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kazubonka
  • 2025/6/12

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ショート
トランスクリプション
00:00きそ御嶽町
00:05川田純子はこの町で生まれこの町で育った
00:10父善之助は町長を務める町の名士であり
00:15母秋子は多忙な善之助に代わって
00:19木曽塗りの老舗龍門堂を一手に切り回す女性婦であった
00:24一人娘の純子は両親の愛を一心に集め
00:30何不自由ない生活を送っていた
00:33そんなある
00:35な、何をバカなこと
00:38いいえ
00:39純子は私の娘です
00:42帰って
00:42いいえ帰りません
00:43純子は私の娘に間違いないんです
00:46純子
00:49あなたね
00:51この間から私のことを付け回していたのは
00:55そうでしょ
00:57どうしてそんなこと
01:00あなた一体誰なの
01:03私は
01:04あんたの実の父親だ
01:08それはまさに晴天の霹靂であった
01:13いいえ
01:14なんと言われよとも
01:16この子は私たち夫婦の子供です
01:18秋子
01:18もうやめなさい
01:19あなた
01:20お父さん
01:21純子
01:23お前はこの人の子供かどうか
01:26私にはまだわからん
01:28しかしお前は
01:32お前は
01:34お母さんのお腹を痛めた子供ではない
01:39嘘
01:42嘘でしょお父さん
01:45嘘でしょお母さん
01:49いや
01:51私絶対に信じないから
01:54私が知りたいの
02:04おい
02:04ジョンゴ
02:05私
02:05本当にあの人の子供なの
02:08私を産んだのはお母さんじゃないって
02:12どういうことなの
02:13お願い話して
02:16私も大丈夫だから
02:18本当に大丈夫か
02:23そして全てが明らかになる時が来た
02:2717年前の出来事だ
02:35ジフブキの吹き荒れる
02:38寒い夜だった
02:41あなた
02:46うん
02:47聞こえたぞ
02:49あなた
02:57あなた
02:59しっかりしろ
03:00赤ちゃん
03:04赤ちゃん
03:06しっかりしろ
03:13しっかりしろ
03:14すぐ医者を
03:17呼んできてやるか
03:18ジュンコ
03:24ジュンコ
03:26この子の名前が
03:28ジュンコって言うの
03:29あなた
03:32どこの人だ
03:34どこへ行こうとしてたんだ
03:35稲谷の
03:37しっかりしろ
03:42ほい
03:44しっかりしろ
03:46その赤ちゃんが
03:51私だったのね
03:53カズコが
04:00稲谷の俺の田舎に向かったっきり
04:04消息を絶ったってことを知ったのは
04:06ずいぶん月日が経ってからだ
04:08それから今日まで必死になって探し回り
04:12やっと
04:13その頃この町で
04:15若い女の行きだおれがあったってことを
04:18突き止めた
04:18これで納得がいったかな
04:21あんたは間違いなく
04:23俺の娘なんだよ
04:25お父さん
04:29お母さん
04:32私
04:34東京へ行きます
04:37ジュンコ
04:39私が
04:40あの人の実の子供だと分かった以上
04:43やっぱり向こうへ行くべきだと思うの
04:47ジュンコ
04:48それに
04:50あの人のことも
04:52あの人
04:54私を産んでくれた人よ
04:56塩として自分を守ってくれた母と
04:59その母を愛し
05:01ひたすら我が子を探し続けた父のために
05:04状況を決意するジュンコであった
05:07別れの日が目前に迫った頃
05:13高校演劇コンクールが開かれた
05:16それはジュンコ自身の新たなドラマへの幕開けの日でもあった
05:23その時
05:25新しい父加賀光平をつけ回す謎の男
05:31ジュンコはそこに不吉な影を見ていた
05:37はははは
05:39いやいや面白かった面白かった
05:41こんなほら頭してこんなスカート履いて
05:44ロミオ様ロミオ様なしてあんたはロミオ様なの
05:49お父さん居眠りしてたんでしょ
05:51いやいやいやいや眠ったなんかいませんよ
05:54じっと目をつぶってお前の声聞いてましたよ
05:57いいえお父さん確かに居眠りしてました
06:00母さん
06:01もう一生懸命お芝居してたっていうのに許せない
06:07助けて助けて助けていやいや降参
06:13参った
06:14反省してるか
06:16反省しておりますよ
06:18よーしでは許して使わす
06:22最後の晩餐である
06:25ジュンコが川田家の娘として過ごす最後の夜であった
06:30そのことを嫌というほど意識しながら
06:35誰もが勤めて明るく振る舞っていた
06:37だがその仮面が剥がされる時が来た
06:44お父さん
06:51元気でな
06:55お父さん
07:07お母さん
07:10お母さん
07:12長屋井だ
07:13ありがとうございました
07:15ジュンコ
07:16ジュンコ
07:17ジュンコ
