- 2025/7/9
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ニューストランスクリプション
00:00私は死刑を宣告された
00:05誰がこれを予測したであろう
00:10哲学書の余白をうずめ尽くすように書き込まれた遺書
00:18終戦翌年にシンガポールの刑務所である青年が書いたものでは
00:25死の数日前偶然にこの書を手に入れた
00:32死ぬまでにもう一度これを読んで死に赴こうと考えた
00:43私の死にあたっての感想を断片的に書き綴っていく
00:49紙に書くことを許されない今の私にとっては
00:55これに記すより他に方法はないのでは
00:591941年12月8日
01:06日本が始めた太平洋戦争で犠牲になった兵士は
01:11銃弾に倒れたものだけではない
01:14無実を訴えながら戦犯として処刑された
01:19一人の学徒兵がいた
01:21私は何ら死に値する悪はしたことはない
01:29悪を成したのは他の人である
01:34しかし今の場合弁解は成立しない
01:40彼の責任を私がとって死に
01:45木村久雄は経済学者を目指し
01:52哲学士を愛読する文学青年だった
01:56木村さんがいつもと思ってた離れがここにあったんです
02:022階だった
02:03長い時1ヶ月も止まったんです
02:07朝起きるのに鳥の声で目が覚めて
02:10それすごく喜んでいた
02:13夜ちょっとプラッとここらへん歩いて
02:16星が見えるって喜んで
02:18大阪で生まれた木村は
02:22高校時代を高知県で過ごした
02:25思い出すのは何を言っても高知です
02:33境遇及び思想的に最も波乱に富んだ時代であったから
02:40思い出も尽きないものがある
02:43気に入ってよく訪れたという
02:48井の野という山深い場所に
02:51木村が極中で書いた歌が刻まれている
02:55今年5月には木村の生誕100年という節目に
03:02多くの人が集い花を手向けた
03:05音もなく我より去りし者なれど
03:11書きて忍びぬ明日という字を
03:16明日という日はなかったんですね
03:22夏日は木村が常宿にしていた
03:27温泉宿の主人の呼びかけで立てられた
03:31その妻今戸美智子さんは
03:35今も毎日手を合わせている
03:37悔しかったでしょうけどね
03:42この人のことは忘れてほしくないですね
03:45学問の道を志し
03:54京都帝国大学に進学した矢先
03:57木村の夢がついえることになる
04:01当時の手帳には
04:04入学式の1週間後に
04:07徴兵検査の文字が書き込まれている
04:10戦況の悪化に伴い
04:13それまで徴兵を猶予されていた
04:16大学生も招集され始めた時期だった
04:191942年10月1日
04:25陸軍に入園
04:27木村は南方の島に送られ
04:31終戦まで守備隊を務めたが
04:34日本に帰ることは二度となかった
04:38木村を待ち受けていたのは
04:40BC級戦犯という名前の事の死刑戦国だった
04:45私は戦終わり
04:49再び書斎に帰り
04:52学の精進に没頭し得る日を
04:55幾年待っていたことであろうか
04:57しかし全てが失われた
05:01TBSに木村に関する一本のテープが残っている
05:10木村の死から23年後の1968年
05:21東京や中で法要が営まれ
05:25木村の遺族や戦友が参列する様子を放送していた
05:30お母さん
05:31久保さんはとても気持ちの優しい息子さんだった
05:37という風になっていますけれども
05:39お母さんやお父さんとても大事にしてくれましたですか
05:43優しい子でございましたしね
05:45何申しましてもね
05:49返答いたしましてね
05:51本当に優しい子供でございました
05:55とてもそれから勉強家だったんじゃないですか
05:58子供のうちからね
06:00よく本を読ませてございます
06:03軍人さんにはあまり向かないような
06:07お兄さんだったんじゃないでしょうか
06:08ほど遠いような形でございました
06:11なんか軍隊のことについて
06:14お妹さんに話してたことはありました
06:17こんな馬鹿らしい戦争に参加するの
06:20嫌だっていうことはよく言っておりましたんです
06:22海戦翌年
06:25日本軍は戦略上の重要拠点として
06:29インド洋に守備隊を配置していた
06:32その中のカーニコバル島という島で
06:36語学が堪能だった木村は
06:39民政部に配属され通訳を任されていた
06:42後の戦犯裁判で木村が問われた罪は
06:47現地住民を拷問し死亡させたというものだった
06:52戦犯というようなね
06:55何か犯罪者の汚名を着せられたということは
06:57非常に何かお母さんとしては
06:59本当にね
07:01戦犯で亡くなったってね
07:04お越しくださいました時には
07:06本当にもう世の中真っ暗になりました
