- 2025/6/26
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ショートトランスクリプション
00:00ご視聴ありがとうございました
00:30春の嵐のその夜中
00:32二人の緑後生まれたり
00:36同じ海辺のその里に
00:39一人は広き別荘に
00:42一人は狭き静谷に
00:46大丸千鶴子
00:48巨大コンテルン大丸グループの総帥
00:52大丸豪像の一人娘である千鶴子は
00:55生まれ落ちてすぐに母を失い
00:57数日後に誘拐されるという
01:00悲運に見舞われたが
01:01その後は父豪像と
01:04育ての母乗り子の愛情の下で
01:06何不自由なく成長して
01:0818歳の誕生日を迎えていた
01:11大丸家の養子である
01:14兄正津とは将来
01:16結婚することが決められており
01:18千鶴子はまさに
01:19幸せの絶頂にいたのである
01:21だが突如として出現した謎の男によって
01:26出生の秘密をほのめかされた千鶴子の胸に
01:29一抹の不安が発した
01:31千鶴子のバースディーパーティーが
01:34盛大に行われている同じ頃
01:37真鶴の海辺のほとりでは
01:39もう一人の少女のバースディーパーティーが
01:42つつましく行われていた
01:44松本忍千鶴子の地兄弟である忍は
01:48貧しさに心損なわれず
01:50他人を思いやる心を
01:52片時も忘れない心優しい少女に成長していた
01:56だが千鶴子の話になると
01:59急に狼狽する母の姿に
02:02ある胸騒ぎを覚えて
02:03自らの運命に
02:06漠然とした不安を感じ始めていたのである
02:09忍と千鶴子さんを
02:13会わせるわけにはいかないんだ
02:15謎の男は16年前に蒸発した
02:19忍の父松本龍作であった
02:22龍作はなぜ戻ったのか
02:24彼の心は恐ろしい野望に満たされていたのである
02:29あんたがどうしても18年前の秘密持ち出すって言うなら
02:32あんた殺して私も死ぬ
02:35あ、あ、あ、あぶね
02:39馬鹿やろ
02:40私はこの18年間
02:42ずっとこの覚悟で生きてきたんだ
02:45あのことが明らかになれば
02:48千鶴子も忍も恐ろしい運命に
02:51飲み込まれてしまうのだ
02:52たとえ夫を殺してでも
02:55あの秘密を守らなければならない
02:57それは母の悲しい覚悟であった
03:00龍作の出現に動揺する千鶴子が
03:04最も恐れていた事態が起こってしまった
03:07別荘に遊びに来た千鶴子が
03:10忍の前に現れてしまったのである
03:1318年間
03:14沈黙の彼方で静まり返っていた
03:17運命の糸車が
03:19今不気味な唸りを発して回り始めたのである
03:23すぐに手術を
03:30そんなに悪いんですか
03:33ええ
03:33まあ
03:34娘さんに言って
03:36すぐ入院準備してください
03:382,3日うちに
03:40手術をせんことには
03:42どうもありがとうございました
03:50はい
03:51お待ちして
03:52乳がん
04:05それの末期症状だ
04:08静子の体は龍馬に蝕ばれていた
04:12死期を悟った静子は
04:14心の底で悲壮な覚悟を決めていた
04:17そうだ
04:21もうこうするしかない
04:25お母さんどうしたの
04:28お母さん
04:30お母さん
04:32今からお母さんの言うことをよく聞きなさい
04:43なに
04:43忍は
04:45太鼓と一緒に
04:47この手紙を持って
04:49東京の大丸様の屋敷に行きなさい
04:51今すぐに
04:52お母さん
04:53口答えしないで
04:54今事情話してる暇ないの
04:56お母さん
04:57明日にでもあんたたち追って大丸様の意識に行くから
05:00分かったね
05:01お母さん
05:02お母さん
05:03お母さん
05:04お母さん
05:06お母さん
05:08お母さん
05:09お母さん
05:10お母さん
05:11お母さん
05:13お母さん
05:21母静子の異常なまでの激しさに
05:24忍は太鼓と共に
05:26いやをなく東京に向かう列車に乗っていた
05:29自分を待ち構える運命を思うと
05:32不安に胸を締めつけられる忍であった
05:35どうしたの
05:47見てばっかりてさ
