわけですけども
24:14特に若い世代がアメリカから流出をしていけば
24:17それはアメリカの競争力というのを削ぐ
24:20まさにパワーバランスに影響を与えかねないと思いますね
24:24まさに私たちの暮らしに関わる未来が危ぶまれている
24:28今世界がどういうふうに乗り越えていったらいいというふうに考えていらっしゃいますか
24:32はいまさに今アメリカは戦後支えてきた
24:36牽引してきた自由貿易ですとか
24:38あるいは国際協調といったものに対して
24:41背を向けつつあると
24:43学問もその一つなのかもしれないですね
24:46そうであればやはりアメリカ以外の
24:49志を同じとする国々との連携とか協力というのが
24:53ますます拡充していく必要があると思いますね
24:55渡辺さんこの今の対立って
24:58今後どういうふうになっていくと見ていらっしゃいますか
25:00はい現在司法がですね
25:02結構トランプ政権の方針に対して
25:05ストップをかけている部分があります
25:06それからこの傾向が続いていけば
25:09やはりアメリカにとっても
25:11経済的な実害が及んでいくと思いますので
25:13どこかの時点でトランプ大統領も
25:16現実と向き合ってですね
25:18妥協点を見出していくということを
25:20期待したいというふうに思っております
25:22この4年以内でもしかしたら事態が
25:24好転するかもしれない
25:25そうですね
25:26それを願いたいところですね
25:27そういうことですね
25:27この学問の自由を守るために
25:30今アメリカでは研究者たちが
25:33声を上げ始めています
25:34世界的科学雑誌
25:39サイエンスを発行する
25:40学術団体の代表です
25:42今世界が連携して
25:46研究を途切れさせないことが
25:48重要だと指摘します
25:49今後4,5年で行うことが
25:55次の100年に影響するでしょう
25:57研究は過去の世代から受け継いできたもので
26:03将来の世代につないでいく必要があります
26:06コーネル大学に通う学生は
26:11新たな取り組みを始めました
26:13科学者の研究内容を
26:19全米各地の新聞で紹介してもらおうというものです
26:22自らの言葉で科学の意義を語り続けていくことで
26:34この状況を乗り越えようとしています
26:38新しいことを学んだなど
26:42感想が届きました
26:44広く現状を知ってもらい
26:47状況が変わってほしいです
26:49民主主義は機能していると信じます
26:52ご視聴ありがとうございました

お勧め

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