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ショートトランスクリプション
00:009月9日 世界柔道選手権大会が東京で開催されます
00:14柔道発祥の地で行われるのは 実に52年ぶりのことです
00:23今や国際的スポーツとなった柔道
00:26世界のおよそ200の国と地域で行われ 競技人口は800万を超えると言われています
00:35しかし柔道は国際化する中で 一つの課題を抱えることになりました
00:47勝負に勝つことだけを優先する風潮です
00:50それは明治時代 柔道の創始者 加納次五郎が唱えた
01:01武道としての本質にそぐわないと考えられています
01:05柔の道 第一回は
01:13今見失われようとしている柔道の精神とは何か
01:18柔道誕生の歴史の中に探ります
01:43東京文京区にある高道館
01:56日本の柔道の総本山として 柔道の普及に取り組んでいます
02:01国内外からの入門者は 毎年2万5000人ほど
02:07ここで稽古を積んだ人の中から 多くの指導者が育っています
02:13スポーツライターの玉木正幸さんです
02:19玉木さんは日本文化の国際化を考える上で
02:27柔道の歴史は多くのことを語りかけてくると言います
02:31玉木さんが今注目しているのが
02:389月に行われる 世界柔道選手権大会のテーマです
02:43大会のテーマは 原点回帰
02:49ポスターは半世紀前の 第一回大会のデザインをヒントに作られました
02:56今改めて原点を見つめ直そうという 柔道界の思いが込められています
03:01柔道は完全な国際化に成功した 日本固有の伝統文化と言えると思うんですよね
03:11その柔道が約半世紀ぶりに 東京で世界大会が開かれます
03:18そこで注目しているのは テーマです
03:23原点回帰 この原点に戻ろうというテーマはですね
03:28国際化によってともすれば 原点が見失われがちであるという
03:35それへの対する危機感だと思うんですね
03:39その危機感が原点回帰という 言葉を生んだと
03:44では柔道の原点とは一体何なのか
03:47柔道の伝統とは何なのか
03:49ということを求めて その柔道の歴史を探ることを やってみたいと思っています
04:02東京都台東区にある永生寺 ここが柔道発祥の地です
04:10明治15年 この寺に柔道の指南所として 行動館が設立され
04:20柔道の歴史が始まりました
04:23創始者は加納次五郎
04:30教員を要請する東京高等師範学校の 校長などを務めた教育者でした
04:36カノーが柔道を生み出すきっかけは 少年時代の経験にありました
04:50幼い時から体が弱かったカノーは 他の生徒から見下され
04:59暴力を振るわれることもありました
05:01学科で遅れを取るようなことはなかったが
05:09身体が弱く 花風に立たせられ
05:13他から軽んぜられた
05:14なんとか強くなって見返してやろう
05:23この時カノーが目をつけたのが
05:26力が弱くても強いものに勝てると 歌っていた柔術でした
05:3118歳のカノーは 柔術の一つの流派に入門します
05:41この時カノーが学んだ柔術が
05:44後の柔道へと発展していくのです
05:47柔術はもともと戦場で 武士が攻撃や防御のために使う
05:59武術の一つです
06:01戦国時代にまとめられ 白兵戦の中で敵を制し
06:06自らが生き残るための術として広まりました
06:09カノー・ジゴロウが入門した 天神神妖竜柔術です
06:20日本刀を持つ相手を想定した稽古などが 今も受け継がれています
06:25天神神妖竜柔術では 礼をする時にも
06:34相手の動きを伺うために 視線を外しません
06:38常に戦いの場にいるという意識が 大切にされています
06:44柔術の技は基本的に 型として習得します
06:59これは小手返しという型です
07:02まず相手の突きをかわし 手首に打撃を与えます
07:08ここは尺卓と呼ばれる急所で 打たれると痺れが走ります
07:16さらに体勢を崩しながら 急所に蹴りを放ちます
07:25柔術は危険を伴うため こうした技を出す順番を決めた型によって
07:36身につけていくのです
07:38柔術に織り込まれた様々な技は 人体の構造を巧みに利用したものです
07:48ピストルを突きつけて脇の場合
07:58こうやってフォードアップときに こうやって取っちゃうんですね
08:02体がこっちに寄せるときに 腕を取られただけで
08:06まあそれがエディで こうやってやるとすぐ回られるでしょ
08:09回ってくる箱のクラウド こっちへこう
08:11反対に行っちゃいます
08:13あとはこれはしっかりもう 一度目でここでこれをしっかり
08:17ここもしっかり こうこの方を決めちゃうんですね
08:19手首
08:20痛いですね
08:21手首をしっかりね
08:24それも自然に出ちゃうんですよね
