- 2025/5/14
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ニューストランスクリプション
00:00東京都心の高層ビル街
00:10幹線道路の脇にその現場はあります
00:18大勢の人が利用し深夜でも明かりが灯るバス停
00:30冬が近づいていた去年11月ここで一人の女性が殴られて命を落としました
00:43亡くなったのは路上生活をしていた大林美紗子さん64歳
00:54事件の半年ほど前に仕事を失いバス停で寝泊まりするようになったとみられています
01:04所持金はわずか8円でした
01:09コロナ禍で起きたこの事件
01:16波紋が広がりました
01:19彼女は私だ
01:26人事とは思えない
01:31ネット上には事件から半年近く経った今も
01:39大林さんに自らの境遇を重ねる人たちの声があふれています
01:45その多くは困難な状況に追い詰められた女性たちでした
01:55私だったかもしれない
02:02やっぱり世界に殺されたんだなって
02:07なぜ一人の女性の死をきっかけに
02:15多くの人たちが声を上げ始めたのか
02:19大林さんの最後の足取りを追いました
02:26事件の現場となった東京渋谷区にあるバス停
02:46大林さんは去年11月16日
02:54このベンチで休んでいたところを
02:57突然男に殴られ亡くなりました
03:11大林さんがここに姿を見せるようになったのは
03:15新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた
03:19去年春頃
03:21生活用品を詰めたスーツケースを敷いて
03:30街中を転々とし
03:32夜の間だけバス停で体を休めていたとみられています
03:38ここで紙にとって少しこうやって
03:44あそこの椅子に座りながら寝てるんです
03:48時間帯は12時とか
03:54だから週バスが終わってからかなっていうイメージでは
03:57見てたんですけど
03:59バスが来る時間帯ほど人がいるじゃないですか
04:03いなくなってからひっしょりと
04:05事件当時の気温は10度
04:13大林さんはセーターを重ね着しいつものようにここで休んでいました
04:21午前4時前
04:30大林さんはペットボトルと石が入った袋で頭を殴られ
04:37命を落としました
04:38事件から5日後
04:47近くに住む46歳の男が
04:50障害致死の疑いで逮捕されました
04:53実家の酒店を手伝いながら
04:58ボランティアで地域のゴミ拾いをしていました
05:02男はこう供述していると言います
05:10邪魔だった
05:14痛い思いをさせればいなくなると思った
05:19なぜ大林さんは路上で命を落とすことになったのか
05:37取材を進めると
05:42亡くなる1ヶ月前に
05:45近所の人が撮影した写真が残されていることが分かりました
05:50大勢の人が大林さんの姿に気づいていました
05:58しかし声をかけた人はほとんどいませんでした
06:05顔自体は見てないんですけど
06:09ずっと下向いてたって状態
06:10どうすることもできないし
06:14なんか声かけたり
06:15ただちょっとした優しさとかが
06:18何になるかも分からないし
06:19言うこと聞かない女だからと言って
06:40殺さないでください
06:45事件から2週間余りがたった
06:48去年12月上旬
06:50大林さんを追悼する集会が開かれました
06:55女性を中心におよそ170人が集まり
07:02事件は決して人事ではないと訴えました
07:11その一人、綾名さんです
07:14ロウソクを持って自分で作っていきました
07:20大林さんに追悼の意をちゃんと示したいなっていうふうに思っていて
07:28綾名さんはIT企業で働いていましたが
07:35休日の出勤や深夜まで及ぶ仕事に限界を感じ
07:41去年8月、転職しました
07:44しかし、コロナ禍では求人そのものが少なく
07:51働く条件はより厳しくなったといいます
07:56月収が半減する中
08:09食費を切り詰めて
08:12なんとか生活しています
08:17このまま不安定な生活を続けていれば
08:21自分もいつ同じような状況に陥っても
08:26おかしくないと感じるようになったといいます
08:29例えばコロナで倒れてしまって
08:331ヶ月、2ヶ月とか仕事できなくなってしまった時とかに
08:37生活費もないホームレスになってっていう状況って
08:40あり得るなっていうことを考えるようになったんですよね
08:44やっぱり彼女は私だって私も思ったし
08:49大林さんがバス停にたどり着くまでに
09:00何があったのか
09:02頼れる人はいなかったのか
09:06事件から4ヶ月が経ち
09:16埼玉県内に暮らす弟に話を聞くことができました
09:272歳年下のケンジさんです
09:30見せてくれたのは
09:40手元にたった1枚しか残されていないという
09:43大林さんの写真
09:4520代の頃のものです
09:48広島で生まれ育った大林さん
09:54人と接することが好きで
09:57アナウンサーや声優になることを夢見ていました
10:02一番こう夢に向かって突っ走ってる時期じゃないかなと思いますね