07:09終戦間近の1945年7月
07:16カーニコバル島を占領していた日本軍は
07:20イギリス軍から艦砲射撃を受けた
07:23この時
07:25現地住民がスパイになって
07:27照明弾を使い
07:29日本軍の場所を教えたのではないか
07:32との噂が持ち上がる
07:34このスパイ容疑を理由に
07:38日本軍は現地住民を拷問処刑し
07:4185人を殺害した
07:44木村は通訳として
07:48住民への取り調べに当たっていた
07:50私は何一つ不面目なることはしておらないはずだ
07:59カーニコバルに終戦まで中途していた人ならば
08:05誰もが皆
08:06私の身の公明盛大を証明してくれることを信ずる
08:12翌年シンガポールで行われた戦犯裁判で
08:20木村をはじめとする下級兵士5人が死刑
08:24責任は自分にあると証言した
08:28旅団長も死刑になったが
08:30事実上の住民虐殺について
08:33命令を下す立場にあった上官は
08:36無罪となった
08:37木村の同僚が
08:42一連の事件と裁判の戦をこう語っている
08:47木村さんが盛んにその無実をずっと訴え続けられていたということは
08:53大野さんよくご存知で
08:54私自身もそうですからね
08:56実際上昔の軍隊ですね
09:02昔の軍隊で我々がですね
09:05上官の命令に伏さないということは絶対できないわけなんです
09:09そういうことで結局木村の場合もですね
09:12おそらく上級者
09:16私たちからいれば逃げてしまったと
09:19言うよりはないと思う
09:21私が命令したんだということは
09:23言ってくれなかった
09:24それを言ってくれませんね
09:25それは絶対言ってくれませんでした
09:27イギリス軍の方にはですね
09:30通訳という職務がそういう権限がないというようなことは
09:33分からなかったんでしょうかね
09:35一家的にはですね
09:37誰がやってもとにかく木村また私にかかってきたんですね
09:42どの兵隊よりも極端に言えばですね
09:46油断町閣下だとか
09:47そういう方のお名前知らなくてもね
09:49我々の名前だけは行き渡ってしまったんです
09:52具体的に命令を出すというと
09:55どの辺りの方々になるわけですか
09:57聞く三方でしょうね
09:59陸軍に三方がおりました
10:01その人は無罪で帰りましたよね
10:03拷問せよ
10:07あるいは処刑せよとの命令を下した三方ではなく
10:11通訳ゆえに現地住民から顔と名前をよく覚えられていた木村が
10:17裁判で最も不利な立場に立たされた
10:21木村はこの裁判がいかに不当だったかということを訴える
10:26遺書にはこんな記述がある
10:32私は上級者たる証拠ずれより
10:39法廷における真実の陳述を成すことを献金され
10:44先般裁判で禁じられた真実の陳述とは
10:52先般死刑となった木村久雄は裁判について遺書にこう書き残している
11:02私は上級者たる証拠ずれより
11:08法廷における真実の陳述を成すことを献金され
11:13それがため
11:15命令者たる上級証拠が懲役
11:19私が死刑の判決を下された
11:23これは明らかに不合理である
11:27遺書にですね
11:31上官の方から真実の陳述を禁じられたというふうに書いてあるんですが
11:39やっぱりこの上官というのがその参謀のことを言っているんでしょうかね
11:43大変にこの遺書の中でもないが
11:46そうですね
11:46ほとんどはね
11:47参謀がですね
11:49命令しなければ取り調べに当たるということはなかったはずなんですよね
11:53その命令た人がですね
11:55命令をしたという公文書があるわけではないんですからね
11:58その人選対策において
11:59ですから
12:00その命令した人がですね
12:02私はそういうことを命令したことはないと一言言ってしまえばですね
12:05もうそれで終わりなわけですよね
12:07参謀の命令を証明するものがなく
12:12下級兵士が勝手に虐殺をしたという主張が
12:16裁判で通ってしまったのではないか
12:19木村の同僚が参謀への怒りをとろしていたさなか
12:24法要の場に一人の男性が現れる
12:29命令を下したとされる参謀本人だった
12:33今いろいろと斉藤さんのお話をしていたところなんですが
12:42お疲れ様です
12:43大変
12:44大変なことになりました
12:48みんな私の一人のためでございまして
12:51誠に申し訳ありません
12:53今日ここにおいでになりまして
12:58どういうお気持ちでございますか
13:00皆さんに対して誠に愛すまない
13:06お気の毒だと存じております
13:07愛すまんだけじゃすまんでしょうあんた
13:11愛すまんだけであんたここよく来られましたね
13:16金額んだけじゃないんですよ
13:20あんたのために亡くなったのは
13:23そうでしょ
