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00:00Transcription by CastingWords
00:30東京疲労にある寿司店にも春がやってきました
01:00今年も板前になりたいという若者が一人
01:08ハローワークでこの店を紹介されたそうです
01:19社長の阿部博さん
01:35愛知県から来た17歳の少年
01:47愛知で1個しかないんですよ これができるところが
01:51しっかり気合い入れて働きたいなって思ってます
01:55なかなか17歳のパンチあんまりいねぇぜ
01:59いやもう来た瞬間にパンチって17歳で
02:05普通落とすでしょ
02:07間違いない
02:09即採用とか
02:11感謝してます
02:13阿部さんのお店は都内に7店舗
02:21どの店も大勢のお客でにぎわう人気店です
02:31年賞は実に16億円
02:35そんな阿部寿司を支えているのは50人の板前たち
02:47それぞれの人生を背負って寿司を握っています
02:53外国人の見習いにちょっと訳ありそうな人も
03:05さらに中には
03:11お金を貸してほしいという板前や
03:15出社拒否になってしまった板前も
03:19その面倒を見るのも阿部さんの仕事です
03:29明日じゃダメですか
03:31お前のためにダメ
03:33一緒に行け頑張れ頑張れ
03:35大丈夫だ一緒に行くから
03:37人ってみんなそうですけど
03:41いいとこもあれば悪いとこもあるんですよ
03:43ただその悪いとこがちょっと目立ってるだけの話だって
03:45いいとこもいっぱいあります
03:47だからそこを見てあげればいいという話じゃないですか
03:59そんな阿部さんが真面目な仕事ぶりを認めている
04:03一人の板前見習いがいました
04:055年前に入社したベトナム人のチャンさんです
04:17メニューは漢字とひらがなとカタカナはバラバラから
04:29最初はメニュー覚えない
04:33学校も大変からできないから
04:35サンバイオシ山から
04:37マズローはこれ
04:41赤身
04:43大トロ
04:45中トロ
04:47これはえっと
04:49日本の調理師学校で2年間学んだ後
05:03特定技能実習生として阿部さんの店に入社
05:07主にホールで接客を担当しています
05:11今では後輩の指導もできるように
05:23はい
05:25どうなっちゃうもう
05:27大丈夫ですか
05:29うるんじゃないからな
05:31大丈夫と思います
05:322本お願いします
05:332本はい
05:35どんな先輩ですか
05:37面白いですよね
05:39優しいですね
05:41優しいですね
05:43ほとんど新入社員から
05:45みんな優しいから
05:48次は本当の仕事で
05:50今から優しくないなります
05:53もう
05:54いいし
05:55じゃあ怖いです
05:57チャンさんが暮らしているのは
06:03店の近くにある会社の寮
06:06一番奥にある六畳間がチャンさんの部屋です
06:21今大丈夫でしたか
06:23大丈夫です
06:24一日中立ち仕事のチャンさんの楽しみが
06:29プリマアプリで買ったマッサージ機
06:52チャンさんオリジナルの使い方も
06:59これ
07:01はい
07:03これいろいろ形
07:05マッサージです
07:07えっと
07:08メルカリ
07:10はいはい
07:11買ったです
07:12何くらいでしたか
07:13メルカリ
07:14えっと
07:15これは
07:191000円くらい買った
07:21着払いは払いますから
07:23これは古いものから
07:25安いもの
07:27新しいもっともっと高いから
07:29はい
07:32ベトナムの家族と離れ
07:34この部屋で暮らし始めて5年
07:40ふるさとには
07:42一度しか帰れていません
07:47チャンさんのスマホには
07:51これ衣と青木さん
07:53私と子ども
07:5510月から5歳になります
08:01一人寂しいですか
08:02はい
08:03とても寂しい
08:08将来ためにから
08:09だから
08:11我慢とか
08:12頑張りますから
08:15寿司とか
08:16焼き物とか
08:18自分のお店
08:20ベトナムから
08:21自分のお店
08:23やりたいです
08:24お家族にお金送ったりとかもしてるんですか
08:28えっと
08:29ほとんどは
08:30マチキー
08:31マチキーは
08:32お金送り
08:33今から
08:359万ぐらい
08:37送るから
08:38とても大変です
08:41あ、すごい
08:42おきれいですね
08:43はい
08:44妻と
08:45幼い子どものため
08:47頑張っています
08:51お菓子食べる
08:56そのチャンさんに
08:57まさかの出来事が起きたのです
09:04一方
09:05日本の玄関口
09:06成田空港には
09:12安倍さんの姿が
09:15この日
09:16ある人たちを
09:17迎えに来たのです
09:19え?
