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  • 一昨日

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教育
トランスクリプション
00:00100年以上不死の病とされてきたアルツハイマー型認知症
00:06その治療薬がおととし、世界で初めて承認されました
00:10若年性アルツハイマー病と診断され
00:13新薬の治療を続ける女性を取材しました
00:16投与から1年がたち、症状に変化はあったのでしょうか?
00:21大阪市で一人暮らしをする関田美佳さん、60歳
00:30若年性アルツハイマー型認知症を患っている
00:35なじみの店に弁当を買いに行こうとするわ
00:42あ、ごめんなさい、ちょっと待って
00:50ちょっと待って
00:58どう、どう言ってたかな
01:02忘れた
01:04通い慣れた道のはずだが突発的に記憶が飛んでしまう
01:14ありがとう
01:16またね
01:18住み慣れた家でも日常生活に支障を来すことがある
01:27お茶を飲みたくなった
01:32昨日のかな
01:36ええ、分からない
01:38じゃあどうしよう
01:41お茶、お茶ですか?
01:41うん
01:42それ、ごま油ですか?
01:43あ、ごま油!
01:46やばい!めちゃめちゃやばい!
01:50あ、早い早い早い
01:53ミカさんの目には茶色いごま油のボトルがお茶にしか見えなかった
02:02文字や空間を認識しにくい視覚障害も
02:06アルツハイマー型認知症の症状の一つだ
02:11目が
02:12異変が起きたのは2019年頃
02:20家族や友人から
02:23今言ったことをすぐ忘れていると指摘されることが増えた
02:29病名を告げられた時56歳だった
02:34もう愕然呆然
02:39ですね
02:40何もちょっと考えられない
02:43は?
02:45は?え?
02:47私がですか?みたいな
02:51ですね
02:52うん、本当ににわかに信じられないかったです、しばらく。
03:02ブローマイドやったかな?
03:06潜在写真やったかな?
03:11ミカさんはかつて女優として活躍していた
03:17テレビドラマにもたびたび出演してきた
03:23何だよ電話くれれば
03:25したわよ
03:26実家に連絡くらい出しなさいよ
03:28姉さん本気で心配してんのよ
03:30はいはい
03:32幼女から老婆まで演技の幅の広さに定評がある女優だった
03:38やっぱり芝居は楽しいですよね
03:41いいなあ、やりたいなあって本当に思いますね、今でもね、覚えられるものなら。
03:50仕事も辞めた。周りから施設への入所を勧められる時もある。でもミカさんは人の手を借りることを固くなにこぼった。
04:19自宅に散らばる無数のメモ書きからは、なんとか一人で生きようとする彼女の努力が垣間見える。
04:3420キロ離れた奈良県の実家には89歳になる母親が暮らしている。関田幸子さん。
04:45娘の発病にショックを受けたが、一縷の望みをかけたのが新薬のレカネマブだった。
04:54いい薬ができたんだなあって、うれしかったですよ。
04:59レカネマブ開発しようとかね、こういうの書いてあったら全部読みましたけどね。
05:0550代っていうのはね、ちょっとね、あまりにもひどすぎるので、早すぎるので、本人もまだまだやりたいことがあるだろうと思って。
05:23おととし、世界で初めて承認されたアルツハイマー型認知症の治療薬、レカネマブ。
05:32日本とアメリカの製薬会社の共同開発で、レケンビという商品名で販売されている。
05:42日本では、これまで8000人余りの患者に投与されてきた。
05:49アルツハイマー病は、脳の中にアミロイドβと呼ばれるタンパク質が蓄積することで、神経細胞が破壊され、脳機能が低下する病気だ。
06:04レカネマブは、このアミロイドβを除去する。一度壊れた神経細胞を再生させることはできないが、アミロイドβの蓄積で弱った神経細胞へのダメージを一時的に食い止め、認知症の進行を遅らせることができるという。
06:27完全に止めることができなくても大きくゆっくりすることができてより早期に気付いてそういう治療をすることで自分らしく生きる期間を伸ばすことができるというのがやっぱり大きな意味なのかなというふうには思います。