13:25私は十分責任は感じますけれども
13:28これはもう
13:30もう少し申し上げてよろしゅうございますか
13:34あの時の当時の状況を申し上げましょうか
13:39はい
13:40私は20年の1月の末頃
13:47ニコバルに着任いたしました
13:50参謀は事件当時について釈明を始めた
13:56そういう判断するんです
13:57これは
13:59これは池本部隊でございます
14:03あそこでもってちょうど
14:05今の艦砲撃撃を受け
14:08あるいは空襲を受けまして
14:10今にも敵が上陸してくるような状況でございました
14:15両難としては全党を挙げて
14:18戦闘準備に一生懸命なっている時代でございました
14:22臨戦態勢に入っていた参謀は
14:26日本軍の居場所を敵に知らせたと思われる
14:30現地住民がいるとの一報を受け
14:33実際に電話で命令を受けたという人物は
14:53当時のやり取りについてこう証言する
14:56米盗人が出たと
14:59あるいはこの者が対抗車の信号をしているというようなことを
15:04まず僕は参謀に電話がかけたんです
15:06ところが参謀の代わりに復刊が出てきて
15:10そのまま殺してしまえと
15:11いきなりそう言うわけなんですね
15:14あるいはまたそれまでに
15:16軍隊のものを盗んだやつはもう死刑せろと
15:19民政部は何という手塗り事をしているんだということが
15:22一般の軍人からよく出るわけなんですね
15:26そこでそういう普段の状況に加わるに
15:31こういう官房車役で
15:33そういうやむを得ざる極限状態であるということですか
15:36そうなんですね
15:37いつは我々が撃砕するか分からないという状態において
15:40それは命令を下したことは分かります
15:42ですけどね
15:44そのこと戦争終わってね
15:47裁判になって
15:48なぜね一言ねおっしゃっていただけなくて
15:52極限状態にあって
15:55軍全体が住民を処刑すべきだという雰囲気だったという
16:00しかし木村の同僚がこだわったのは
16:04裁判での参謀の証言だった
16:07皆さんに対して誠に愛すまない
16:13お気の毒だと存じております
16:14愛すまんだけじゃすまんでしょうあんた
16:18愛すまんだけであんたはこれよく来られましたね
16:23いつ我々が撃砕するか分からないという状態においてね
16:27それは命令を下したことは分かります
16:29ですけどね
16:31そのこと戦争終わってね
16:33裁判になって
16:35なぜね一言ねおっしゃっていただけなくて
16:38そうすればね
16:40あの斎藤さんの斎藤さんがですね
16:42一規格下のようにですね
16:44責任は私にあるという言葉一つだけでね
16:48言ってくださってね
16:49それで無罪でお帰りになるんですったら
16:51私たちはね納得すぎますよ
16:53ですけどね
16:54木村君なりがですね
16:56死にまで忘れなかったのはですね
16:58なぜ言ってくれなかったんだと
17:00いうことだと思うんですよね
17:03それは私も証言する予定にしとったんでございます
17:09ところが
17:10これは弁護士がですね
17:14斎藤さん言っちゃいけない
17:16言いなさんなという風に言われたんです
17:19これは私としても
17:21まことに不甲斐ないことは
17:23十分自分で認めます
17:25認めますけれども
17:27これは上の方で
17:31全部命令したんだと
17:33こういう風に言われてもですね
17:35あの党に
17:35これはこうなんです
17:37だいたい政治的なことになっておりましてですね
17:40この裁判も
17:41そういう風に判断するんです
17:42詰め寄られた参謀は
17:46裁判で証言しなかったことについて
17:49政治的な判断があったと説明する
17:53招待してもよろしいということを言ったのは
17:58斎藤さんじゃないんですか
17:59いやそれはですね
18:00これはあの
18:01私一人で言ったように思いちゃいます
18:04それは私の参謀ですからね
18:06それは私の事件が有力になります
18:08これはもう
18:08だけどこれはあの
18:10一時閣下おられます
18:11それから十四刑の司令もおられます
18:14坂上千代さんも
18:14そういう言葉をね
18:16吐けるような状態だったでしょ
18:18それはね
18:19これはよく調べろと言ったんですよ
18:22十分に調べると
18:24こういうふうに言うた
18:24拷問したかどうかってことは
18:25僕は知りませんけどね
18:27拷問言うのはですね
18:28その向こうは拷問という言葉を使うんですよ
18:30法廷でね
18:31真実の真実を
18:33することはならないって
18:35斎藤さんがおっしゃったって
18:36うちの兄の遺書に書いてございますんですけど
18:38は?