07:18ジュンコ
07:19ジュンコ
07:20辛くなったら
07:24いつでも帰っておいでね
07:28お母さん
07:29いつまでも待ってるからね
07:32お母さん
07:34お母さん
07:35およお母さん
07:36それじゃお前
07:38まるでお嫁にやる時みたいじゃないか
07:41さあさあ締めっぽい話はそれぐらいにして
07:46何も一生の別れじゃありまいし
07:48こうと思えば
07:49いつだって会えるんだから
07:52ほん
08:20よっちゃんは
08:22どうしたんだよこんな時に
08:25よっちゃん
08:28山口よしとは純子の幼馴染で最も気安く話のできる相手であった
08:38それだけによしとの受けた衝撃もまた大きかったのだ
08:43ちくしょう
08:45くしょう
08:51それじゃあどうもいろいろありがとうございます
09:09純子よろしくお願いしますお任せください
09:13それから皆さんもいつでもどうぞ東京の方へお見えになってください
09:18ありがとうございます
09:19純子体には気をつけてね
09:25はい
09:26純子お前
09:29なにお父さん
09:31うん
09:34よ
09:37なんでもない
09:39純子元気でね
09:42お母さん
09:43お父さん
09:45この時全の助が言いそびれた一言が後に大きな意味を持つことになる
10:02死んだ
10:04ああ
10:05どうもあの子は心臓があまり丈夫じゃないらしい
10:09母親の心も心不全だった
10:13これひょっとすると遺伝かもしれない
10:16先生
10:21なにも心配する方
10:25よほど無理なことさえしなければ大丈夫だ
10:28あの子の母親だって
10:31あの吹雪の中を歩きまったりしなければ
10:35命を縮めるようなことはなかった
10:37それじゃあどうも
10:39純子元気でね
10:40純子頑張れよ
10:42さようなら
10:44さようなら
10:45母だ
10:46元気でな
10:48はい
10:48純子元気でな
11:18純子
11:20さようなら
11:22さようなら
11:23さようなら
11:26さようなら
11:30さようなら
11:31さようなら
11:33さようなら
11:35さようなら
11:36さようなら
11:37さようなら
11:38さようなら
11:39さようなら
11:40さようなら
11:41さようなら
11:42さようなら
11:43さようなら
11:44さようなら
11:45さようなら
11:46さようなら
11:47ん
12:05よっちゃん よっちゃん
12:09ちっかー
12:12ちっかー
12:14よっちゃん
12:16元気だなー
12:18元気だねー
12:20がんばれなー
12:22よっちゃん
12:24よっちゃん
12:30さようなら
12:32よっちゃん
12:38しんこう
12:40さよなら
12:44よっちゃん
12:50しんこう
12:52俺もきっと東京行くからよ
13:04しめようか
13:06ん
13:16ボーイフレンドかい
13:18なーに
13:20東京行けばね
13:22いい音がいっぱいいるさ
13:25あごめん
13:26いや別にその
13:28ワンヤって言ったわけじゃないんだよ
13:29ごめんな
13:30ごめんな
13:32ん
13:34ん
13:36ん
13:38ん
13:40ん
13:42ん
13:44ん
13:46ん
13:48ん
13:50ん
13:52ん
13:54ん
13:56ん
13:58ん
13:59ん
14:00ん
14:02ん
14:04ん
14:06ん
14:08いったいどんな顔しても変えたらいいのかねぇ
14:10いらっしゃい
14:14じゅんこちゃん
14:16よろしくね
14:18ちょっとがきっぽいか
14:21私が今日からあなたの母親です
14:24あなたが今までどんな暮らしをしてきたかは知りませんが
14:28このかが家にはかが家のしきたりというものがございます
14:32そこのところをよくわきまえて
14:38時代劇だよこれじゃしょうがないから出たとこ勝負で行くか
14:46きた
14:48おかえり
14:54すいません今日は休みなんですけど
14:58お客さん前に一度見えたことありますね
15:00お客さん前に一度見えたことありますね
15:02かがに言っとけ
15:04安心するなまだ早いってな
15:06え
15:08ちょっとそれどういう意味ですか
15:10ちょっと
15:12ちょっと
15:14ちょっと
15:16さあ
15:22さあ着いたぞ
15:24ここは今日からお前の行きたい
15:26お前の行きたい
15:30おい
15:32戻ったぞ
15:34おかえり
15:36ありゃってんのお前
15:38あんた
15:40ちょっと
15:42ちょっと
15:44ちょっと
15:46不幸な偶然であった
15:48たかこの態度を見た純子は
15:50自分が歓迎されざる人物だと思い込んでしまったのだ
15:54その時
15:56あ
16:02あ
16:03失礼
16:04君
16:06大丈夫ですか
16:08なんだって
16:10いったいどんな奴なんだ
16:12そうね
16:14年はいくつぐらいかな
16:16陰気な目をした男でさあ
16:18あんた何か心当たりでも
