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ショートトランスクリプション
00:00人の命をも左右する
00:05重い裁きを下す裁判所
00:09この場所には
00:12一つの原則がある
00:16疑わしきは
00:19被告人の利益に
00:21被告人が罪を犯したかどうか
00:27その証明に疑問の予定が
00:29ある場合裁判官は
00:32無罪を言い渡さなければならない
00:35奥西勝死刑囚
00:5480歳
00:55地方に翻弄され
01:03人生の半分近くを
01:05一人独房で過ごしてきた
01:08シワがね
01:18あんまりないんだよね
01:20太ってた人が痩せると
01:23シワが増えるんでしょうけど
01:25ずっと
01:28若い時にまんま
01:29痩せたみたいな感じで
01:32中年太りってなかったんじゃないかな
01:35っていう
01:36死刑執行に怯え続けた
01:45極中生活
01:46今年で
01:4837年目を迎えた
01:51私は本当にやっておりません
01:59無実です
02:03助けてください
02:05兄を信じ
02:13ひたすら帰りを待つ妹
02:16彼の罪を疑わない
02:24ふるさと
02:26独房から訴え続ける
02:32無実の叫び
02:34見えてなばりし
03:01鶴尾地区
03:02わずか17世帯
03:05山合いの静かな集落で
03:08その事件は起きた
03:09今から45年前
03:17村の公民館で開かれた会合
03:20その乾杯の直後
03:23女性たちが次々と苦しみ出した
03:26うめき声を上げた後
03:29息を引き取る女性たち
03:335人が死亡
03:3612人が重軽傷となった
03:40女性だけに振る舞われた
03:45葡萄酒
03:46その中に
03:49農薬が混入されていたのだ
03:51一体誰が
03:53何のために
03:56小さな村で起きた
03:58不可解な事件
03:59狂気の農薬は見つからず
04:03物証も乏しかった
04:04警察は
04:06武道酒の購入
04:07運搬に関わった3人を取り調べ
04:106日後
04:11ある男の犯行と断定する
04:15奥西勝
04:1835歳
04:19この事件で
04:22妻と愛人が死んでいた
04:25連日に渡る
04:31取り調べの末
04:32奥西は
04:33犯行を自白する
04:35私は
04:40毒武道酒事件の犯人です
04:42日頃から
04:44機械を見て
04:45妻を殺そうとしていたのであります
04:48しかし
04:54川に捨てたという農薬の瓶など
04:57自白を裏付ける物証は
04:59何一つ見つからなかった
05:01逮捕後
05:04一貫して容疑を否認する奥西
05:06一審は
05:09有罪とする証拠がないとして
05:11無罪判決を下した
05:13しかし
05:15二審では
05:15一審とほぼ同じ証拠を
05:18元に
05:19全く逆の判断
05:21死刑を言い渡した
05:24戦後初めてとなる
05:26無罪からの逆転死刑判決で
05:29奥西は
05:31死刑囚となった
05:39事件の舞台となった公民館は
05:42二十年前
05:44村人たちの手で解体された
05:48一刻も早く忘れたい
05:55村にとって
05:57事件は過去のものにされた
06:00しかし獄中の奥西は
06:08一人
06:09無実を訴え続けている
06:11奥西からの手紙
06:16死刑判決以来は
06:20地獄の連日で
06:22処刑や獄死を
06:24二桁余りも見送りました
06:26死刑囚は
06:28死刑囚は無実を訴えていても
06:31処刑されると聞いているので
06:33午前中は
06:36恐怖と苦悩の時間で
06:38大変厳しいのです
06:40野島雅人弁護士
06:5114年前
06:52志願して
06:54奥西の弁護団に入った
06:56死刑の恐怖に怯える
07:0280歳の依頼人を
07:04手弁当で支え続けている
07:06落ち着いた
07:15柔らかな
07:17優しい笑顔を
07:18是非見たい
07:20もちろん僕の思いで
07:20笑顔を見せてくれるけれども
07:22その笑顔はやっぱり
07:24本当にその
07:25心から出しられた笑顔じゃないもんね
07:27緊張と
07:29ストレスの中で
07:31出ている笑顔ですね
07:32本物の笑顔が
07:3430年前に作られた
07:40奥西の弁護団
07:41今では
07:43若手からベテランまで
07:4520人を超える
07:46死刑を覆し
07:49裁判をやり直すには
07:51とにかく新たな証拠が必要だ
07:53しかし
07:55これまで6回にわたった
07:57最新請求は
07:58いずれも
08:00棄却
08:00一度確定した死刑判決は
08:04なかなか
08:05覆らなかった
08:07最新事件では
08:09やはり凶器というものは
08:11非常に重要になっていて
08:12凶器が違うとかね
08:14そういったことをやっぱり
08:15明らかにしないと
08:17最新の壁というのは
08:18非常に厚いですから
08:19打ち砕くことはできない
08:21というような
08:22思いがありましたね
08:24この
08:24なばれ事件で
08:25凶器は何かというと
08:27これは