08:26これ一つの壺という
08:27まあそうですよね
08:28なるほど
08:29天神神陽流柔術の極意が 伝書に記されています
08:44弱欲強を精摂しむ
08:48人間の体を深く理解することで 弱い力が強い力に勝つ
08:54可能が求めたものも まさにここにありました
08:58柔術の合理性に見せられた可能は 他の流派も積極的に学び
09:09後の柔道へとつながる さまざまな技を習得していきます
09:20日本の長い伝統での体の使い方を知って 技をかけている人と
09:26力でもって相手を投げようとしている 人の違いっていうのはやっぱり柔道の中でも
09:32見ていれば分かると思いますね ですからあの柔道の非常にうまく強い
09:38選手というのは日本の古い伝統の上に 乗っ取った
09:43柔術の上に乗っ取ったその 技を持っておられる人だとそういうふうに思います
09:49日夜柔術に励んだ結果 ボロボロになった可能の稽古着
09:59厳しい修行に打ち込んだのは 早く強くなりたいという一心からでした
10:05しかし稽古を続けていくうちに 可能のみに思わぬ変化が起こります
10:12柔術のため身体の健康の増進するにつれて 精神状態も次第に落ち着いてきた
10:25可能は柔術を通して心の平成が 得られることに気づきました
10:36ただ敵を倒す技術にとどまらない 柔術の価値を見出したのです
10:45しかし可能の熱意とは裏腹に 当時柔術は衰退の一途をたどっていました
10:53文明開化の時代 柔術などの武術は 野蛮で危険なものとみなされました
11:02武術を無用とする風潮が広がり 習うものも少なくなりました
11:08柔術家の中には 女性に柔術の演舞をさせる見せ物などで
11:19ここをしのぐ者も現れます
11:28柔術を再び世に広めたい
11:31柔術の魅力に取り憑かれた可能は そう考えるようになります
11:37そこでまず柔術から危険性を取り除き 誰もが学べるように改良を重ねました
11:46例えば天神神妖竜柔術に 種目という技があります
11:55この技は ふくらはぎの下にある急所に打撃を加え 相手を倒すというものでした
12:05カノンはこの技から 打撃の要素を取り除きます
12:17振り上げた足は あくまで相手の足を 救うために振り下ろされます
12:28こうしてできたのが 柔道の大外狩りです
12:38技から危険性を取り除いたことで 肩中心だった稽古を
12:43自由な技の掛け合いである 乱取り中心の稽古へ変えることができました
12:51これは相手の技に対して 臨機応変に対応する技術を養うことにつながりました
13:00その結果 より合理的で多彩な技が 生み出されていったのです
13:10カノンは技の体系化にも取り組みます
13:14様々な技を分類するとともに 誰もが習得できるように 洗練させていきました
13:20明治15年 カノンは自らが体系づけた 新しい柔術を柔道と名付けました
13:40この時の門邸はわずか9人 ここから柔道の歴史が始まったのです
13:49それから3年後 柔道が世に広く認められる出来事がありました
13:58警視庁が主催した武術大会で 多流派の柔術家との試合が行われたのです
14:06この大会で名を挙げたのが 高道館の西郷志郎
14:14西郷は柔道独自の山嵐という技で 多流派の柔術家に圧倒的な勝利を収めました
14:25他にも10試合ほどが行われ 一つの引き分け以外は柔道が勝利したと伝えられています
14:38これを機に 高道館への入門者は増加します
14:514年後の明治22年には 1000人を超えるまでになりました
14:57可能は当時を改装して こう語っています
15:03科学を応用して技を決定してきたから 柔術諸派との優劣は自ら明らかになり
15:12全国の修行者が 高道館の柔道を学ぶようになったのである
15:22他の柔術というのは いわゆる秘伝とか奥義というもので
15:28口では言えないものだ 口では表せないものだ
15:32それは練習によって 師匠から盗み取るものだというふうなところがあったわけですね
15:39それを可能時ごろは柔道として 技術体系を作ったわけですから
15:44それは誰が見ても 誰が聞いても また誰が読んでも
15:48分かるような 柔道の技術だったと思うんです
15:53やはりそれは近代日本 近代的なやり方で
15:58他の武道にはなかったものということで アドバンテージがすごくあったと思います
16:05柔道発展の元になったのは やっぱり近代化という一言で言えると思いますね
16:12柔道が目指したのは 勝負に勝つことだけではありませんでした
16:19それは柔道という名前にも込められています
16:24柔道は柔道と命名した意味を こう述べています
16:35術の前に道がある
16:42柔道は己を完成し 世を保育するための道である
16:54技を磨いて相手に勝つことよりも 心身の鍛錬を通して
16:59人として成長し世に尽くすことが 大切だと考えたのです