09:20三ノ瀬ってどこだ?
09:22これ出発するときの
09:23そうそう
09:24その
09:25ミャンマーを出るときの
09:28去年
09:29ミャンマーに行って
09:31面接して
09:32うちの社員になりたい
09:33という子たちを
09:34今日はとりあえず
09:3510人来るんですけど
09:365人
09:37先に
09:39到着するんで
09:41ミャンマーに
09:42治安が良くないって言ったら
09:43そうですね
09:44はい
09:46まあでもそういう人たち
09:49を少しでも助けられたり
09:50出来たら良いのかな
09:51というのは思ってますので
09:55さあ
09:57来た来た
09:58痛まえを志す
10:07若者が減る中
10:09海外からの見習い組は
10:11欠かせない戦力
10:16寮で生活を共にしながら
10:18痛まえ修行に励みます
10:23平均年齢20歳の若い見習いたち
10:28安倍さんは
10:29彼らの親代わりでもあります
10:31そんな安倍さんが暮らしているのは
10:40店にほど近い小さなワンルームマンション
10:43仕事が忙しく
10:54家族がいる家に帰れないため
10:56この部屋を借りているそうです
11:02安倍さんが
11:04あるものを見せてくれました
11:08妻と
11:10今高校生になった
11:11娘の写真です
11:16まあ会いたいのは
11:17すごく思いますよね
11:19だからどっちを取ったわけでも
11:20話ですよね
11:22仕事を取ったわけですよね
11:24きっと
11:26まあ撮らざるを得ながら
11:29安倍さんは
11:318年の交際の末
11:3330歳で結婚
11:37出会いは
11:39安倍さんの板前修行先でした
11:41アルバイトで働いていた
11:42ゆき子さんを
11:43安倍さんが
11:45見染めたそうです
11:47その後
11:49独立し
11:51がむしゃらに働く安倍さんに
11:53いつも寄り添っていたのが
11:55ゆき子さんでした
11:56いつも100%仕事してるね
12:02休みの日もないし
12:04まあ
12:06自由にさせてくれたんで
12:08今ここまで来れたとは思ってるので
12:10まあその意味では感謝してるし
12:12恩返しもしなくちゃだとは思うんですけど
12:14そんなある日のことでした
12:18突然
12:20安倍さんから話したいことがあると連絡が入ったのです
12:32安倍さんの手にはある書類が
12:38それは裁判所からのものでした
12:43裁判所からのものでした
12:45うちの事業員にですね
12:49こういうものが来まして
12:52こういう金額のものが来て
12:55これを給料で差し押さえてくれという
12:57そこに書かれていたのは
13:05あの
13:07チャンさんの名前
13:10相手の弁護士がですね
13:12うちの弁護士さんに言ってきて
13:14どういう風に言われたの?
13:16いやその口座に
13:18振り込んでくれという
13:20詐欺集団からの話があって
13:22そこにお金を振り込んだと
13:24振り込んで先が彼だったという
13:25うーん
13:28特殊詐欺に利用された銀行口座は
13:33調理士学校に入学した7年前に作ったものでした
13:37安倍寿司に入社後は
13:40新しい口座を作ったため
13:42ずっと使っていなかったといいます
13:45振り込み先となった口座の持ち主であった
13:49チャンさんは
13:51加害者の一人として
13:52被害額の一部
13:54およそ250万円の弁債を求められていました
13:58なぜこんなことになってしまったのか
14:05安倍さんはこの日
14:09出勤前のチャンさんに事情を聞くことにしました
14:11出勤前のチャンさんに事情を聞くことにしました
14:14一応お前の携帯に送ったの見た?