06:46ミカさんは母幸子さんの提案でレカネマブの投与を受けることになった。
06:55はい東洋を始めたのは去年1月今までどおりの生活を送りたいと願うミカさんにとってレカネマブの存在が唯一の希望認知症の進行を遅らせたい一心なのだ。
07:25お薬と先生に頼って祈るだけ。
07:332週に1回通院しミカさんの場合治療にかかる負担は年間およそ70万円。
07:43決して安くはないが今の状態がたとえ数十日でも保てるならと治療費は母と兄が負担している。
07:55レカネマブはアルツハイマー病治療に光明をもたらした。
08:03去年開かれた認知症学会でも大きな注目を集めた。
08:09私たちアルツハイマー病を診察している者にとっては、非常に画期的な治療がようやく始まって、1年ということで。
08:21一方で薬の課題を問う声もある。
08:29認知症の患者は推定1000万人以上。
08:35このうちレカネマブを処方できるのは軽度認知障害または初期の認知症の患者に限定され、その数はおよそ540万人。
08:48副作用で脳出血が起きる恐れがあるため、患者は治療前にMRI検査などを受けなければならない。
08:58脳に5個以上または1センチを超える出血が見つかった場合、対象から外される。
09:07レカネマブが投与されたのは、対象患者のうちわずか0.1%と極めて少ないのだ。
09:18世界初のアルツハイマー型認知症の治療薬、レカネマブ。
09:28この日、大阪市内で行われたのは、認知症を診察する医師などを集めたセミナー。
09:37新薬がもたらす効果についての説明が続く中で、ひときわ異彩を放つ抗議があった。
09:47この薬が使えなかったら、それでもうだめかというと、実はそうではないということを、この講義では特に強調しておきたい。
09:57それ以上に実は心理面のサポートをすることで、状態の安定、維持が図れるとしたら、それには価値があると。
10:37アルツハイマー型認知症の60代の男性。
10:43一緒に通っている。
10:45薬代が高いなどの理由で、レカネマブによる治療は受けない選択をした。
10:53今は松本医師の勧めで、脳内の新陳代謝を活発にして、症状を緩和する針薬などを使っている。
11:03従来の対象療法だ。
11:07進行はかなり物忘れはひどいんですけど、私はもう何より穏やかになったことと、それだけじゃなくて、やっぱり前向きになってきました。
11:19なる。もう完全にお薬をかいていただいて、その時点から変わりました。
11:27それと夫婦愛ですよ。
11:29夫婦間の精神的な力道ってあるんです、心の在り方。
11:37それが安定することのほうが、僕は張っただけの効果よりはむしろ、そこが動いたんじゃないかなというふうに、そんなふうに思います。
11:45あなたは適用外だからもう諦めなさいというような社会的な風潮にはしたくなかった。
11:52だから医者の側の説明もあの薬が使えないならもう自由にしたらいいですって、例えば一部の医療機関の中ではそういう意見を聞くみたいなことが耳に入ってくるんですが、そうではないですよね。
12:06今までのやり方をしたとしてもちゃんとこの認知症という病気はサポート支えていくことができる病気だというふうに僕は考えていますから。
12:18若年性認知症でレカネマブによる治療を続けている関田美香さん。
12:27去年夏ごろからヘルパーの支援を受けるようになった坂本智子さんだ。
12:34一人暮らしを心配した母の依頼だった。
12:38坂本さんは美香さんの目となって買い物にも同行している。
12:45坂本さんは週に3回1日2時間半身の回りのサポートをする。
13:04散らかっていても気にならない美香さんに声をかけ早速整理整頓を始めた。
13:11同世代の2人気は合うようだ。
13:1820年以上自立した生活を送ってきた自負もありヘルパーに頼ることをしぶっていた美香さんだったが快適な部屋で一人暮らしを続けようという坂本さんの提案を受け入れた。
13:43ところが真冬にさしかかろうかというある日美香さんの様子がいつもと違っていた。
14:27悪いけどそういうことしか考えられなくなりますねここまで来ると。
14:39何か誰か入ってきてるかな。
14:54何かそういう感じがするんですけどえぇ。
15:01美香さん靴ありますよえぇどこそのベッドの下じゃないですかベッドの下えぇこれあえぇマジで?
15:24あっこれですねえぇぇえぇそこまで壊れてる?