05:49一緒にやろうよ
05:50今日の君はいつもと違うね
05:55何か悩み事があるんだったら
05:58僕に話してごらん
05:59悩みなんてあるはずないわ
06:01何かあったら
06:02マサタ兄さんに真っ先に話します
06:04マサタ兄さん
06:26私東京に帰ります
06:29静ちゃん
06:32何か気に触ることでもあったのかい
06:35お兄様
06:36決して気まぐれで言ってるんじゃないの
06:38私
06:39何か不吉な予感がするんです
06:42お願い
06:43私の言う通りにしてください
06:45わかった
06:51そうしよう
06:53一年前
07:18俺は二十歳になったのを潮に
07:22渡り鳥連合の頭を降りた
07:24このペット一本に命を燃やすつもりだったが
07:29俺の荒れたちはペットだけじゃ収まりがつかねえ
07:33大丸財閥を知ってるな
07:35大丸コンテルの総帥大丸豪像に
07:39俺は喧嘩を売るつもりだ
07:42会長
07:43無茶だ
07:44敵がでかすげえぜ
07:46無茶は承知の上だ
07:48大丸コンテルの敵に回して勝てると思うほど
07:52俺は甘金
07:53踏み潰されるのがオチだろ
07:55それでも俺はやる
07:57どんなことをしてでも大丸の屋台場の揺るがしてやる
08:02お前ら
08:03それでも俺のカンバックを認めるってのか
08:07大文字
08:07大丸
08:09俺は俺の返事だ
08:11よーし
08:19俺はこの海に近うぜ
08:22大丸豪像
08:25大丸千鶴子
08:26俺は必ずあんたたち二人を俺の足元に土下座させて
08:32のたうち回らせてやる
08:34この物語は吉谷信子の傑作小説
08:38あの道この道をベースに
08:40運命に翻弄される二人の少女が時には敵となりながら
08:45はい
08:57あなた
09:05松本忍さんと太子さんっていう兄弟が
09:09この手紙を持ってあなたを尋ねていますけど
09:13どれかも
09:21大丸様
09:32突然このような手紙を差し上げます比例を
09:36どうぞお許しくださいませ
09:38私は18年前
09:41あなた様のお嬢様に父を含ませた
09:44マナズルの漁師の妻でございます
09:47ああ
09:49あの時の人だ
09:51ほら
09:53千鶴子に
09:56お父を与えてくれた人だよ
09:59あの時の
10:01大丸様
10:05私はあなた様に恐ろしい秘密を告白しなければなりません
10:10この秘密は灰になるまで
10:13私一人の胸に秘めておくつもりでございました
10:16ですが
10:18私の体が病魔に侵され
10:20明日をも知れぬ身になった今
10:22せめてあなた様にだけは
10:25真実を明らかにしなければならないと
10:27覚悟するに至ったのでございます
10:29真実とは
10:33あなたのお嬢様千鶴子様と
10:36私の娘忍が
10:3818年前にすり替わっていたということなのでございます
10:41大丸様
10:44この手紙を持参した娘忍が
10:47あなた様の実の娘なのでございます
10:50そしてあなた様が
10:52今日の今日まで我が娘と信じて育ててこられた千鶴子様は
10:56私の娘なのでございます
11:00大丸様
11:01みわかにこのようなことを申し上げても
11:04あなた様には到底信じてはいただけぬものと思います
11:08時間がございません
11:10私はこの秘密を知る夫
11:13龍作を見つけ出して
11:15共々にあなた様の足元にひれ伏し
11:18事の詳細をつまびらかにして
11:21お許しをこう所存にございます
11:23それまでどうぞ
11:25忍と太鼓をお預かりいただけますように
11:29切に切に
11:32お願い申し上げます
11:34馬鹿な
11:35何を言っておるんだ
11:38あなた
11:40私たちの娘が千鶴子が
11:46そんな馬鹿なことは信じられるか
11:48なんて癒やしい女だ
11:5118年前
11:52千鶴子の誘拐騒ぎの時には
11:55あの女の弟子に十分すぎるほどの霊金を与えたはずだ
11:59その旨味が今でも忘れられなくて
12:03あの弟子とグルになってこんな馬鹿げたことを
12:08なんて女だ
12:10あなた
12:10忍さんと太鼓さん玄関に待たせてますけど
12:14会う必要ない
12:15帰ってもらえなさい
12:16はい
12:17はい