14:21はい
14:23多分いっぱい行きすぎて意味が分からないと思うけど
14:27はい
14:28ほんと大丈夫?
14:29なんで
14:32借金はもう260万円が分からないから
14:37でも
14:38いや
14:39なんで
14:40ガシューカードから260万円は
14:44借金できません
14:45クレジットカードは
14:47えーと
14:49しょうがない
14:50もうガシューカードは全然お金ないから
14:54何人は買い物とか
14:56何人使い物とか
14:58出来ましたら
15:00え、なんで分かってないの?
15:01分かってない
15:03詐欺、詐欺、詐欺分かる?
15:05オレオレ詐欺?
15:06はい
15:07人を騙すでしょ
15:09でそこから
15:10そうやって
15:11また引き出して
15:12やろうとしたの
15:13だからそれで
15:14悪いことに使われる
15:15ずっと前に無くしてしまった
15:20銀行のキャッシュカードが
15:22不正に使われたと勘違いしていたチャンさん
15:29自分が事件の当事者になっていることを
15:32初めて理解しました
15:36どこである?
15:37はい
15:38少しだって5万ぐらい
15:415万しかない?
15:42はい
15:43本当に?
15:45え、どうする?
15:48ないよね
15:49どこにも
15:50もう小座にもないもんね
15:51小座、お金がないもんね
15:52はい
15:56突然請求された250万円もの大金
16:05チャンさんにとって
16:06とても払える金額ではありません
16:08全然聞こえないから
16:09心配になるんだよ
16:11全然聞こえないから
16:12心配になるんだよ
16:13全然聞こえないから
16:14心配になるんだよ
16:15全然聞こえないから
16:19全然聞こえないから
16:20心配になるんだよ
16:21これ全然聞こえないから
16:22全然聞こえないから
16:23心配になるんだよ
16:24ただきにきて
16:29その
16:31一生命頑張っているのに
16:33国に
16:34奥さんと
16:34子供がいて
16:35お金を送れないっていうのは
16:37結構
16:38大変なことですし
16:39帰りやりしてもいい
16:40従業員にトラブルが起きたら、動かずにはいられない。それが安倍さんです。
16:55チャンさんと一緒に向かったのは、法律事務所。
17:02今回、給料は差し押さえになったんですけど、相談をさせていただけたらなと思いまして、お知らせになりました。
17:19この問題を解決する方法はあるのか。
17:27一方で、安倍さんには気になっていることがありました。
17:34まあ、あのー、まあ、登山が、その、どういう経緯で、その、相手に伝わる、まあ、言ったかとか。
17:47うーん、なんですけど、その、まあ、彼、いわく、うーん。
17:55なぜ、チャンさんの銀行口座が、特殊詐欺グループに渡っていたのか。
18:02一つの可能性を捨てきれずにいたのです。
18:07その、その、もしかしたらカードを売ってしまっていた可能性、うーん。
18:12というのがあったじゃないですか。
18:14そうですね。ゼロじゃないと思います。
18:16割と座ってやる人が多いって話を聞いて。
18:20で、警察にも問い合わせたし。
18:22えっと、まあ、彼にも何回も話をして。
18:24で、彼も警察に何回も連れて行って。
18:26もし、本当に売ってるんだら、僕の責任は絶対あると思っています。
18:33もし、チャンさんが、特殊詐欺グループに使っていない銀行口座を売っていたとしたら、
18:39警察の取り調べを受けているはず。
18:44そうなれば、店を休まざるを得なくなりますが、チャンさんはこれまで、無遅刻、無欠勤でした。
18:57ではなぜ、チャンさんに事実確認もされないまま、多額の弁債が確定してしまったのか。
19:09その理由を確かめたい。
19:15安倍さんは、新幹線とバスを乗り継ぎ、東京から5時間かけて、通知を送ってきた裁判所へと向かいました。
19:24自分ができること、全部分かること、できることをして、見て、聞いて、
19:39もうそれで、あとは判断を下すしかない。
19:42それもしないで、簡単に判断したら、
19:45もし間違ってたら、もし迷惑を下さいときに、本当に申し訳ない。
19:51だから、できると思うならやろうと。
19:54それしかないです。