15:42靴以外にも物を盗まれたという疑いはヘルパーの坂本さんに度々向けられた
15:54えっ私疑ってるみたいな今まで築き上げてきたこの信頼関係は何なのみたいなはありますけどあっこの方たちにはこれは通じないとそれを責めてもしょうがないことだし何かもうそこはうまくこう違うよって分かってもらうことも難しいことやから流していかないとね
16:23じゃああの薬は何か売っててることに関してはどんなふうに思うもちろん自分で生活してる時間が長く取れるっていうのもあるけれどもその裏には苦しむ時間も長いやろなって思ってしまうところがありますね
16:44自分で自分がちょっとずつ壊れていくのを自分で確認できる時間があるじゃないですかそれは美香ちゃんにとってはつらいことやろうなって
16:53物が盗まれたなくなったという思い込みは認知症患者に出る症状の一つ特に身近な人を疑うという物取られ妄想というものになるんですけれども物をよくなくしてしまうんですよね
17:20そうするとどんどん物がなくなってくるというそういう奇妙な現象が起こるとやっぱり理由がないとやっぱ不安になっちゃいますよねそうするとやっぱ誰かが取ったというふうに考えてしまうのはもうしかたがないことなんです
17:39レカネマブは病気の進行を完全に食い止めることはできない少しずつ自分の体に起きる異変に不安を感じながら2週に1回の投与を続けてきた自立した生活を続けたいという美香さんの願いを家族は受け入れてきた心配ですよもう毎日心配ですよ。
18:09自由に楽しく一人で行きたいっていうのはそこまで美香さんがそれにこだわるのは何でやってお母さんは思われますか?
18:16いや分からないですね全然分からないけど一人がいいっていうのは分かります私だってそうですもんやっぱり一人で今いますからねうん一人で一人っていうのは楽なんだなっていうのは分かるんでね
18:36今年1月レカネマブの投与から1年がたち認知症の進行を調べる検査が行われた。
19:23記憶についての質問の後は視覚や空間認識を調べる。
19:30記憶に書かれた図形をそのまま書き写していく。
19:37厳しいんだなぁ。
19:39いつもどうしてもこれはいつも厳しいなぁ。
19:51検査の結果次第ではレカネマブの投与は中止になるかもしれない。検査から4日後結果を聞きに母幸子さんと病院に向かった。
20:08物忘れの検査もねやらせて頂いたんですけどもそんなに変わってはないですただ関田さんのいわゆる視覚の問題ですかね視覚の検査に関してはやっぱりちょっと記憶のメインでも少し悪い面があるんでそういったところのテストの結果は少し悪かったみたいですけど全体としては主に変化はないかなというふうに思います。
20:37それはやはり薬がもし点滴してなかったらもちろんです確実に進んでくると思いますし関田さんの年齢ぐらいの比較的若い患者さんっていうのは進行が早いといわれてますのでそういったことを考えると進行してないということ自体は非常にいいことだと思ってます。
21:31あと1年で90歳ですけどこの子を支えて生けたらいいなっていう感じはあります。
21:43レカネマブの投与期間は原則1年半美香さんは視覚の認識に問題はあったが副作用もなく今月末までの投与が決まった
22:01レカネマブは治す薬ではなく進行を遅らせる薬で意味がないという人もいる。しかしわずかな期間でもその人らしく生活したいと願う患者や家族には希望だ。
22:29VTRの中で関田さんがご自身のことをそこまで壊れているのとおっしゃった場面があったと思うんですけれども非常に胸が締め付けられまして関田さんはご自分の今の状況をどう受け止めていらっしゃるんでしょうか。
22:51関田さんは冷静に病気のことは受け止めておられます。自分のことを一番信用できない。それゆえに他人のことも100%信じることができない。そこが一番つらいとおっしゃっていました。
23:03今後の治療はどうなるんでしょうか。
23:05アメリカではすでに1年半以降も継続して薬を投与することが認められています。日本でも厚生労働省は1年半以降継続するかどうかを病院側が判断してよいという指針を出していますので必要性が確認されれば薬の継続投与はできるということになります。
23:25過度の期待はできないとはいえこういう薬ができたこと自体は大きな希望だと思うんですよね。今後のこの治療の研究を期待されることというのはどういうことですか。
23:35去年はレカネマブに続いて同じく認知症の進行を遅らせる薬が登場するなど研究は日々進んでいます。一方でどの薬も全ての認知症患者が対象になるわけではありません。比較的早期の患者に効果が期待されていますので投与を希望する患者さんや家族は早い段階で医療機関に相談をすることが大事なポイントだと思います。
23:59またレカネマブのように認知症の進行を遅らせるだけではなくて進行を完全に食い止めるであったりとか症状を改善するそうした効果のある薬が時間はかかると思いますが期待して待ちたいと思います。

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