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教育トランスクリプション
00:00なぜ無実を訴える声は届かなかったのか
00:05そこには隠された事実がありました
00:08違うものは違う
00:10やっていないものはやっていないのです
00:13突然殺人の罪を着せられた男性
00:17今無罪と書かれた紙を掲げました
00:22無罪おめでとう
00:26先週やり直しの裁判が開かれ
00:29無罪が言い渡されました
00:31無罪の決め手となったのは新たな証拠
00:42裁判官すら見たことがなく
00:5030年以上埋もれてきました
00:53罪のない人を救えなかった日本の司法の問題とは
01:04独自取材で迫ります
01:06こちらは無実の罪で一度は罰せられ
01:18やり直しの裁判最新で無罪となった方たちです
01:23冤罪を晴らすまでに数十年かかるケースが
01:27ここ最近相次いでいます
01:29去年無罪となった袴田岩尾さんは事件から58年
01:34そして先週無罪判決が言い渡された前川翔志さんは
01:3939年かかりました
01:41前川さんの判決で裁判所は
01:45捜査機関の対応について
01:47司法の信頼を揺るがしかねない深刻なものだと厳しく批判しています
01:53一体何が問題だったのでしょうか
01:57事件が起きたのは39年前の3月19日
02:04福井市の団地で卒業式を終えたばかりだった中学3年生の女子生徒が
02:11顔や胸を刃物で刺され殺害されました
02:18当初警察は同年代の飛行グループの犯行と見ていましたが
02:23物的証拠はほとんどなく捜査は難航しました
02:28前川さんが逮捕されたのは事件発生から1年後
02:39当時若者たちの飛行グループと付き合いがありました
02:48逮捕の根拠となったのは
02:50服に血がついた前川さんを見たという複数の知人の証言
02:55事件の起きた3月19日の夜だったというものでした
03:00裁判ではこの目撃証言の信用性が最大の争点となりました
03:11一審を担当した元裁判官の林雅彦さん
03:15言い渡したのは無罪でした
03:18証拠関係がかなり
03:22脆弱という言い方がいいかどうかは分かりませんけど
03:26かなり問題がある事件だなという印象を持っています
03:29関係者の供述
03:32複数あるんですけど
03:34これが非常に揺れている
03:37変遷が激しいということで
03:40しかし続く二審では覆されます
03:46前川さんは有罪
03:52懲役7年が言い渡されました
03:55なぜ前川さんは一転して有罪となったのか
04:16目撃証言の信憑性の裏付けとされたのが
04:20あるテレビ番組の放送日でした
04:22男性歌手が女性歌手に密着して歌ったシーンが
04:28当時大きな話題となっていました
04:31知人の一人が
04:35このシーンを見ている時に呼び出され
04:38前川さんを見たと証言していたのです
04:46二審では事件当日の3月19日に
04:50このシーンが放送されていたとして
04:52目撃証言は信用できると判断されました
04:56その後
04:59最高裁で有罪が確定
05:02前川さんは服役しました
05:05最新を求めて戦ってきた
05:14弁護団長の吉村悟さんです
05:17無罪を証明する証拠を見つけるのは
05:21困難を極めたといいます
05:23最新が認められるには
05:37無罪であることを明らかに示す新たな証拠を
05:41弁護側が提示する必要があります
05:43しかしほとんどの証拠は検察や警察が保管
05:50通常の裁判では検察が証拠のリストを示すことが定められていますが
05:57最新にはそうした証拠開示のルールがないのです
06:02実際
06:07弁護団が証拠リストの開示を求めたのに対し
06:11検察は
06:12証拠あさりを試みているにすぎない
06:18応じるべき義務はない
06:29事態が大きく動いたのは2年前
06:32これが隠されていた証拠です
06:41裁判所の強い求めに応じて
06:45検察が300点近くの証拠を
06:48ようやく開示してきたのです
06:54この時
06:55弁護団の一人がテレビ番組の放送日に疑いを持ちました
06:59事件当日
07:043月19日に知人が見たというテレビ番組がどんなシーンだったのか
07:09AIを使って検索したところ
07:12とても驚きました
07:15これは歴史が動きましたね
07:17番組が放送されたのは
07:203月26日と表示されたのです
07:23さらに開示された証拠を調べると
07:29驚きの事実が明らかになりました
07:32見つけたのは
07:3536年前に作られた警察の捜査報告書
07:40番組の放送は3月26日と
07:44はっきり書かれていました
07:46テレビ番組を見ている時に呼び出されて
07:52血のついた前川さんを見たという目撃証言には
07:56矛盾があり検察は早くから把握していたのです
08:01本来は確定シーンというか
08:06確定する前に出るべき証拠だと思いますけどね
08:09これが早期に出ていれば