19:56安倍さんは、事件の裁判記録を確認。
20:09すると、ある事実が明らかになったのです。
20:17これは、裁判所がチャンさんを加害者として認定したことが記された書類の一部です。
20:30そこには、「被告は口頭弁論期日に出頭せず、請求原因事実を争うことを明らかにしないものとして、これを自白したものとみなす。」
20:44と、書かれています。
20:49つまり、通知をしても裁判に出頭せず、否定の意思も示さなかったチャンさんは、罪を認めたものと判断されたのです。
21:04ではなぜ、裁判所の通知に対応しなかったのか。
21:09実はチャンさん、ある程度の日本語を話せても、読むことはほとんどできないのです。
21:17自分で言葉がわからないからですよね。
21:22いろんな書類が来ていたのかもしれない。裁判でもちろん、出手するようにとか来ていたと思うんですけど、
21:27何が来ていたのかはわからなかった。
21:30聞きもしなかった誰にも、彼が自分の中で聞けばよかったんですけど、
21:36いろんなもの、変なものがよく来ていたので、自分でもわからなかったと思います。
21:43裁判所からの通知だったことも、何が書かれているのかもわからなかった。
21:54それが、出頭しなかった理由でした。
21:58だからといって、もちろん弁裁の義務が消えるわけではありません。
22:05あれさ、国困っているのかね。
22:10お金もないでしょ。
22:12はい。
22:14結局、チャンさんは、被害額の弁裁ができないまま、自己破産の手続きをしました。
22:335年間勤めた安倍さんの店も辞め、家族の待つ、ベトナムに帰国したのです。
22:48これだけやられたじゃないですか。無下じゃないですけど。
22:51いや、それは寂しいですよ。
22:53本当はもう5年くらい、10年くらい働いてくれたらいいと思うけど、
22:59でもそれを、こんな理由があるでしょうから。
23:03帰っても、それはしょうがないなとは思うんです。
23:061年を締めくくる大晦日。
23:13安倍さんのお店が、最も忙しくなる日でもあります。
23:20小麦巻き、卵、空豆。
23:34追われているのは、おせち料理作り。
23:39毎年、300組もの予約が入り、作業は深夜にまで及びます。
23:48みんな、ありがとうね。
23:50じゃあ、1回行っていくでしょ。
23:52おめでとうございますよ。
23:55この日ばかりは徹夜。
23:57いくつもの店を回るため、さすがの安倍さんもお疲れです。
24:06その様子を動画に撮るスタッフも。
24:12神様みたいな。
24:14毎年やってるんですよ。
24:16毎年、結構。
24:18いびきかいて、めっちゃ寝るんですよ。
24:21それが面白くて。
24:24社長なんですけどね。尊敬してる社長なんですけど。
24:27仕事に人生を捧げてきた安倍さん。
24:36実は、大切な家族に大きな出来事がありました。
24:422024年夏。
24:46横浜。
24:47安倍さんがやってきたのは、病院です。
25:01そこで、ある人が安倍さんを待っていました。
25:08妻の由紀子さんです。
25:13実は、ある深刻な事態が明らかになったのです。
25:20別室へと通された安倍さんが、教えてくれたのは。
25:27まあ、ここに大きながんの使用があるので、手術をするっていう感じなんですけど。
25:46安倍さんの人生が、大きく揺らぎ始めました。
25:532024年8月。
26:00横浜の病院を訪れた安倍さん。
26:05妻の由紀子さんに、がんが見つかったのです。
26:12まあ、進行具合は、多分、3だろうと。
26:17仕事に追われ、弟子を育てることを何よりも優先し、家族を顧みることがなかった安倍さん。
26:28そんな生き方を、後悔したことはありませんでした。
26:33しかし、由紀子さんのがんという現実が、重くのしかかります。
26:40もしかして一緒に住んでたら、もっと検査行けよとか僕が言って、
26:49まあ、ここまで大きくことにならなかったのかもしれないし。
26:54もう一度、人生をやり直せるなら、経営者にならないで、家庭を中心として生活も、もしかしたらやってみたかったと思う自分においてのかもしれません。
27:03子供ともともと時間をとったり、まあ、お客さんとろっかいに行ったり、そういうのも良かったのかなって思う自分もいるのかもしれません。
27:18およそ6時間の手術が終わりました。
27:37大丈夫?