12:18ありがとうございました
12:47ん
13:03ちょっと待ちください
13:06奥様がこれをあなたたちのお母さんに差し上げてくださいって でも
13:12遠慮しなくてもいいのよ 今から真鶴まで帰るんですってね
13:17ねっ
13:21ありがとうございます 奥様によろしくお伝えください
13:30待ちなさい
13:36松本忍さんだね はい
13:39帰ったらお母さんに伝えなさい 馬鹿なことを考えてはいけないとね
13:54ああああああ ああああああああ
13:58ん
14:07お父様どうしたんだ千鶴子 明日まで真鶴の別荘にいるはずじゃなかったのか
14:14ええそのつもりだったんだけど 別荘に行ったら私のために命をなくされたお母様のことばかり思い出されて
14:21お父様にお母様の思い出を 聞きたくなってしまったの
14:26そうか
14:34おかえりなさい
14:36ただいま
14:38それじゃ 私の書斎に行きなさい
14:40えええ
14:49お父様にね
14:50ははははは
14:59忍さんに 太鼓さんでしたね
15:03松茂さん
15:04母がお世話になりました ありがとうございました
15:08いえ お母さんの病気どうですか
15:13そうですか
15:17私たちお母さんから大丸様に手紙を届けるように言われてきたんです
15:24手紙を
15:25ええ それなのに失礼しちゃうわ
15:28これじゃまるで玄関バランじゃないの
15:30だって忍姉さん私たちはこの家でお母さんを待つように言われているのよ
15:36それなのにもういいのうちに帰ってお母さんを待ちましょう
15:40私たちこれで失礼します
16:00千鶴子 これがお前を産んでくれたケイコの写真だ
16:06お母様
16:10私はノリコをお前の新しいお母さんに迎えるときに
16:16ケイコの思い出につながるものはすべて処分してしまった
16:21それはな千鶴子 お前とノリコが本当の親子になってもらいたいという願いもあったんだが
16:31事と言うと
16:33私はケイコのことを思い出すのが死ぬほどつらかった
16:37しかしどうしても その写真だけは手放すことができなかった
16:43お父様 お母様のことをもっと詳しく話してください
16:49お父様とお母様は恋愛結婚だったんでしょ
16:53私たちは ある人の紹介で知り合ったんだが
16:59私はケイコを一目見て 好きになってしまった
17:05ケイコは聡明な光をたたえた美しい人だった
17:11私が思い描いた妻のイメージにぴったりの女性だった
17:19私たちは知り合って すぐに激しい恋に落ちてしまった
17:23まあその意味では 恋愛結婚だったと言うべきだろうな
17:29そして半年後に私たちは結婚した
17:34私たち夫婦の生活は何もかも順調だった
17:39今思い出しても 私の人生の中で夢のような時間だったと言ってもいい
17:45旗から見れば どんなにか幸せな夫婦に見えたことだろう
17:50だがそんな私たちにも 深刻な悩みがあった
17:55私たち夫婦には 子供が生まれなかったのだ
18:0013年の年月が瞬く間に過ぎて
18:05その頃私は 子供を諦めていたのだが
18:09ケイコはそうではなかった
18:11私にすまないと思って ケイコは泣いて私に謝り
18:15次第に自分を責めるようになっていた
18:18私はそんなケイコを見るに忍びず
18:21メイのカズコから マサトを養子としてもらい受けた
18:26ケイコは見違えるほど明るくなり
18:30彼女の持てる愛情のすべてを マサトに注いだ
18:34ケイコのマサトに対する献身には
18:38私の子供を産めなかったことへの
18:40罪滅ぼしの意味もあったのかもしれない
18:43そんなにまでして私の愛情に応えようとするケイコの姿は
18:49私の目には時として痛々しく映ったが
18:53私は十分に満足だった
18:56そんな時に奇跡が起こった
18:59あなた、あなた
19:02え?
19:06私、赤ちゃんができましたの
19:10え?
19:11あなたの
19:16あなたの赤ちゃんができましたのよ
19:19その時の
19:21ケイコの誇らしげな顔は
19:24私は生涯忘れることはないだろう
19:28もちろん私も嬉しかった
19:31だがその喜びもつかの間だった
19:35ケイコが
19:37妊娠中毒症を起こして倒れてしまったんだ
19:42ケイコ
19:44しっかりするんだケイコ
19:46大丈夫か?
