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00:00I'll see you next time
00:30月とトマトには不思議な関係があるらしい
00:39収穫は新月の夕暮れと植田卓郎は決めていた
00:47いいですねこれは結構厳しい状態に
00:52果実が立てる産毛はわずかな水分を逃すまいとしている証
01:00新月のトマトっていうのは水が少ない分蓄積している旨味が際立つ
01:06特に樹液が根に集中する新月の時期
01:11酸味や甘みが凝縮される
01:14トマトを10個分ぐらいをギューって1個にしたくらい
01:29地元のスーパーに卸せばたちまち売り切れてしまう
01:36やっぱりおいしい
01:40スーパーでここで売ってるトマトと味比べたら全然違います
01:46濃い感じ味が濃い感じ
01:48名店と呼ばれるレストランからも引っ張りだこ
01:55鰹節じゃないですけど出汁のような旨味の塩とトマトだけでバンバン上がってくるっていうのは本当にびっくりしました
02:06あなたも知らないうちに新月の恵みを味わっているのではなかろうか
02:15上田に絶大な信頼を寄せているシェフが
02:21うまい
02:24きれいですよね
02:26本当に守られている感じ
02:29芸術性みたいな感じがします
02:33一口でインパクトはかなり与えられるトマトなので
02:38唯一無二のお店には絶対必要な農家さん
02:42商産を集める上田の農園は奥の戸にある
02:51去年は大地震に見舞われた上
02:57中中豪雨で甚大な被害を被った
03:00大切なハウスも
03:05栽培に欠かせない乾いた土が大量の水を吸ってしまった
03:18何か調子悪いような気がしますね
03:24大丈夫かな
03:26収穫に至るっていうのは当たり前のことじゃない
03:36奇跡の連続を乗り越えて収穫に至っているんですよ
03:41家族みんなの手を借りて
03:49奇跡のトマトができるまで
03:53農園は輪島の山間部
04:00ビニールハウス20棟と規模は決して大きくない
04:06雨の多い北陸は乾燥で味を増すトマトには向かない
04:14そんな常識を上田は覆してきた
04:19到着です
04:23貴重な晴れなんですよね
04:30北陸の晴れって
04:32トマト作りは秋に始まる
04:36まずはもみ殻を集めた
04:40土に混ぜると乾燥が進み
04:45理想的な畑に変えることができる
04:49あの集中豪雨からふたつき
04:56黙々とハウスの土壌を整え
04:59トマトに適した環境を準備していった
05:02この日は妻と二人の娘が駆けつけ
05:26ハウスの修繕
05:27農園ではトマト以外にも
05:56年間でざっと60種の野菜を育てている
06:02珍しいものも多い
06:06これあのプンタレッダ
06:09このつぼみみたいな
06:11ここ食べるんですけど
06:12これはもう半分に切って焼いて
06:16豚肉とすごい相性良くて
06:19これラディッキオタルビーボってやつで
06:22一回土で育てたやつを掘り起こして
06:26水で育てるんですよ
06:27もう一回
06:28今かかります
06:30高級野菜ですねこれは
06:32どう料理するのが一番か
06:36日々研究を重ねて
06:39腕はプロ顔負けだ
06:41でここにこのミニトマトパウダー
06:46これドライトマトをカリカリにして
06:48で粉砕するんですよ
06:51でこれ
06:53あのトマトだって分からなくても良くて
06:56あのうま味の底揚げみたいなイメージで
07:00こんな横顔も顧客に支持される理由だろう
07:07自家製のトマトソースには水も塩も加えない
07:15ちょっと小さく混ぜますけど
07:18ちょっと小さく混ぜますけど
07:19いただきます
07:28いただきます
07:29何とも贅沢な食卓だった
07:35うん
07:37美味しいね
07:39濃厚
07:39うん
07:40お仕事の時もお昼御飯ずっと一緒なんで
07:51やっぱ
07:53話す内容は
07:56野菜のことだよね
07:58すごい
08:00熱い男です
08:05野菜の美味しさと引き換えに
08:07家族がちょっと寂しい思いをしてるっていう
08:10なかなか行けんよね
08:13お出かけ
08:14うん
08:14行きたいとこある?