27:49大丈夫?
27:51大丈夫?
27:52うん。
27:53大丈夫?
27:54大丈夫?
27:55大丈夫?
27:56大丈夫?
27:57大丈夫?
27:58疲れちゃった?
28:00ゆっくり休んで。
28:01不器用で、精一杯の言葉。
28:08お部屋ごめんなさい。
28:09はい、ありがとうございました。
28:10すみません。ありがとうございました。
28:23まあ、ここからですよね。
28:24こう案内して。
28:26うーん。
28:27安倍さん自身としても、こう、家族と抜き合う時間は増えていくのかなっていう。
28:34うーん。
28:36でしょうね。
28:39面倒見なくちゃいけない、でしょうから。
28:46この日を境に、安倍さんにちょっとした変化が生まれました。
28:51考え込むことが、多くなっていたのです。
28:58実はこの時、ある決断をしようとしていました。
29:04ゆきこさんの癌が判明して、1ヶ月。
29:19お待ち合わせていたのは、創業以来の取引先、ビール会社の担当者です。
29:2420年近く店で働く、ベテランの板前もを連れてきていました。
29:29お待ち合わせていた。
29:30お待ち合わせていたのは、創業以来の取引先、ビール会社の担当者です。
29:3620年近く店で働く、ベテランの板前もを連れてきていました。
29:43安倍さんの右腕です。
29:54そして、安倍さんは意外な言葉を切り出しました。
29:58この話したのは初め、最初は札幌さんです。
30:02まだどこにもしていないので、先にお伝えだけしておいたほうがいいかな。
30:07僕、事業承継を今考えていまして、一応次の社長は渡辺で決まっています。
30:20そう、安倍さんは近い将来、社長を降りることを考えていたのです。
30:27自分の思いと、従業員の思いと。
30:32昔で言えば、まだ安倍さんが1店舗だったときに、担当者として携わらせていただいたことがあったので、
30:42いずれかのタイミングでお考えになっているんだとは思っていましたし、
30:46ただ、従業員の方は何よりも一番に考えていらっしゃるので、
30:53僕の中で始めたときにいろいろ決めたことがあって、
30:57それをずっと貫いてきて今があるとは思ってはいるので、
31:00ただ、やっぱり時代の流れだったり、社長を背負っていると、
31:05なかなかやりたいこともできなかったりするので、
31:08次にやりたいことがあるんですか?
