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ニューストランスクリプション
00:00流行りの厚床靴で意気揚々と街を活歩するアムラーたち
00:05一方でサラリーマンは過酷でした
00:09やってきたのは日本版金融ビッグバン
00:14総理は銀行の国際化を目指し競争させることにしたのです
00:21半和銀行に対し業務の停止を命じたところであります
00:27およそ1900億円もの不良債権を抱えていた関西の銀行にメス
00:34経営困難とみなせば容赦なく切り捨てる姿勢を見せたのです
00:48しかしバブル崩壊後もはや体力など残っていなかった日本の金融機関
00:54不良債権を大量に抱えたまま次々と倒れていったのです
01:06そして橋本総理から尾淵総理へ
01:11止まらない倒産ラッシュに総理は思わずこんなパフォーマンス
01:19平成大不況の波が日本の大手銀行を飲み込みました
01:361998年10月23日
01:46当時の総理府で報道陣に囲まれたのは
01:49日本長期信用銀行の越井氏副頭取
01:53柳沢博雄金融再生委員長に
02:04町銀の破綻を報告
02:06一時国有化を申請したのです
02:09窓という窓は紙で塞がれ
02:14カメラはシャットアウト
02:16無言を貫いた副頭動
02:25町銀が一時国有化を正式に発表したのは
02:29その6時間後でした
02:3146年の歴史に幕
02:35この破綻が日本にあのハゲタカファンドを呼び込むことになったのです
02:431998年11月
02:52町銀が国有化された翌月
02:55東京赤坂にあるTBSは
02:58ものものしい雰囲気に包まれていました
03:01アメリカのクリントン大統領が
03:08TBSの番組に出演することになったのです
03:12限界体制の中
03:23TBS入りした大統領
03:26この時かなり物騒なものが
03:31持ち込まれていたかもしれません
03:33あの日の防犯カメラの映像が残っていました
03:38握手を交わす大統領が映っています
03:42その40秒前
03:47カメラが捉えたこの男性が運んでいるバッグは
03:53核のフットボールなのでしょうか
03:57そうだとすれば
04:00中には核ミサイルの発射を命令する
04:03認証コードが書かれたカードや
04:05通信機器が入っているはずです
04:09持ち込まれていたのは
04:11そんな物騒なバッグだったのでしょうか
04:14アメリカ合衆国大統領
04:22ビル・クリントンさんです
04:23どうぞ
04:23番組の収録は
04:28市民の質問には何でも答えたいという
04:31大統領の要望を受け
04:33視聴者参加型で行われました
04:35目立ったのが
04:37経済や金融に関する質問でした
04:40今日本は本当に未曾有の不景気の中です
04:45銀行の貸し絞りなんかってのは本当に
04:48我々中小企業は一番最初に辛い思いをするんですが
04:50逆にアメリカの方では中小企業に対しての
04:54景気対策というのをどのように取られているのかどうか
04:56教えてほしいんですが
04:57ここで大統領の口から
05:16ハゲタカの襲来を予言するような発言が飛び出したのです
05:21ベンチャーキャピタルとは
05:40大きなリスクを取って
05:42高い収益を上げる投資会社
05:44これを銀行再建のために
05:49日本に送り込む可能性に触れたのです
05:52大統領の言葉はやがて現実となり
06:00その後大騒動へと発展するのです
06:03戦後池田駿大蔵大臣の下
06:09政治と密接に関わる国策銀行として誕生した長銀
06:14重工業への設備投資などを積極的に行い
06:19日本の高度経済成長の立役者となりました
06:24その後海外の不動産やリゾート開発にも
06:29巨額の融資を行い
06:31世界の長銀へと進化を遂げます
06:35しかしバブルの崩壊とともに破綻したのです
06:41それからおよそ半年がたった
06:461999年5月4日
06:49私たちはある人物の姿を
06:52意外な場所で見つけました
06:53アメリカを訪問した小渕総理が
06:59大統領主催の晩餐会に出席した時の映像です
07:03総理と同じテーブルを囲む一人の男性
07:09この人物こそ
07:13長銀買収に名乗りを挙げた
07:15ティモシー・コリンズ氏
07:17アメリカの投資ファンド
07:19リップルウッドホールディングスの代表です
07:22この頃
07:27政府は長銀の破綻処理のため
07:30巨額の公的資金を入れ
07:33一時国有化
07:34売却先の選定を進めていました
07:38その最中
07:43コリンズ氏は直接日本のトップに接触していたのです
07:47それから半年
07:51長銀の売却先の候補は
07:552社に絞られていました
07:57日本の信託銀行と
08:00あのコリンズ氏が代表を務める
08:03アメリカのリップルウッドホールディングスです
08:09わずか4年前に作られたこの会社を知る人は
08:12まだ多くはありませんでした
08:18当時この選定に当たっていた一人が
08:21柳沢金融再生委員長です
08:25外資ファンドに傾く胸の内を明らかにしていました
08:32外国税が長銀を取得をして
08:36そして非常に革新的な経営をするということが
08:40日本の金融界の刷新にいい影響があるというのは
08:46誰が考えてもこれはっきりしていると思います
08:48そして翌2000年2月
08:52政府はリップルウッドへの売却を正式に決定
08:57町銀は申請銀行として生まれ変わったのです
09:03しかしそれまで4兆円もの公的資金を投入したにもかかわらず
09:12売却額はわずか10億円
09:14国会で批判が吹き出します
09:19これは何でこういうことになったのかと
09:24もうすぐこれ国民に胸を張って言える契約であるべきです
09:27これはあくまでですね
09:29買い手に足元を見られてあるんです
09:32先方との話し合いの結果
09:34今のような数字が決定になったわけであります
09:37批判に拍車をかけたのが
09:42国とリップルウッドが交わした契約内容でした
09:46申請銀行の融資先が返済不能になった場合
09:53その損失を国に肩代わりさせるというもの
09:57つまり申請銀行は傷一つ負わないのです
10:07譲渡から3年以内という条件付きだったため
10:11申請銀行はこれをフル活用
10:14厳しく返済を迫られ
10:20値を上げた総合などの大企業が次々と倒産します
10:25その度に申請銀行は国に損失の買取を求め
10:31短期間での資金回収に成功
10:34町銀時代の負債を解消していったのです
10:40おめでとうございます
10:432004年申請銀行は当初一部に再上場
10:48その後リップルウッドはおよそ7割の株式を売却し
10:545400億円もの儲けを手にしました
10:58日本の巨額の資産が海外へ
11:05なぜこんなことが起きたのでしょう
11:08当時金融監督庁で
11:15町銀の破綻処理に当たった
11:17五味博文氏はこう振り返ります
11:20大きな銀行が破綻した場合の
11:24その破綻処理の仕組みというのがなかったんですね
11:29当時はやっぱり外国のファンドにはもう
11:34何本も引けを取るっていうか
11:38どうにも競争相手
11:40競争できるような環境に日本はなかったっていう
11:44コリンズ氏は町銀買収後も
11:49日本コロンビアやフェニックスリゾートなど
11:52国内の企業を立て続けに買収
11:55日本を去る時にこんな言葉を残しました
12:01私たちは確かに野心的に利益を追い求めていますが
12:09これは買収した企業の質を高めるなど
12:13努力をした結果生まれる利益です
12:16だから対価として
12:19私たちが当然得られるものと思っています
12:22アメリカの投資ファンドを前に
12:27無防備すぎた日本
12:29支払った授業料はあまりにも高額でした