10:17広島で劇団員としての活動や
10:20結婚式の司会の仕事をしながら
10:23いつか東京で夢を叶えたいと話していたといいます
10:29そして27歳で結婚し
10:39東京での暮らしが始まりました
10:42しかしわずか1年で離婚
10:48弟や当時の友人によると
10:52夫からの暴力が理由だったといいます
10:56そのまま1人東京にとどまり
11:05コンピューター関連の会社に勤めましたが
11:08仕事についていけないと悩み
11:1130歳の時退職しました
11:14その後は数年おきに
11:22転職を繰り返しながら暮らしていました
11:25自分の留めを追ってる自分っていうのがあるじゃないですか
11:35当然うまくいかなければ
11:39くづけそうになることだってあるだろうし
11:42いろんな意味で葛藤をしながら
11:45生活してきたんだと思います
11:47そんな不安定な生活の中でも
11:56大林さんは毎年
11:58ケンジさんや広島に暮らす母親に
12:02手紙を出していました
12:04お元気ですか
12:09良いお年をお迎えください
12:12美咲子
12:14いつもこういうかわいいラストを書いてくるんです
12:19自分とか母親に対しても
12:23気を使ってくれてるなと思いましたね
12:28毎年毎年送ってくれてて
12:34しかし4年前の冬
12:39このクリスマスカードが届いたのを最後に
12:44姉からの連絡は途絶えました
12:46時々電話をかけてみましたが
12:51繋がらなかったといいます
12:53そして
12:58去年11月
13:00警察から姉が事件に巻き込まれたと
13:05連絡がありました
13:06路上生活をしていたことは
13:16この時初めて知りました
13:19追い詰められながら
13:43なぜ助けを求めてくれなかったのか
13:47ケンジさんは今も考え続けています
13:52ギリギリ
13:56どうにも亡くなったら
13:59兄弟とか親しかいないじゃないですか
14:05人の助けが変わりないで
14:10生きていこうという
14:12そういう気持ちが強かったんじゃないですかね
14:18そうとしか考えようがないと思いますね
14:22悔いが残るというか
14:28もっともっと近づいてあげればわかったなと
14:35大林さんは亡くなるまでの間
14:46どのように暮らしていたのか
14:49手掛かりを探す中で
14:5610年近く一緒に働いていた女性に
15:00たどり着きました
15:01上野ひろ子さんです
15:04短期契約の試食販売員として
15:13関東各地のスーパーに派遣され
15:15事件の10ヶ月前まで
15:18時々大林さんと一緒に仕事をしたといいます
15:2360歳を超えた大林さんが
15:29毎日7、8時間
15:31食品売り場に立ち続け働いていた姿が
15:35忘れられないといいます
15:37小さな男の子が通りかかった時に
15:47大林さんが声をかけて
15:50支援を勧められて
15:53すごく喜んで支援をしていたんです
15:59飲み終わって帰る時に
16:03小さな男の子が大林さんに
16:11おばちゃんありがとうみたいな感じで
16:14手を振ったんです
16:16そしたら大林さんも
16:20ありがとうって言って
16:21手を振っていらして
16:24とてもニコニコしていらして
16:27小さいお子さんが好きなのかなと思います
16:371日に得られるのはおよそ8000円
16:41会社の都合で急に仕事がキャンセルになることも多く
16:45生活が苦しいとよく口にしていたといいます
16:50ガス代や電気代も
16:57バイト代を受け取ってすぐに払っていらして
17:01もらうとすぐコンビニに行ってらっしゃいました
17:091日1日過ごすだけで
17:13精一杯行ってらっしゃったんじゃないかなと思うんです
17:174年前大林さんは住んでいたアパートから姿を消しました
17:26家賃を支払うことができなくなっていました
17:32夜行ったから全然分からなくて
17:43それで連絡が取れなくなっちゃったからね
17:47私もミシンやってるもんで
17:50ちょっと小さなバッグ作ってあげたのね
17:53そしたら喜んで
17:55私の家保にしますとか言ってくれてたんですけどね
18:026年間付き合いがあった公屋の女性にも
18:07詳しい事情は話していませんでした
18:10そうですね
18:14やっぱり話聞けばなんとかね
18:18相談に乗れたのかなとは思ってたんですけども
18:24残念なと
18:32大林さんがアパートを去ったのは
18:34家族との連絡が途絶えた時期と重なっていました
18:39大林さんは住まいを失った後も
18:50試食販売の仕事を続け
18:52自分の力で生活を立て直そうとしていたといいます
18:57アパートを出られたばかりの頃は
19:02お化粧してらしたと思うのですが
19:06日が経つにつれて
19:08ノーメイクになってらして
19:13お顔は夏場とかすごく日に上げてらしたんです
19:20頑張っても頑張っても
19:23なかなか
19:25這い出せなくて
19:28新しく
19:30マンションなりアポートを
19:34借りることが
19:36できにならなかったのかなって