19:48しっかりするんだケイコ
19:50数日後に妊娠中毒症は治ったのだが
19:55健康は目に見えて衰え
19:58子供を産むと母体の安全は保証できないと
20:02医師に宣告されてケイコは激しく泣いた
20:05ケイコ
20:07健康な体になればいつだって子供は産めるんだ
20:11今度は諦めてくれ
20:13嫌です
20:15私はあなたの赤ちゃんが産みたい
20:19どんなことがあっても
20:21あなたの赤ちゃんが産みたいの
20:24頼むから今度は諦めてくれ
20:26これ以上私を苦しめないでおくれ
20:29あなた
20:31あなたの子供が産めるなら
20:34私は死んでも構いません
20:37馬鹿なこと言うんじゃないよ
20:40いえ
20:41私はそれで十分幸せなんです
20:45どうかあなた
20:48あなたの子供産ませてください
20:51ケイコ
20:52火のように熱いケイコの叫びを前にして
20:55私も同意せざるを得なかった
20:59私はケイコの健康状態が少しでも良くなればと
21:04看護婦と共にケイコを真鶴の別荘に送り出した
21:09私は
21:20はい
21:21はいそうです
21:22少々お待ちくださいませ
21:24奥様
21:25旦那様からです
21:29あなたですの
21:31ええ
21:33元気にしてます
21:35お腹の赤ちゃんも順調です
21:38よほどここの空気が
21:43私の体に合いますのね
21:45電話を通して聞こえてくる
21:48ケイコの声は
21:50いつも決まって明るく弾んでいた
21:54だがそれが
21:57私を心配させないとする
22:01ケイコの必死の演技だったとは
22:04ケイコは実は
22:08日増しに衰弱していた
22:11その事実を
22:14付き添えの看護婦にまで
22:16固く口止めしていたんだ
22:19そして
22:25あの嵐の夜
22:28予定日より2週間も早く
22:34まるで嵐に脅かされたように
22:37ケイコが突如として産気づいた
22:40いや
22:41嵐のせいではない
22:43母体の衰弱が極限にまで近づいたことを知った
22:47生命の神秘
22:51出産は東京でするつもりでいたのだが
22:54やむを得ず小さな個人病院でせざるを得なかった
23:03奥さんは女の子でございます
23:06女の子
23:17私が
23:27東京から石段を連れて駆けつけた時には
23:32ケイコはもうこの世の人ではなかった
23:36だが
23:40ケイコの死に顔は
23:42安らかで美しかった
23:45お母様
23:50お母様がかわいそう
23:54私のために
24:00命を亡くされたお母様
24:07静子
24:08お前は
24:10そのケイコの祈りの中から生まれた娘なんだよ
24:15そうですとも
24:17私は
24:18お母様の祈りの中から生まれたんですわ
24:22静子
24:24お父様
24:26静子
24:28お母様の息子
24:42ご視聴ありがとうございました
25:12大丸様のところに連絡すれば
25:15私たちがマナズルに帰ってくるとは分かるはずだもの
25:18お母さんだってきっと家に戻るはずよ
25:42どうなさいました
25:59なんでもないんです
26:02あの
26:05このマッチの店知りませんか
26:08松本さん面会よ
26:18俺に面会
26:20静か
26:23あんた
26:26ちょっとこっちこい
26:29お願いだよあんた
26:34さめて一度だけ私の頼み聞いてくれ
26:37頼みだ
26:38あのことならお言葉だよ
26:41あんた
26:42確保を決めたよ
26:45死ぬ前に大丸様に何もかも話して
26:48許しをこうつもりなんだ
26:49なんだとお前
26:52忍をいつまでも苦労させとくわけない
26:56いかないんだよ
26:57私たちには忍を幸せにしてやる義務があるはずだよ
27:00そうだろ
27:01あんたにほんの少しでも
27:07人間らしい心があるんだったら
27:09私と一緒に大丸様の前に土下さして
27:12私たちが犯した恐ろしい過ちを
27:15何もかも話そうじゃないか
27:17ふざけんなから野郎
27:18今お前にあのことが話されたら
27:20俺の目の目はぶちこいしたよ
27:22それよ
27:23俺だってただじゃすまなくなるんだよ
27:26ただじゃすまなくなるってどういうことなんだ
27:30あんた
27:30あのことでまだ何か隠してるのか
27:34うるさいよ
27:35やろう
27:36いいかしずこ
27:38よけなことするな
27:40これは俺の金鶴なんだからよ
27:43まだそんなこと言ってんのか
27:49ああそうだよ
27:51こそら生まれ落ちた時からざーっと貧乏の指導しだ
27:54もう貧乏はたくさんだ
27:55せめて一生に一度くらい贅沢な暮らしをしてみたらいいじゃねえか
27:59今なおい
28:00そのチャンスが目の前にぶら下がってんだよ
28:02二度とないチャンスなんだよ
28:03もう帰るのか
28:05ええ
28:06いいよ帰れよ
28:07帰れよお前
28:08帰れよ
28:09帰れよ
28:10あれよ
28:12変な
28:25熱戦する
28:30お Σ風呂 CSS
28:33リーダム
28:38冠作
28:41다
28:42沢ites
28:46滅
28:48滅
28:50滅
28:55しっかりしてください。しっかり。
29:04お願いします。
29:06南部開発の大丸ごうそうさまに。
29:10松本静子が緊急にお会いしたいと伝えてください。
29:14大丸ごうそうさまに。
29:25わかりました。
29:29よく私が大丸の友人だということを思い出してくれた。
29:33大丸には私から連絡しよう。
29:40大丸がここへ来るまで、
29:43あたは奥の部屋で休んでいなさい。
29:46さあ。
29:53大丈夫ですか?