18:39真実のね
18:40真実をすることはならないってね
18:42真実を?
18:43あの
18:43この事件に関してね
18:45そのことを言ってはいけない
18:47斎藤さんが
18:48全部責任を負うから
18:49何も黙ってろって斎藤さんがおっしゃったっていうこと
18:52以上にも書いておりますんですよ
18:54本当に残念だと思います
18:56結局参謀は
19:00住民に対する虐殺命令も
19:03裁判での証言も
19:05全て自分一人の意思ではなく
19:07軍部全体の判断だったと主張し
19:11やり取りは終わった
19:13最後に一つ
19:1623年間
19:18おそらく辛いこと
19:20苦しい生活の連続だったと思うんですけれども
19:24しかし何か
19:25お母さんがその間に
19:27良かったなとか
19:29嬉しかったなというようなことがありますか
19:31それを一つ伺いたい
19:33一回もございません
19:35今まであの子のことにつきましては
19:39鳥なしばっかしいたしまして
19:42暮らしてまいりましたんで
19:44楽しいことなんて
19:47何にも考えてもございません
19:49戦争前に学校なんかも入りました時には
19:53難しいことが書いてあって
19:55それだけでございます
19:57太平洋戦争を主導した罪を問われた
20:03A級戦犯で
20:04死刑になったのは7人
20:07一方
20:08BC級戦犯では
20:10実に1000人近くが死刑になった
20:13BC級戦犯とは
20:16人道上の戦争犯罪を問うものだったが
20:19そのほとんどは
20:21木村のような現場の兵士だった
20:24死の影を浴びながら
20:29数日後には
20:31断頭台の梅雨と消える身ではあるが
20:35私の熱情は
20:37やはり
20:39学の都にあったことも
20:41最後にもう一度
20:44思い出すのである
20:45刑務所で偶然手に入れた
20:52愛読書の余白と鉛筆が
20:55唯一木村に残された
20:57訴えの手段だった
20:59綴られたのは
21:01志半ばで夢が絶たれた
21:04無念
21:05そして
21:06戦争が終わっても続いた
21:08容赦ない
21:10不条理への
21:11行き通りだった
21:12日本は
21:14負けたのである
21:16全世界の憤怒と非難との
21:19真っ只中に
21:20負けたのである
21:24日本は無理をした
21:26非難さるべきことも
21:28随分としてきた
21:31全世界の起こるも
21:32無理はない
21:35今の我に都合の悪き者
21:38意に沿わぬ者は
21:39全て悪なりとして
21:42腕力をもって
21:44武力をもって排斥してきた
21:47我々の態度の行くべき結果は
21:49明白であった
21:50今や全ての武力
21:55腕力を捨てて
21:57全てのものを公平に認識
22:00吟味
22:01価値判断することが
22:03必要なのである
22:04そしてこれが
22:08真の発展を我々に与えてくれるものなのである
22:12木村が極中で書いた遺書は
22:17後世の日本への継承にも聞こえる
22:21日米海戦から77年
22:25今を生きる私たちは
22:28その声に応えていると言えるだろうか
22:32しかしさらに考えを致せば
22:39満州事変以降の軍部の行動を許してきた
22:43全日本国民に
22:45その遠い責任があることを知らなければならない
22:50もう書くことはない
22:55いよいよ死に赴く
22:58さようなら
23:01さようなら
23:03処刑半時間前
23:09書く筆数
23:11音もなく
23:16我より寂しい
23:24物をなれば
23:29書き手し
23:32てわいいよ
23:35好きな
23:38足
23:38熟 introduと
23:39雪を
23:40あす
23:44不等
23:45雪を
23:47泡立して
23:48成績
23:49海道
23:51泡立して
23:53通路
23:54泡立し
23:58折れ
24:01水
お勧め
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0:59
1:55:02
2:00:59
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