16:20あんた
16:22あんた
16:24あんた
16:26何か心当たりでも
16:28あんた
16:30気にすることねーやな
16:32うちの店があんまり繁盛するんで
16:34やっかんてる同業者かもしれないじゃねーか
16:36あんた
16:38そうかなあ
16:40私はなんかやーな感じが
16:42いいから気にするなって
16:44おっと
16:46うちの大事な娘を合わせてた
16:48じゅんこ
16:50遠慮しないで入ってるで
16:52じゅんこ
16:54じゅんこ
16:56じゅん
16:58あれ
17:00どうしたの
17:02どう向こうもねーよ
17:04じゅんこは消えちまったよ
17:08えぇ
17:10あっ
17:12なぜ後を追ったのか
17:24じゅんこ自身にもわからぬ不思議な気持ちであった
17:28だが
17:30あの時の青年の爽やかな笑顔は
17:32今もはっきりとじゅんこの脳裏に焼き付いていた
17:36た
17:38う
17:40う
17:42う
17:44う
17:46う
17:48う
17:50う
17:52う
17:54う
17:56う
17:58う
18:00う
18:02う
18:04う
18:06う
18:08う
18:10う
18:12う
18:14う
18:16う
18:18う
18:20う
18:22う
18:24う
18:26う
18:28う
18:30う
18:32う
18:34う
18:36う
18:38う
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18:52う
18:54う
18:56う
18:58う
19:00う
19:02う
19:04う
19:06う
19:08う
19:14う
19:16う
19:18う
19:20う
19:22う
19:24う
19:26う
19:28う
19:30う
19:32う
19:34う
19:36う
19:38う
19:40う
19:42う
19:44う
19:46う
19:48う
19:49う
19:50う
19:56う
19:58う
20:00う
20:06う
20:10う
20:12う
20:16さあ
20:23ここがお前の部屋だよ
20:25基礎の家ほど立派じゃないだろうけど
20:28これは全部
20:29俺とおっ母さんが選んだもんだ
20:31もっとも
20:33ほらちょっとガキっぽすぎんじゃないかって言ったんだけどね
20:36あいつが女の子だから
20:38可愛い方がいいって
20:40寂しいか
20:44寂しいだろうな
20:49純子
20:52ありがとう
20:55とっても可愛くて気に入ったわ
20:58そうか
21:00そうしたらよかった
21:02純子
21:06よく来てくれたな
21:11俺はね
21:14この日を
21:18長いこと待ってたんだ
21:21いつかこういう日が来ると信じて
21:24お前を探し続けてきたんだよ
21:28お父さん
21:33お父さん
21:39お父さんって呼んでくれるのか
21:43だって
21:44お父さんでしょ
21:46純子
21:48純子
21:51ありがとう
21:53ありがとう
21:55お父さん
21:56ありがとう
21:59純子
22:00東京での新しい生活が始まった
22:21だが
22:38純子の心は
22:40まだ懐かしいふるさとの上に飛んでいた
22:43ちょっとあんた
22:45あんた
22:46田舎の学校で演劇部に入っていたんだって
22:49ええええ
22:51向こうじゃあどんなお芝居やったんだ
22:53どんなって
22:54例えばさ
22:56明月赤木山とか
22:59一本型な土俵入りとかさ
23:03はははは
23:04冗談冗談
23:05あはは
23:07あ
23:08私
23:08弓矢沙真子
23:09よろしく
23:11よろしく
23:16へえ
23:17寿司粉の
23:18え
23:20知ってるの
23:20知ってるわよ
23:22あそこはネタがいいって評判なんだ
23:24でも
23:25あんたどうして今まで田舎にいたのよ
23:28あ
23:28それは
23:29いろいろと訳があって
23:31わけねえ
23:32まあそんなことはどうでもいいや
23:35どう
23:35お近づきのしるしにいっぱい
23:38え
23:39ジュースよジュース
23:47どうしたの食べないよ
23:49ええ
23:52田舎じゃ
23:53こんな店ないの
23:55そう田舎田舎って言わないでよ
23:58ごめんごめん
24:00実はさあ
24:01あたしも
24:02本来どういうのになりたいと思ってるのね
24:05え
24:05あなたが
24:07何をその言い方は
24:08ごめんなさい
24:10まあ
24:11自分でも2枚目は無理だと思うんだけどさ
24:143の線ならかなり自信があるんだ
24:16そうかもね
24:18また
24:19こういうときはたとえおせつでも
24:21いいえ
24:22あなたなら絶対
24:24ピークのヒロインになれますわ
24:25って言えないか
24:27あははは
24:29あん
24:30ダメダメそんなお上品な食べ方じゃ
24:32こういうものはさ
24:33ガバッと大口上げで食いつかなきゃ
24:36ガバッと?