08:12早期に救済といいますかね
08:17それが図られた都合の悪いものを隠して
08:21しかもその矛盾する主張をしてまで
08:27有罪獲得を目指す
08:29これはかなり歪だと思います
08:31無罪の鍵を握る証拠を
08:39検察はなぜ開示してこなかったのか
08:42前川さんの最新の手続きに関わった
08:47元検察官が取材に応じました
08:50証拠の中には意味がよくわからないものもあり
08:58何から何まで見せるわけにはいかない
09:01検察には伝統的に証拠を出したがらない空気がある
09:07また検察の元幹部は一連の対応について
09:13矛盾する証拠が分かった時点で出さなかったのは
09:18不誠実だったと思う
09:20しかしそれがあったとしても
09:24複数の関係者の供述の確信部分が
09:27揺らぐものではないと考えている
09:29今前川さんは無罪と書かれた紙を掲げました
09:37先週開かれた最新
09:40判決では検察の対応について
09:47事実に反することを抜け抜けと主張し続けた
09:51検察の訴訟活動に対しては
09:55失望を禁じ得ないと指摘しました
09:58判決の3日後
10:02テレビ番組を見ている時に呼び出され
10:05血のついた前川さんを見たと証言した知人が
10:08取材に応じました
10:10そもそも事件当日
10:13前川さんを見ていなかったと明かしました
10:16事実じゃないことも証言して話したっていうか
10:22っていう感じですね
10:23偵察の言うことは間違いないんだって
10:25調整どおりに言ってくれやって言われて
10:27警察のやり方は大事業だなと思いますね
10:32本当に申し訳ないことしたなって
10:35私たちの罪をお許しください
10:40私たちも人を許します
10:4240年近く殺人の罪を負わされ続けた前川翔志さん
10:50今年60歳
11:01官暦の誕生日を一人自宅で迎えました
11:11信じることはもうできるんで
11:17取り替えるとやっぱり
11:19いろいろあったのは事実ですけど
11:21一言で言えばちょっと過ぎ去ったこの年月
11:27虚しいものをやっぱり隠せませんね
11:32今夜は最新制度について長年研究してこられた
11:44指宿誠さんそして田村記者とお伝えしていきます
11:46よろしくお願いします
11:47今見たように前川さんは事件から39年経って
11:53ようやく無罪を勝ち取ることができました
11:57なぜこれだけ時間がかかるのか
11:59そこには一つVTRでもありました
12:02証拠開示に壁があるということなんですね
12:05最新を開くためにはですね
12:07弁護側が無罪を示す明らかな証拠を提出する必要があるんですけれども
12:13そのほとんどというのは検察や警察が保管していて
12:18それを開示させるルールがないということなんですね
12:22井口さんここがやはり問題なように感じますね
12:25そうですね
12:25開示のルールがないために非常に時間がかかってしまう
12:30また裁判所が開示を勧告したり命令したりするのは
12:35裁判官次第ルールがないために裁判官次第ですから
12:38冤罪被害者にとっては流行りの言葉で言うと
12:43裁判官ガチャ状態なんですね
12:46しかも開示に応じなくても
12:49あるいは開示すべきものがないというような
12:52これ本当はあってもないというような答弁をしたとしても
12:56それを罰するペナルティもない
13:00法的義務もないということで
13:03このような状態が戦後ずっと75年も続いているという現状ですね
13:09田村さん今回は最終的には証拠が出てきたわけですけれども
13:13これどうしてだったんでしょうか
13:15正確な理由は分かりませんが
13:17検察は裁判所に強く促される形で開示しました
13:21NHKが複数の元検察幹部に取材したところ
13:25検察内部では裁判員制度の導入後の2010年頃
13:30専門のチームが証拠開示にどう対応するか
13:33協議していたことが分かりました
13:35この場で裁判所の判断に必要な範囲では
13:39応じるべきという方針が立てられたということです
13:42こうした中で袴田さんのケースでは
13:452010年12月に検察が重要な証拠を任意で開示しました
13:51しかし同じ時期に手続きをしていた前川さんのケースでは
13:56重要な証拠が開示されませんでした
13:58方針があっても個々の検察官の裁量によって判断が分かれたとみられます
14:04あくまで方針ということでなかなか強制力はないということになるわけですけれども
14:12今回のケースはもう一つ
14:14指宿さんこの相当早い段階で
14:18もう無罪を示す証拠を検察側が認識していた
14:23把握していたというここも問題だと
14:25無罪判決でも裁判所は罪深い不正な行いだと
14:32この無罪を示す証拠が有罪になる前に分かっていたということを非難しました
14:38しかしながらもう一つ問題がありますね
14:41最新請求の段階で検察官はその証拠を知っていたはずですから
14:47今お話があったようにこの段階でも前川さんに