29:54大丈夫ですか?
29:55大丈夫ですか?
30:13位置よ。
30:24お別れに来ました。
30:29道よ。
30:31渡り鳥連合にカンバックしたって噂は本当なんだね。
30:35お前はペットを捨てる気かい?
30:37お前は自分の中のわけのわからない知能好きをペットに叩きつけるんだと言ってた。
30:48その言葉を忘れたのかい?
30:50お前は何をするつもりなの?
30:56道よ。
30:57昔に戻ってお前は何をするつもりなの?
31:00お世話になりました。
31:09お世話になりました。
31:10待ちな道よ。
31:11お前は、
31:17お前は、
31:19あたしの死んだ弟にそっくりなんだよ。
31:23あたしの弟はね、
31:25一流のトランペット奏者になるのが夢だった。
31:28だけどその夢を果たせぬまま、
31:33死んでしまった。
31:37道よ。
31:39お前には一流のトランペット奏者になってほしいの。
31:43道よにはその才能があるじゃないか。
31:59先生。
32:01どうして道よを止めてくれないんです。
32:04今、
32:06道よの体の中を吹き荒れている嵐は、
32:09たとえキリストさんでも止めることはできんだろう。
32:14先生。
32:16先生は道よが何をしようとしているのか知ってるはずです。
32:20それをあたしに話してください。
32:21それはできんのだ。
32:23ゆうこくん。
32:24たしかにわたしは、
32:28道よの悲しみの由来を知っている。
32:31道よがこれから何をしようとしているのか、
32:33おおよその見当はずだ。
32:35だがわたしは、
32:36神の下牧として、
32:38迷える子羊の告白を聞かねばならない牧師だ。
32:43たとえ殺されようと、
32:46その秘密をしゃべることはできんのだ。
32:50それじゃあ先生は、
32:51道よが不幸になるのを黙って見てろと言うの?