08:17デザインシート
08:18デザインシート
08:19デザインシート
08:20生まれは1983年
08:29父が始めた野菜農園の一人息子は
08:36少年時代から好奇心旺盛だった
08:40農業高校を出て実家で働き始め
08:4432歳で農園を引き継ぐ
08:48万全と親の後を歩むより
08:52自身の道を模索した
08:54このままでは自分の農業ではないなとは思ってて
09:01父親の農業を引き継いでる感じ
09:06だったんですけど
09:09自分の色を出したいというか
09:12じゃないとのめり込めないというか
09:15その背中を押してくれた人がいる
09:19去年の震災で店を失ったフレンチのシェフ11年前彼が上田の野菜に目を見張ったことが農園の人気に火をつけた
09:43本当に定番野菜しか作ってなくて
09:45その時僕が作ってる中で一番おしゃれなバターナッツかぼちゃっていうのを持って行ったんですよ
09:51そうだったな
09:53上田さんは技術もあるし
09:55他の人がやってない野菜にチャレンジして欲しかったし
09:59だから今それがね
10:02度が過ぎていろんなものを作りすぎてますけど
10:05エンジンにスイッチ入ったね
10:07そうですね
10:08小雪が舞い始めたこの1月
10:15上田はトマトの種まきに向かった
10:20周辺の農家より2月も早く
10:26今回は15種類を育てる予定
10:30ハウスの外は氷点下だが
10:40苗床には電熱線を埋めてある
10:45緑色の状態で長く木にぶら下げておきたいので
10:49できるだけ早く植える
10:51その糖を蓄積する時間を稼ぎたい
10:57今年初めて育てる品種夏のコマ
11:02種をくれたのは
11:04上田のトマトに魅了された七尾のシェフ
11:08平田さんだ
11:09平田さん喜んでくれるといいですけどね
11:14本当初めてなんですよ
11:17どうなるのか
11:19温かな環境の下で1週間
11:26元気に目を出してくれた
11:34やがて
11:43源頭の2月
11:45大雪を伴う大寒波が襲来する
11:51上田から弱気の一方が入った
11:57何やら予想が狂ってしまったらしい
12:12めちゃくちゃ失敗してるんですよね
12:16トマトは刺激で強くする
12:23ところが雪による日照不足で多くが枯れていた
12:28こんなことないんで
12:33マジでヤバいですね
12:46相手にしているのは自然
12:50これまでに味わった試練は数え切れない
12:55すかしてもすかしても
12:59本当にどかゆきで
13:01毎晩毎晩毎晩降るみたいな
13:03もうハウスがほとんど埋まってる状態なんですよ
13:06もう一晩降ったらもう全部潰れる
13:09っていうところまで行って
13:12で話し合いました
13:14これもしハウス全部潰れたとしたら
13:16仕事を変えようかって言って
13:19折れかけたね
13:20折れかけたっていうか
13:22折るしかなかったみたいな
13:24それがね潰れたとしてたら
13:26そんなこともあった
13:28あれは全部潰れると思ったね
13:30うん
13:32その度に歯を食いしばって乗り越えてきた
13:36あの日も両親の住まいと
13:42農園の作業所が半壊している
13:46あの日も両親の住まいと農園の作業所が半壊している
13:54あの日も両親の住まいと農園の作業所が半壊している
14:08あった時さえ
14:24あの日も両親の住まいと農園の作業所が半壊している
14:26あの日も両親の住まいと農園の作業所が半壊している
14:30そして秋には集中豪雨
14:38濁流が流れ込んだハウスは壊滅的な打撃を受けた
14:44だが泣き言など言ってはいられない
14:58失敗に終わった継ぎ木を一家総出でもう一度
15:02半世紀の間、守り続けてきたやり方だった
15:20こうしながらの、まだこんなことやってるのかって感じ
15:24最先端の真逆
15:26なんでやろうね
15:28これが継ぎ木の継ぎ方としては確実
15:34受け継ぐべきは受け継ぎ
15:36変えるべきは変えてきた
15:43植え付けの間隔を広くしたのは息子の工夫
15:51父吉政さんもあえて意義は唱えない
15:56荒く植えるとやっぱり日照が十分当たるもんで
16:02余計おいしくなる
16:04でも収量は少なくなるだろう
16:07それで打ち返って、打ち返って
16:11ああじゃねえな、子じゃねえな
16:14部屋の中で私に言ってるわ
16:16本人の前にはもう一切言わない
16:20言わない
16:22あとはもう息子がやっていかれるように協力するだけ
16:26本当に息子の判断だもんね
16:28そうそう
16:29トマトは家族の作品なのだ