31:10やりたいことはないんですけど、今は奥さんが勘なんですよ、実は。
31:13うちの奥さんが勘なんですよ。
31:16今、これから手術したりとかもするんですけど、
31:19今はもう入院はしてるんですけど、
31:21そういうのもあって少し軽くなったりしたほうがいいのかなと思って。
31:26人生を変えようと動き始めた阿部さん。
31:36そしてもう一人、自らの人生に悩む板前がいました。
31:45こんな自分を見捨てず、チャンスまでくれてありがとうございました。
31:55この恩は必ず仕事で返せるよう努力します。
32:00メールの送り主は、この人。
32:07人生の軌路に差し掛かっていました。
32:13阿部さんにとって、特別な存在ともいえる板前です。
32:19今からちょうど1年前、私たちはある板前を取材していました。
32:33澤さん、31歳。
32:36故郷、東北の高校を卒業後、阿部寿司に入社。
32:4313年目を迎えていました。
32:46金目鯛。
32:47金目鯛。
32:48お願いします。
32:49はい、かしこまりました。
32:56腕も認められ、店では板場を任される中堅どころ。
33:06佐和さんが入社したのは、2012年。
33:11阿部さんのお店が、まだ軌道に乗る前。
33:17同期の板前見習いは、10人いましたが、残っているのは、佐和さんだけ。
33:27大変な時代を支えてくれた佐和さん。
33:31阿部さんにとって、特別な弟子ともいえる存在です。
33:37一方、板前として育ててもらった佐和さんにとっても、阿部さんは人生の恩人。
33:49やっぱり阿部さんの存在が大きかった。
33:52まあ、そうですね。
33:54いつもちゃんと見てくれてるし。
33:56だから阿部さんには、頭は上がらないです。
34:01しかし。
34:03佐和さんには、克服しなければならないことがありました。
34:13阿部さんが向かったのは、佐和さんが暮らす部屋。
34:20この日は、出勤日だったのですが。
34:25なんで?
34:29みんな心配するだろうね。
34:31みんなに連絡をする。
34:32いちいちそのために、来なくちゃいけないんだから。
34:40実は佐和さん、このところ、無断欠勤を繰り返していたのです。
34:45いや、もう中学の頃、半年ぐらい引きこもってた時期だったんです。
34:54そういうのもあって、俺、都合が悪くなったら、都合のいいところに逃げるっていう癖はあるです。
34:59そんな佐和さんの逃げ癖、1年ほど前から抑えられなくなっていました。
35:08お店の同僚たちも。
35:13お店の同僚たちも。
35:20いや、心配ですよ。
35:22うん。
35:24若いというか、ずっと頑張ったね。
35:26やってきたから。
35:27それはやっぱり、どうしても。
35:29なんでしょう。
35:32阿部さんは、佐和さんを立ち直らせたいと、部屋に通う日々が続いていました。
35:38すいません、阿部さん。連絡もないません。
35:42本当だよ、寝てただろ、また。
35:44見せらっしゃいま、いつまでに。
35:46すいません、本当に。
35:48てか、お前、自分でまた体を動かしたり、何かしないと、自分で落ちていくよ、どんどん。
35:56そうですね。
35:58そして、その言葉が現実に。
36:02どうやって返してんだんでしょう。
36:06阿部さんと一緒に訪ねてきたのは、不動産屋さん。
36:10佐和さん、家賃を滞納していたのです。
36:14なんで困ったの?
36:16お前がお前たぶん、みんなに目がかかってくる。
36:20ねえ、お店の人間、ねえ、不動産屋さん。
36:24あとは仕事を頑張ってもらって、自分で立て直す。
36:28やるかやらないか、自分だけだから、頑張っています。
36:32それでも、阿部さんが見放すことはありませんでした。
36:38まあ疲れますよね。でもただ、変わらないってことじゃないんで、人間は変わるんで。
36:45まあ、すごい大変ですけど。すごいすごい大変だけど、僕も変わったから、みんなも変わると思うんですよ。
36:53佐和さんを変えたい。それには、ある理由がありました。
37:01取り出したのは、佐和さんの履歴書。
37:05この時に面接した女の方、今でも覚えています。
37:08独立の夢が叶うというフレンズ魅力を感じた。
37:12彼にも、その、自分で将来、うーん、やってくれたらなと。
37:18その思いに水をさす、まさかの事件が起きました。
37:26阿部さんの前から、佐和さんが姿を消してしまったのです。
37:35帰ってきてないの?