14:52この無罪を示す証拠を開示する機会があったのにしていません
14:56さらに最新開始が決まって最新が始まってからも
15:012回目の
15:02この最初の後半で検察側は
15:05この無罪を示す証拠というのは証人の証言ですが
15:11これは証人の記憶違いであると
15:14自分たちは隠したわけじゃないという狂弁をしているんですね
15:17私はこの3回3つの不正義が今回この前川さんのケースであったんじゃないかと思います
15:24ということで一つ最新を開くためにはですね
15:28この証拠開示の壁があるわけですけど
15:30実は時間がかかるもう一つの壁があるんです
15:34それが広告の壁ということですね
15:36それが検察官による広告です
15:40地方裁判所が一度最新開始決定を出しても
15:45検察はそれに対して広告することができます
15:48その結果例えば高等裁判所で決定が取り消されることもあり
15:53最高裁判所まで争われ審理が長引くケースもあります
15:57前川さんはこの広告によって13年もの時間がかかりました
16:03その広告の13年と合わせて前川さんが失った時間は39年です
16:08どんな人生を歩んできたのかそして何が失われたのか
16:12こちらのQRコードから詳しく読むことができます
16:15戦後一度も関わってこなかった最新制度
16:19国はですね法制審議会を立ち上げてようやく見直しの議論が始まりました
16:264月初めて開かれた法制審議会
16:33委員には検察官や学者
16:41裁判官
16:43弁護士など合わせて14人が選ばれました
16:47委員の一人弁護士の鴨志田由美さんです
16:55長年最新を求める人の声に耳を傾け
17:05制度の見直しを訴えてきました
17:08これだけのね
17:23鎌田さんの事件もあり福井の事件もあって
17:26続いてね1件や2件じゃなかったと
17:28こんな証拠が隠されていたりとか
17:31それがなかなか出てこなかったりとか
17:33証拠開示のルールをどうするか
17:38鴨志田さんたちが主張するのは
17:45弁護側が証拠の開示を求めた場合
17:48裁判所が原則として検察に証拠の提出を命じるとするルールです
17:54いかに解釈運用の幅を小さくして
18:00そういうルールにしていくかということが重要であって
18:04判断によって出たり出なかったりという余地を
18:08残してしまうようなルールでは
18:10ルールではないんですよね
18:12一方参考人として招かれた元検察幹部は
18:18通常の裁判の証拠開示よりも
18:23広く認めるのは賛成できない
18:25最新を認めるかどうかの判断に
18:31関連性があると認められる範囲とするべき
18:35元検察官の高井康幸さんです
18:41求められた証拠を全て開示することは
18:45検察側の立場としては難しいと見ています
18:49最新制度の門がある程度広くなるということ自体は
18:56私は反対しません
18:58最新については新規かつ明白な証拠というのは
19:03弁護人が見つけてくるものなんですよ
19:05それを検察官の手元の中にあるはずだという前提で
19:09議論するのがおかしくないですかということですよ
19:11もう一つ意見が対立している論点が
19:17検察による広告です
19:19袴田岩尾さんの姉秀子さんです
19:295月法制審議会に参考人として呼ばれました
19:33なるべく早く法律を書いてもらいたいということを
19:41お願いに行くんです
19:42検察による広告は真理を長引かせると
19:49禁止するよう訴えました
19:51検察官の広告により
19:59さらに10年かかりました
20:01それは苦しい年月でございました
20:05岩尾が頑張ってきたことを
20:10人間として考えていただけますでしょうか
20:14委員の一部からも
20:20広告を禁止すべきという意見が出る一方
20:22検察官の委員からは
20:26広告を禁止すると
20:30違法不当な最新開始決定を
20:33是正する手段がなくなる
20:35慎重であるべき
20:38地裁の最新開始決定が間違ってたということはいくらでもあるわけで
20:46それはあまりにもその確定判決の規範力というか
20:50法的安定性を無視して軽視していませんかということですよね
20:54時間より正義の方が優先すると私は思う
21:00委員として議論に参加していた鴨志田さん
21:04優先するべきなのは
21:06いち早く冤罪被害者を救うことだと考えています
21:10どれほど冤罪被害者たちが長い時間かけて苦しめられてきたか
21:18袴田さんのような事件を二度と作っていいわけないじゃないですか
21:22もう本当に冤罪なんてすぐそこにある現実なんですよね
21:27今私たちの手で責任を持って変えましょうよということを
21:32本当に自分のこととして
21:34自分の意見として皆さんに持ってほしいというふうに思います
21:38はいということで法制審議会の中で
21:43様々な意見が出ていましたね
21:45こちらで整理していきますけれども
21:47証拠開示については鴨志田さんたちは