32:54それが神の御心だと言うんですか。
32:56そうだ。
32:58それが神の御心だ。
33:03神は時として、
33:06とてつもない残酷な試練を人間に与える。
33:10その試練に負けて、
33:12滅びようと神様知らんぷいた。
33:17そんな。
33:20神は、
33:22自ら助ける者を助けるだよ。
33:26言うこと。
33:27大丸に連絡を取らねばならない。
33:32なかなか
33:44ああ和歌
33:48何静子さんがお前の境界に あ
33:53わかった あすぐ行く
34:02ええええええ
34:13大丸様 ああそのせずはどうも
34:16和歌山がどうしてもって言うので やってきましたが私はあなたの手紙など
34:21ついほども信じていません 仕事が控えているので手短い願いますよ
34:27どの竜作もともにと思ったんですか 事情がありまして構いません
34:34始めてください
34:40じゃあどうぞ
34:46ん
34:48ん
34:51どうぞ
34:54ん
34:5718年前
35:03私はマナズルの漁師
35:06竜作の女房として
35:09まずしい日々を送っておりました
35:11私の夫竜作は
35:14もともと偏屈の男ではありましたが
35:17腕の良い漁師だったんでございます
35:19その頃日本は急激に発展し
35:23浸るところで皇居に湧きかえっておりました
35:25都市下の波が私たちの海辺にも押し寄せ
35:30豪華なホテルが次々と建設され
35:33海には土壇の若者が操るヨットが走り回るようになったんです
35:39漁業権を放棄していたお金で
35:42仲間の漁師たちは次々に釣り技を始めたんですが
35:46一人竜作のみ
35:49そのお金までも飲み干すまでに荒れておりました
35:52そんなうれでございました
35:55あなた様の奥様にお会いしたのは
35:57こんにちは
35:58ケイコ様は大丸家の奥様であるにもかかわらず
36:02私たち風情にも気軽に話しかけられ
36:05優しい心配りをしてくださる方でございました
36:08私と奥様は同じ海月を控えた妊婦同士ということもあって
36:14とても話があったんでございます
36:16そしてあの運命の嵐の日がやってきたんでございます
36:23私はあの夜女の子を産みました
36:28その時奥様が隣の妻室で
36:32私と同じ時刻に女の子を産みになられ
36:35命を亡くされたなどとは
36:38その時の私には夢だに思わぬことでございました
36:42後でそのことを知ってどんなに悲しかったことでしょう
36:47私たち夫婦にとって最大の喜びの日が
36:51とてつもなくつらい悲しみの日になっていた
36:55ただただ呆然とする私を
36:58悲しみの底から引き上げてくれたのは
37:01お父を欲しがって火のように鳴く赤子の声だった
37:10はいどうぞ
37:11この子に
37:17お父を若くやってくださいませんでしょうか
37:20はい喜んで
37:22はいどうぞ
37:31はいどうぞ
37:36これもテースで松本龍作と申します
37:52次岩井崎あらかちちまって
37:56松本さん
37:59私はこれから妻の葬儀のために東京に戻らなくちゃなりません
38:04葬儀が住みたいこの子を引き取りに戻ってまいります
38:08それはどうかこの子にお父を飲ませてやってもらえませんでしょうか
38:12俺はあの十分にさせていただくつもりでおります
38:16いやお礼だなんてそんなな静子
38:19はい喜んでお預かりいたします
38:22ありがとうございます
38:24妻は常々子供が生まれたら母乳で育てたいと口にしておりました
38:34その妻は我が子に一度も父を飲ませてやることもできずに
38:41すべてその妻の願いだけ果たしてやれれば
38:46私は深い悲しみの中で
38:56慶子の葬儀を済ませたのはあの日から5日後だった
39:00私は娘が亡き母の命を受け継ぎ
39:06気高く美しく何よりも無事に成長してくれることを祈って
39:11千鶴子と命名した
39:14大丸様
39:16私があなたのお嬢様に父を与えることを引き受けたのが
39:23そもそもの町犯のもとだったんでございます
39:26私は愚かなお嬢様でした
39:32泣いていたのでは分からん
39:37言いたいことがあるなら早く言いなさい
39:40私はとんでもない過ちを貸してしまった
39:45あの日
39:58大丸様から今日を迎えに行くという知らせを受けて
40:02私は千鶴子さんを念入りとお冬につけて
40:06清めていたのでございます
40:08その時私は千鶴子さんが身につけていた高価な産着を見て
40:13一度でいいから我が子に着せてみたいと思ってしまったんでございます
40:17私はその誘惑に打ち勝てず
40:22ほんの短い時間だけだからって自分に言い聞かせて
40:25我が子に千鶴子様の産着を
40:28千鶴子様に我が子の産着を着せてしまったんです
40:43さすが金持ちの娘だけあって高尚な顔してんじゃねえか
40:52孫にも衣装と申しますが
40:59その時私は愚かにも
41:01父親にも見分けがつかぬほどに輝いて見える我が子に
41:05ちょっぴり得意な気分になっておりました
41:07でもすぐに本当のことを伝えようと思ってたんでございます
41:12敵は何て言ったって大丸財閥だ
41:18霊金はたっぷり弾んでくれるだすんで
41:22何言ってんだ
41:24私はお金のためにお父上げたんじゃないんだ
41:27霊金だなんて癒しこと言わないぞ
41:28癒しだなんだこの馬が
41:31なんて癒しちゃったじゃないか
41:40おうはうめあうめ
41:47こちらのお嬢様さえ無事ならそれでいいのさ
42:01お嬢様さえ無事なら
お勧め
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