37:36いない。
37:37帰ってきてない。
37:39いいですよ。
37:41佐和さん、突然の失踪。
37:46さすがの阿部さんも、ショックを隠しきれませんでした。
37:51僕は甘やかすぎて、そうなっちゃったんですけど。
37:58そろそろ厳しいこと、彼にも言わないと、いけないところに来ちゃったかなって。
38:12その翌日。
38:14すいません。すいませんでした。すいませんでした。
38:21すいません。すいません。
38:25佐和さんは、出勤しようとしたものの、電車を乗り過ごし、そのまま友人の家に泊まっていたといいます。
38:35ずっと言ってるけど、自分が勝たないと無理よ。
38:40ずっと甘えてちゃいけないんだ。
38:42どっかで勝たないと、もう人生一生逃げていけるよ、お前は。
38:48それは、阿部さんからの最後通告。
38:52そして、佐和さんは、故郷に帰ることを告げたのです。
38:58誰よりも目をかけてきた特別な弟子、佐和さんの決意。
39:12心の整理がつきませんでした。
39:15帰るように、人生、家と参加していたのですが、日本間のお店ができたことを多くしていました。
39:28相手と参加していたのは、大きなものでです。
39:34I'm sorry.
39:46One方,
39:48he's back home to get to the house,
39:51but in fact that he will stay at the time,
39:54he's one person to keep up with him.
39:58I have been doing something for him to be a little bit.
40:03本当、俺、もうちょっとそこだけずっと引っかかってるんで、もやもやして。
40:12悩み抜いた末に下した沢さんの決断とは。
40:25故郷に帰ると告げてからも迷い続けていた沢さん。
40:31失うものはない。だからこそ。
40:44逆に今ちょっとチャンスだと思ってるんで、そういう意味で。今変わる。
40:50そのチャンスを逃せば、もうあとはありません。
41:00沢さんが出した答えは。
41:05おはようございます。
41:07おはようございます。
41:09店に帰ることでした。
41:13丸刈りは覚悟の現れ。
41:18いつ?昨日?
41:20昨日です。
41:21気合い入れて。
41:22板場に立つのは3ヶ月ぶりですが。
41:35寿司を握る腕は衰えてはいません。
41:41ここまで育ててくれた阿部さんのためにも、もう逃げるわけにはいかないのです。
41:52お願いします。
41:57久々の沢さんの仕事ぶりに、同僚たちは。
42:03頑張ってます。
42:05頑張ってます。
42:07今頑張るしかない。
42:11頑張ってると思う。
42:13And the other person also came here.
42:20It's Abe's son.
42:34Well, I'm going to come here.
42:40But yeah
42:41You're here with us
42:41You're here with us
42:42Yes
42:43You're here with me
42:44You're here with us
42:45You're there with us
42:47You're here with us
42:49You're here with us
42:51Really?
42:52We'll hold you
42:53I'm really grateful
42:54I want to pay you
42:56all of you
42:59When you're back on this situation?
43:02Why are you back on this situation?
43:04It's simple
43:05I want you back to time
43:08That was I was working.
43:10I wanted to do it.
43:12I thought I had a part of the river.
43:16I felt like I had to be there.
43:18I wanted to go home.
43:21I thought I wanted to be there.
43:23I was thinking about it.
43:25I thought that I wanted to go home.
43:28You can stay back to the river.
43:32阿部さんは相変わらず弟子たちのもとを飛び回る日々妻由紀子さんの病状も落ち着いているそうです
43:55いつかはもちろん受け渡さなきゃいけないしあれではあるんですけど
44:03これから先もいろんな問題がこうやって起こるだろうけど
44:09まあまあみんなのために頑張るようにしっかり
44:19寿司を巡る人生は続きます
44:23たった一度の人生は誰もが山あり谷あり
44:37それぞれの思いを乗せて一貫の寿司を握る
44:43それこそが板前たちの心意気
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