21:49裁判所が原則開示を命じるルールを作るべきだと
21:53一方で検察側は開示の範囲は限定すべきだという主張でした
21:58そして右に行きます
22:00広告に関しては鴨志田さんたちは広告は禁止すべき
22:04検察側は広告は認めるべきだということで
22:07真っ向から対立しています
22:09この議論指宿さんはどういうふうにご覧になってますか
22:12基本的に冤罪被害の救済を求める冤罪被害者の立場に立つのか
22:19あくまで有罪の確定を維持したい検察の立場に立つのか
22:25どちらに立つのかということが意見の分かれ目だと思うんですけれども
22:30もっと刑事法全体を見ておく必要があるんですね
22:34例えば検察も真犯人が出てきたり
22:37身代わり犯であることを発覚した場合は
22:40直ちに最新請求を検察自らやっているわけですね
22:44これは最新をしないと真犯人処罰できないからで
22:48これが刑事法全体を見たら
22:51冤罪被害者にとっては早く自分の無実を晴らしたい
22:55急いで晴らしたいというのは当然だと思うんですね
22:58この最新制度の見直しの議論が進んでいるわけですけれども
23:04VTRではそもそも裁判所も間違えるじゃないかというような指摘もありましたけれども
23:10こちらはどういうふうに
23:11まさに有罪とした裁判所の間違いを正すのが最新の手続きですので
23:17今議連案が出しているこの2つの改革案を早期に実現して
23:26冤罪被害者の救済を急ぐということが一番求められていることだと思います
23:31田村さん今後議論はどういうふうに進んでいくんでしょうか
23:34関係者によりますと法制審議会での議論は1年程度かかる見込みで
23:40多数決で方針が決まります
23:42法務省としては答申が出され次第
23:45法律の改正案の策定を進め国会提出を目指す考えです
23:50一方制度の見直しをめぐっては
23:52去年3月に超党派の国会議員連盟が発足しました
23:56議員立法による早期の法改正を目指していて
24:00冤罪被害者もこの動きを支持しています
24:03与野党で足並みが揃わず
24:05野党6党が法案を提出していて
24:08継続審議が行われることになっています
24:10ということで2つで今議論が進んでいるということですけれども
24:15今この日本の司法に求められることって
24:18井口さんどういうことだとお考えですか
24:20諸外国では刑事手続き刑事処方制度というのは
24:25過ちがつきものなんだ
24:26それをちゃんと自覚認識して
24:29改革を行わなければならないということが
24:32もう常識になっていますね
24:33常識
24:33はい
24:34一つここで言葉を紹介したいんですけれども
24:37これはアメリカのノースカルナイナ州で
24:39刑事処方改革を率いた
24:41当時の州最高裁長官
24:43ビバリー・レイクさんの言葉です
24:45私たちが過ちを犯したのです
24:47だから過ちを犯したことが分かった時には
24:50できるだけ速やかにそうした過ちを正すことが
24:53私たちの責務なのですというふうに語られていて
24:56この長官の下で同州は数々の改革を進めたんですね
25:00そうですか
25:01具体的に言えば日本も改革を進める中で
25:04どういうことができるでしょうか
25:05確かに袴田事件で無罪判決が出た後
25:11警察や検察は内部で検証しましたけれども
25:15やはりこれでは十分とは思えません
25:18現在も企業や自治体でも大きな不祥事が
25:24明らかになった時は第三者機関ですよね
25:27第三者委員会が立ち上げられて
25:31その原因を明らかにし対策を立てています
25:34これと同じことが刑事処方でも求められているんじゃないかな
25:38というふうに思いますね
25:39海外で参考になるところがある
25:41はいあります
25:42ちょうど去年の12月にカナダでは
25:45第三者委員会が最新請求を審査するという
25:50新たな機関の設置を決める法律を定めたんですけれども
25:54それはこれまで誤判が繰り返されるたびに
25:57検証が第三者による検証が行われて
26:00その中でこうした独立した第三者による
26:05最新請求の審査が必要だということが
26:07明らかになって法律が作られたんですよね
26:11日本でもこういう第三者による検証が必要だと思います
26:14まとめると大きく2つ
26:16日本に求められることはありそうですね
26:18そうですね
26:18まず反省する
26:20刑事書全体で反省し
26:22そして改革のための検証を行うということですね
26:25客観的な検証を行うと
26:27ありがとうございました
26:28この私たち一人一人にとっても決して人事ではない問題です
26:58ありがとうございました
26:59それでは
26:59ご視聴ありがとうございました
お勧め
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22:29
27:23
28:59