24:36そう
24:37ガバッと
24:38うん
24:39よしじゃあ
24:40あ
24:42この通し
24:43うん
24:45うん
24:46うん
24:47うん
24:48ん
25:03いったいどういうつもりなのよ それは若いんだからお腹もすくだろうけどさ
25:09天候早々何もあんなところで大口開けてハンバーグパクすることないでしょ あれじゃんたまるで家で何も食べさせてないみたいじゃないの
25:17そうでなくてもご近所じゃ今度寿司港に来た娘はどんな子かなっていうの目たかの 目で見てるんだよあまりみっともないまでしないでちょうだいよ
25:27いいじゃんしねーがお前で結構水までつむけじゃないか大きな声出させるようなことしたら こうでしょ
25:36ジュンゴ
25:38勝手に仕上がれてんだ 巨子
25:42町だってはジュンゴ
25:59勘弁してやってくれ お母さん
26:02別に悪気にあって言ってるわけじゃねえんだよ
26:05いいえ あの人私のことが嫌いなんですそうじゃねえってば
26:11いきなりお袋になっちまったもんだから本人も戸惑ってるんだよ おまけに
26:17お前が蝶々だなんて 偉い人のお嬢さんだと聞いて
26:21自分も負けねえようにしっかりしなくちゃいけねえって 妙に堅いじゃはっちまったんだよ
26:27あいつの気持ちもよくわかるんだ お前が都会の悪い空気に染まって
26:33妙なことにでもなったらそれこそ 基礎のご両親に申し訳が立たないからな
26:41あいつの気持ちも分かってやってくれ なじゅんこ
26:46新しい母の心情が理解できぬわけではなかった しかしやはりじゅんこの心には満たされぬ思いが渦巻いていた
26:58お父さんお母さん お元気ですか
27:08じゅんこはとっても元気です こちらの生活にもだいぶ慣れました
27:15新しいお友達もできました こちらの両親もとても優しくて
27:22いい
27:37帰りたい
27:40帰りたい
27:43ん
27:46ん
27:49ん
27:52ん
27:55ん
28:00ん
28:02お父さん
28:04ん
28:05ん
28:06ん
28:07ん
28:08ん
28:11ん
28:12ん
28:13ん
28:14ん
28:16ん
28:17ん
28:18ん
28:19ん
28:22ん
28:24ん
28:31俺のともとにたった1枚残ってる あんたと母親の写真
28:41お母さん
28:43あなたのためにこの家に残ります
28:49あなたを愛した父のため
28:5210個
28:54たった1枚の母の写真に 心の中でそう語りかけていた
29:01純子ちゃん電話よ
29:05すいません
29:08学校の友達だって昼間の子じゃないの
29:13もしもしあ私
29:17ゆげさん
29:18ねえ今テレビ見てた
29:20テレビ
29:21見てなかったら早くつけなよ
29:23あんたの住んでた街が写ってるよ
29:26ん
29:28ん
29:30もし役者になる気があったら東京へ行けて俺を訪れてこい
30:00君に
30:30me
30:34やっぱりキューか 寄贈音だけで俺にカビついた女の子だろう
30:41東京映ってきたのか はい
30:44事情がありまして 役者なる気になったんだな
30:48いいえ私は偶然通りかかっただけじゃん
31:00ん
31:04よいらっしゃいよ
31:08ほら そんなところにつったってないで座ったらどうだ
31:12はい
31:17この子はうん
31:20金のタバコだよ コーヒーいつも
31:25君は 何でもいいです
31:29じゃあジュースか何か作ってやってみるよ
31:41このマスターな 昔役者だったんだ
31:45主役の俳優と大喧嘩して足を洗ってしまったが これでも結構味のあるいい役者だったこれでもだけは余計でしょ
31:53あった
31:55あんたひょっとしてタレント志望
31:57いいえ私は
31:59この子は基礎で見つけてきたんだ
32:01基礎
32:02一目見てピンときたな
32:05この子は何かを持ってるんだ
32:08下向きな何かをな
32:11それじゃ間違いないね
32:13はいお待ちどうさま
32:15いやあんたも知ってるだろうけどね
32:17この人に育てないってね
32:19スターになった新人は何人もいるからね
32:22おはようございます