17:04柔道の例には 頭を下げ 視線を落とす形が取り入れられました
17:15相手は敵ではなく 共に切磋琢磨する仲間だとされ
17:20敬意を表すことが求められました
17:24また相手を投げるときは
17:31道着を掴んだ手を離さないように 徹底されました
17:35投げっぱなしだと 怪我をさせる恐れがあったためです
17:39技の掛け合いの中でも 相手への心配りが必要とされたのです
17:54試合は あくまで修行の一方便であり
18:02修行の童貞において
18:05どれほどまで 己の力が進んだかを 試みる場所である
18:11日本で柔道が認められ始めた 明治20年代
18:20可能の眼差しは 早くも海外へと向けられていました
18:31可能は繰り返し海外へ渡航し デモンストレーションや講義などを通して
18:36柔道の普及を図りました
18:44可能を突き動かしていたのは
18:46日本固有の文化を 世界に知らしめたいという思いでした
18:53今日の三千たる文化は 外国に追うところが多い
18:58しかるに もし日本が
19:00自国の文化を 外国に与えることがなくば
19:03諸外国と日本との関係は
19:07精神的に債権なくして 債務のみを有する国となって
19:12はなはだ遺憾である
19:20可能の理想に共鳴した門邸たちも
19:22柔道の海外への普及に努めました
19:25その一人 山下義次は
19:31明治36年 柔道家の妻とともに
19:35アメリカへ渡ります
19:42山下の滞在中 アメリカでは
19:45日露戦争での勝利を機に
19:47日本文化に対する 関心が強まっていました
19:49こうした中 山下は
19:55夫人たちの間に
19:57ご真実として 柔道を広めることに成功します
20:01さらに ホワイトハウスに出向き
20:06時の大統領 セオドア・ルーズベルトにも
20:10自ら指導しました
20:11柔道が世界に知られるようになったこの頃
20:21可能寺五郎に 国際オリンピック委員会から声がかかります
20:26可能は明治42年 日本人初の委員となりました
20:30その後 可能は積極的に
20:40日本へのオリンピック招致に 取り組むことになります
20:48しかし 一方で
20:50柔道をオリンピックの競技に 入れようとはしませんでした
20:54柔道は 単なるスポーツやゲームではなく
21:04人生哲学である
21:06現時点での私の見解は
21:09柔道がオリンピック種目となることに
21:13むしろ 消極的である
21:18勝負を争う競技面だけが強調されるあまり
21:21心身を鍛錬するという 柔道の心髄が失われることを恐れたのです
21:28そこには 人間を育てる道として柔道を生み出した
21:35可能の強い信念がありました
21:41昭和13年 可能は海外視察のために訪れた
21:46バンクーバーからの岐路 船の上で亡くなりました
21:49となりました
21:53去年78
22:04加納寺五郎が亡くなってから70年が過ぎた今
22:09柔道界で原点回帰の声が上がっています
22:13スポーツとして発展した現在の柔道は
22:16可能の理想とした柔道から かけ離れてしまっているのではないかと
22:22玉木さんは考えています
22:32現在柔道の国際化というのは 完全に果たされました
22:36世界中でサッカーボールを蹴るのと同じように
22:41子どもたちも大人も 世界中の人たちが柔道を行っているわけです
22:46でもこれが 加納寺五郎の目指した国際化というと
22:51ちょっと首をかじげたくなります
22:54加納寺五郎は 人格の形成
22:56そして人生の道としての柔道を目指したんですが
23:01それが果たされているかどうか
23:04そこが最大の問題なわけです
23:06それが今 世界の柔道界に突きつけられている
23:10課題だと思われます
23:11ご視聴ありがとうございました
23:41昭和の初め 柔道は人間形成に役立つとして
23:56学校教育に取り入れられます
24:01昭和の初め 柔道は人間形成に役立つとして
24:06学校教育に取り入れられます
24:10柔道の授業では 国家に尽くすための精神教育に重点が置かれました
24:17次回は 戦争へと向かう時代の中で
24:22国家は柔道に何を求めたのかを探ります
24:26Eテレ
24:30全国地デジ科テスト
24:372011年7月 お宅のテレビはどうなってしまうのか
24:41では 行ってみましょう
24:45あなたのご覧のテレビは アナログ放送です
24:49こうなる前に 地デジへの準備をお願いします
24:52困ったこと 分からないことがありましたら
24:55総務省地デジコールセンターまでご連絡ください
24:57さあ 移行までもうすぐです
25:00ご準備を
お勧め
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