16:434月
16:56雨の朝
16:58ハウスではまたむや異変が起きていた
17:04わあ、吸い上げがすごい
17:11葉という葉の縁に水滴がついている
17:15これ根っこから水を吸い上げて葉っぱを広げていくんですけど
17:20そのときに余った水分を葉の縁から出してるんですよ
17:23この鉢の下に水があったんですかね
17:28あっ、ありますね
17:31もう10センチくらい掘っただけでこう湿ってくるんで
17:36どうやらこれも集中豪雨の置き見上げ
17:43土壌はまだ乾ききっていなかった
17:47太陽の位置を見極め、再びハウスへ
17:58日差しを取り込んで過剰な水気を落とさなければならない
18:05高温用のシートを半分だけ開けて光を入れる
18:25日差しの変化に合わせ、1日に何度となくハウスを巡った
18:29だが、必要以上に乾燥させれば枯れてしまう
18:37塩梅は手探りだった
18:41ああ、どうするかな
18:45どうするかな
18:59まあ、我慢ですね
19:01これぐらいはもう全然ですね
19:105月
19:15果実は緑に膨らんで、収穫の時が迫っていた
19:26でも、初めて挑んだあの夏のコマ
19:30ああ、なかなか厳しそうですね
19:33シリムサレですね
19:35これも出てる
19:36水を抑えすぎた結果、一部の果実が栄養不足に陥ってしまった
19:45シオレ具合とか、木の細さとか見ながら管理していくんですけど
19:56表に出ない、でも実はかなり我慢してた感じですね
20:00そこはちょっと見抜けなかったというか
20:04うーん
20:06まあ、でもその我慢の限界を知るっていうのもめちゃくちゃ大事ですよね
20:11一回こうなる、限界の線を見つけたっていうのは大事な収穫ですね
20:23失敗は大きな糧
20:28上田に種を託したシェフが、そろそろ味見に来る頃だ
20:34新月の夕暮れ
20:35新月の夕暮れ
20:45こんにちはー、こんにちはー
20:51あったー!
20:54収穫が始まった
20:57できたー!
20:59なんか落ちてきた
21:00なんかちょっと黄色いかも
21:03あ、でもちょっと塩勢いに乗ってきたんじゃない?
21:07お、プロみたい
21:10あははは
21:12こちらは皆、糖度の高さで知られるアイコ
21:18ナナオでオーベルジュを経営し、夏の駒に期待を寄せていたシェフ、平田明珠さんがやってきた
21:33無事に育ってくれたのは全体の7割ほど
21:43全体の7割ほど
21:46あれぐらいが赤いかな
21:48あれぐらいかなー
21:50これぐらいかな、一番赤いの
21:53ちょっと、いつか食べる?
21:56ちょっと、自分食べてないの、まだ
22:01確かにー
22:03これはめっちゃうまいと思うんですけど
22:07これはめっちゃうまいと思うんですけど
22:10あはははっすね
22:12田園風景がこう、広がる感じ
22:16あはははっすね
22:18田舎で、おばあちゃんの作ったトマト食べてる感
22:23なんか、ずっと食べてられませんね、これ
22:26あはははっすね
22:28よっしゃ
22:30よかった
22:32これ、あー、確かに
22:35平田さんから、また新たなお題が出た
22:39え?
22:41何ですか?
22:42お土産
22:43お土産
22:45今度の種は、世界一トマトだ
22:51次挑戦します
22:52来年
22:53世界一トマト
22:56世界一トマトで、世界一とります
23:00もちろん、夏の駒は農園の定番に仲間入り
23:06やっぱ僕は、この土で作る良さとか
23:10野菜らしさ、野菜の風味が出るんですよ、やっぱり土で作ると
23:15僕は自分のトマトが一番好き
23:18まあ、でもこれしかできない
23:20これしかできない
23:22これからも、ずっとこれですね
23:24間違いなく
23:26間違いなく、これでいきますね
23:28これでいきますね
23:37銀賞、上田志穂さん
23:39はい
23:41おめでとうございます
23:42下の娘、小学4年生の志穂さんが描いた絵も、地域のコンクールで銀賞に輝いた
23:54何でお父さんのトマト炊いたい?
24:02お父さんのトマトが美味しいから
24:05美味しいんだ
24:06大名見てください
24:10上田農園のトマト
24:13どっからとどめても、上田農園のトマトですね、これは
24:19トマトには恐ろしく手がかかるけれど
24:23上田拓郎の娘2人は、親の背中を見ながら伸びやかに育っている
24:29次回の情熱大陸は月面探査に挑む民間チーム
24:41あと一歩、月に迫った3年間
24:45モチベーション、宇宙船がかっこいっていうだけや
24:49ご視聴ありがとうございました