32:2520分遅刻だよ
32:26すいませんね
32:27あら
32:29先生
32:31先生は寄せと言ってるでしょ
32:34それにね
32:35俺は今日から浪人だよ
32:37そんな色目を使っても何の役にも立たんず
32:40三上ちゃん
32:41あんたまさか
32:43たった今辞表を出してきた
32:46うそー
32:47ねえねえどうして
32:49うるさいねえあんたも早く奥行って下口おいでよ
32:51はーい
32:53まったくねえ
32:56あれでテレビ出たがってるんですからね
32:58あきれと思うんですよ
33:00しかしあんたもあんただねえ
33:02花形ディレクターのお座を捨てるなんて
33:04ずいぶん思い切ったことしたねえ
33:06ディレクターといっても所詮のサラリーマンだ
33:09俺は宮遣いは性に合わないんだよ
33:12でこれからどうするんだ
33:14俳優塾を得る
33:17俳優塾?
33:19前から考えていたんだ
33:21一つの番組で囚われず
33:24じっくり腰寄せて若い子を育ててみたいってな
33:28どうだ
33:30俺の所へ来る気はないか
33:33いらっしゃい
33:36ねえ先生
33:38ん?
33:39冗談でしょ?
33:40お客さんですよ
33:42やってみる気はあるんだろう
33:45私
33:47あんた
33:49あんたがね本気でやる気があるんだったら
33:51私はこの人のところに行くことを進めるね
33:57ほっと2
33:59バスター
34:01分かってます
34:03あどうだ
34:05また名前聞いてなかったな
34:07何て言った
34:09どうした
34:11自分の名前も言えないのか
34:15かわいだ
34:18いえ
34:19かがじゅんこです
34:21かがじゅんこ
34:23かがじゅんこ
34:25どんな字だ
34:27順番の順です
34:29順番の順です
34:31ご視聴ありがとうございました
34:33ご視聴ありがとうございました
34:37ご視聴ありがとうございました
34:46ご視聴ありがとうございました
34:47あなた
34:49何かご用ですか
34:51あなた
34:53きゅんの町でも父のことを見張ってましたね
34:55なぜですか
34:57父とあなたは行って
34:59嬢さん 悪いことは言わないから
35:02競い帰った方がいいぜ
35:22いらっしゃい おかわり
35:25ただいま
35:29ずいぶん遅かったじゃないな
35:31すいません
35:41君
35:42えっ
35:44うちの娘ご存知だったんですか
35:47娘さんて
35:49君確かは基礎で
35:54ええええ
35:56じゃああんたこの間見かけたって人は
35:58先生だったんですか
36:00何が一番危ねんだよ
36:02何のことですか
36:04いえこっちのことで
36:06実はこの子
36:08訳があってちょっと田舎に預けてあったんですが
36:10今度こっちで引き取ることになりまして
36:12訳って
36:14どこか体の具合でも
36:16えっ
36:18もしかして心臓が
36:20それだよ
36:22君
36:23基礎で僕とぶつかった時も
36:24そうやって
36:25もう少しで倒れそうになったでしょ
36:27あの時ひょっとしたらと思ったんだけど
36:29ジュンコ
36:31お前どっか具合悪いのか
36:33いいえ
36:35そう
36:36いや
36:37僕の思い過ごしならいいんだけど
36:39いやだ先生
36:41いくら専門だからってみんなご自分の患者にしないでくださいよ
36:44はいやそういうわけじゃないんですけど
36:47変なこと言ってごめんね
36:49いいえ
36:51そう
36:53純子さんですか
36:54はい
36:55こちらね東亜大学病院の広沢先生って言ってね
36:58お若いけどとっても腕がいいんですって
37:00いやいや
37:01まだまだ駆け出しですよ
37:05そう
37:06純子さんか
37:19女の子が貸しなんかに行って大丈夫なのかね
37:22いいじゃねえか本人が見返ってんな
37:24この好きな子だよ
37:25学校に送らないように帰ってくるんだよ
37:27はい
37:30じゃあ行ってくぜ
37:41なんか話があるんじゃないか