19:40大林さんが生活保護などの支援を求めた記録は
19:50かつて住んでいた区の役所にも残っていませんでした
19:55なぜ助けを求めなかったのか
20:06長年
20:10路上生活者を支援してきたNPOの代表は
20:14特に女性は警戒感が強く
20:18つながりを持つことは容易ではないといいます
20:21やっぱり率直に怖いっていうのはあると思うんです
20:29多くの男性とかに声をかけられたりとか
20:34なかなか声をかけようとしても身構えてしまう
20:38さらに生活保護を申請した場合
20:43親族に連絡が行くこともあり
20:46多くの人がためらう理由になっているといいます
20:50家族とか連絡を取られるっていうことを聞いていたりすると
20:59言いふらされるようなものというか
21:01なおさらそういうところに声を出せない
21:03っていうところがあったりすると思うんです
21:05知られたくないとか
21:07私のせいなんだから私何とかしよう
21:10路上に至るまでの間に
21:12自分自身を孤独に追い込んでいってしまう
21:15大林さんは
21:24たどり着いたバス停で
21:26どんな思いで過ごしていたのか
21:28かつて同じように路上で生活した経験がある
21:42キサラギミライさん
21:4421歳です
21:46寝れないですよこれ無理ですよ
21:58大林さんが毎晩体を休めていた
22:04奥行きわずか20センチ余りのベンチ
22:09なんか心幅めちゃめちゃ狭くないですか
22:16ってここあるし
22:18どう頑張っても横になれないなって
22:22絶対しんどかったなって思います
22:30キサラギさんは
22:37父親の性暴力がきっかけで
22:40家出を繰り返すようになり
22:4214歳から施設で暮らしていました
22:4617歳の時
22:50住み込みの飲食店でアルバイトを始めました
22:56しかし心のバランスを崩して
22:59働き続けることができなくなり
23:02住まいも失いました
23:04その後SNSで出会った男性の家を
23:11転々とするようになったキサラギさん
23:14時には公園やビルの非常階段で
23:21夜を過ごすこともありました
23:23そんな生活が1年半近く続きました
23:30布団で寝たいってずっと思ってて
23:36それ以外何も考えられなくて
23:39誰に助けを求めるっていう選択肢もなくて
23:45私はここにいるけど
23:48向こうの人たちは
23:49別世界の人間っていうか
23:53私はきっとこの世界にはいないんだなっていう
23:56感覚でしたね
23:58どうやったら気づいてもらえるんだろう
24:02孤立って本当に
24:05いつでも死ねる状況になっちゃうなって思います
24:09去年8月
24:16キサラギさんは
24:18生活に困窮する若者を支援している団体を
24:22ネット上で見つけ
24:23ようやくアパートを借りることができました
24:27大勢の人が行き交う中で
24:35なぜ誰一人
24:37大林さんに寄り添うことができなかったのか
24:41問い続けています
24:44私のそういう過去で
24:50その時過ごしてた生活って
24:53100人いたらほぼほぼ全員がありえないっていうか
24:57自己責任とかいう世界だし
25:02じゃあなんで助けを求められなかったの
25:05みたいな言い方もされるし
25:06その人が
25:09なんでその状況になっちゃったかって
25:14見つけられる社会がないんだなって思います
25:27取材を進める中で
25:32大林さんの写真がもう一枚見つかりました
25:50取材を進める中で
25:56大林さんの写真がもう一枚見つかりました
26:00亡くなる2ヶ月前
26:06バス停近くの商業施設で撮影されたものです
26:10その頃
26:16新型コロナウイルスの感染拡大によって
26:20対面で行う試食販売はほとんどなくなっていました
26:25大林さんは
26:29焚き出しなどに頼って
26:31一人命をつないでいたとみられています
26:35今朝東京渋谷区の路上で
26:45高齢とみられる女性が倒れているのが見つかり
26:47搬送先の病院で死亡しました
27:00亡くなった時
27:01大林さんのわずかな所持品の中から
27:05使い古され
27:07契約が切れたスマートフォンが見つかりました
27:10中に残されていたのは
27:16試食販売員として働いていた頃の
27:20自分の写真が一枚
27:23一緒にあったメモには
27:26弟と母親の連絡先が書かれていました
27:30英国放送機
27:51これをお買い得。
27:52こちら
27:53遠いとこから見ているような
28:00私たちの暮らしって実は大林さんのバッセとつながっているかもしれない
28:05切実に自分と重なっている人たちがいる
28:23他の場所と比べてこういうバス停だから明るいし
28:32人通りもあるし
28:37少しでも自分が社会にいるって感じたかったのかなっていう
28:42本当に一人だと寂しいし
28:48ここだったら少しが
28:50届き感?孤立感なかったのかな
29:20未来のような
お勧め
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