37:46なんだよ
37:47行ってみな
37:5217年前
37:56お父さん
37:58どうしてお母さんと別れ別れになったの
38:03どうしたんだやぶからぼうに
38:07ゆんこ
38:09お前誰からその話を
38:11うん
38:13ただ私怖いの
38:14怖い
38:17昨日
38:21私
38:22お店の前で
38:24変な男の人に会ったんです
38:25え
38:26え
38:27その人
38:28木曽でもずっと
38:30お父さんのことをつけてたみたいだったわ
38:32お父さん
38:33もしかしてその人と17年前の出来事との間に何か
38:36じゅんこ
38:37お前の気持ちはよくわかる
38:38いずれ話さなきゃならないことだけど
38:40もしかしてその人と17年前の出来事との間に何か
38:46じゅんこ
38:48お前の気持ちはよくわかる
38:50いずれ話さなきゃならないことだけど
38:52もうちょっと待ってくれないか
38:54なぜ
38:55余計な心配かけたくないんだよ
39:02お前東京でできて間がないし
39:05もうちょっと落ち着いてからにしたい
39:07でも
39:09頼む
39:10もう少し待ってくれ
39:11その男のことも調べたいし
39:13ただ
39:15これだけは言っとく
39:17お父さん
39:19お前や死んだお母さんに対して顔向けができないようなことだけは決してしてない
39:29これだけは信じてくれ
39:33決して納得したわけではなかったが
39:39父の真剣な目を見たとき
39:42純子は黙って待とうと思った
39:44今
39:48広い東京の中で信じられるのはこの父以外にはいないと思ったからだ
39:54分かったわ
39:56お父さんが話してくれるまで私待ちます
40:00分かったわ
40:02お父さんが話してくれるまで私待ちます
40:04分かったわ
40:06お父さんが話してくれるまで私待ちます
40:10ありがとう
40:12ありがとう
40:14遅くなった
40:16行こう
40:18やめなってま
40:20びっくりしてるんじゃないかよ
40:22是非
40:24勉強
40:26ません
40:28進旅
40:39あるいは
40:45やめなってば
40:47びっくりしてんじゃないかよ
40:50瞬く間にひと月が過ぎた
40:56その間あの不気味な謎の男も姿を見せず
41:01純子の記憶から去りかけていた
41:03そしてようやく新しい生活にもなれた純子は
41:08本来の明るさを取り戻しつつあった
41:11新しい母高子との仲も少しずつほぐれ始めていた
41:19いらっしゃい
41:21こんばんは
41:23あらまた山に行ってらしたんですか
41:26ええ今度はちょっと穂高まで
41:28あそうだ
41:31これ
41:35お土産
41:38私に
41:40ありがとう
41:42それから
41:46これなんだけど
41:51あらこれ私が見たいと思ってた映画の
41:55お前じゃねえだろ
41:57すいません
41:58あのいいですか
42:02純子さんお借りして
42:03どうぞどうぞ
42:05いくだろ
42:06アスファルト
42:15飛び交う
42:17無言の
42:18オシャルテリス
42:20この街はどこでも
42:23果てしない
42:24ステージ
42:26振り向いたエンチェイン
42:29今は木が柄の
42:31パランスリート
42:33さみつきた方で
42:35リズム刻み
42:37始まる
42:38今日はどうもありがとうございました
42:41とっても楽しかったです
42:42そう
42:44僕も楽しかったよ
42:46じゃあ私
42:48ああ
42:49店の前まで送ってくよ
42:50いいえ
42:52ここからすぐですから
42:54おやすみなさい
42:56おやすみ
42:58安泰で誰なんだ
43:07何者なんだ
43:09何のために俺に突き戻って
43:13何を限っている
43:16とぼけるが分かってるくせに
43:1917年前のことさ
43:22誰あの人
43:24純子の前に
43:29忘れかけていた不吉な影が
43:31再びその姿を現したのだ
43:34ご視聴ありがとうございました
43:36ご視聴ありがとうございました
43:39ご視聴ありがとうございました