08:27農薬だと
08:29奥西は
08:32ぶどう酒に農薬
08:34日華凛ティーを入れたと
08:36自白
08:37裁判で
08:39これが認定された
08:40この凶器を崩せないのか
08:45弁護団は
08:46これまでにも農薬をめぐる証拠を提出していたが
08:50実らなかった
08:52不当決定です
08:5513年前
08:58訴えが退けられたことを伝えた
09:01新人弁護士
09:02それが
09:03野島だった
09:05普通だったら弁護士は
09:08それについてコメントを言いますよね
09:10これはおかしい
09:10こういうとこがおかしいとかって
09:11言いたかったんですけど
09:13言うべき言葉がない
09:14決定の中身を全く読んでないからね
09:16本当にその
09:17辛さっていうかね
09:19不当決定だ
09:20じゃあどこが不当かって言われて
09:22見てないから答えようがないし
09:24誰からの質問にも答えようがない
09:26ただ私はみんなに見えるように
09:27それを持って待ってなきゃいけない
09:28これほどね
09:29辛かったことはない
09:30裁判所の前に
09:37立ちすくむしかない弁護人でいいのか
09:40野島は決意を固めた
09:44狂気を崩す
09:48その一心で
09:52過去の裁判記録を読み漁った
09:54そして
09:56ある疑問を見つけた
09:58三重県の衛生研究所ってところであったときの
10:06このスポット
10:08ペーパークロマトグラフのスポット
10:09ってことがありますね
10:10事件直後
10:12三重県の衛生研究所が
10:15飲み残りのぶどう酒と
10:17当時出回っていた
10:18ニッカリンティーを分析
10:20成分が一致すると結論づけていた
10:23しかし
10:24一番左側のやつが
10:27飲み残りの
10:28ぶどう酒のスポットですね
10:31この二つ目のやつが
10:34ニッカリンティー
10:35日本科学のニッカリンティーのスポットで
10:37これを見ると
10:38ニッカリンティーは
10:391番目と2番目と3番目
10:413つスポットが出ているんですけども
10:43こっちのやつは
10:441番目と3番目で
10:452番目のスポットがですね
10:47ないと
10:48いうことになっているんですね
10:49ニッカリンティーが入れられていたなら
10:542つの分析結果は一致するはずだが
10:57点の数が違う
10:59しかし
11:00それまでは
11:01誰も気に留めることはなかった
11:03この事件いろんなおかしなところいっぱいあるんで
11:07そのうちの一つっていうかね
11:09ダメでもともとだけど
11:10やってみようかっていうか
11:11まさに暗中模索の中の
11:13一つっていうぐらいの感じでしたよね
11:15ここから
11:21何かわからないのか
11:24何とかしたい
11:27縋ったのは
11:33ニッカリンティーの開発に携わった
11:36技術者
11:37今村健之介
11:39ちょうど9年でしたから
11:50あの今先生とお話ししたのが
11:52ニッカリンティーのすべてを知る今村に
11:59野島はある疑問をぶつけた
12:02ニッカリンティーからは
12:10検出されているこの成分
12:12事件当時の研究者は
12:14時間が経って分解された
12:17と説明していたが
12:18そんなことがあり得るのか
12:21本当に
12:23ニッカリンティーなのか
12:25農薬の成分を知り尽くした今村
12:32答えは早かった
12:33野島先生の事務所へ
12:38ですね
12:39何かニッカリンティーではないのでないか
12:42とかっていう風に書いてありますね
12:44その時に私も初めて
12:48もしかしたらこの毒物問題っていうのは
12:50実るかもしれない
12:51物になるかもしれないっていうのが
12:53見えてきたと言いますかね
12:54そういう気持ちがありましたね
12:56本当にだから今までこの迷路の中はですね
12:58出口が分からないで歩き回っていて
13:01初めてその明るい光がですね
13:03金沢の方から差し込んできて
13:05もしかしたらこの赤い光に向かってね
13:07進んでいけば最後は出口にたどり着けるんじゃないか
13:10っていうことに気がついた
13:12道筋は見えたが形にするには
13:17実物を使った実験が必要だった
13:20しかしニッカリンティーの製造は
13:24すでに30年前に中止されていた
13:27どこを探しても見つからない
13:32いたずらに時間ばかりが過ぎていった
13:38私も80歳という年齢ということで
13:49もう後がない状態です
13:54奥西はいつ執行されるか分からない
14:05死刑の恐怖に怯え続けていた
14:09奥西に迫る死の恐怖を
14:22経験してきた男がいる
14:2529年という長きにわたり
14:31死刑囚として生きてきた
14:33雪深い田舎町で
14:49一人ひっそりと暮らす元死刑囚
14:54一家4人を殺害したとして
15:01死刑囚となった彼は
15:03逮捕から29年後
15:05裁判のやり直しで
15:07無罪を勝ち取った
15:09これこれこれ
15:11これ47歳
15:1747歳だった
15:20いやー俺何もやってねえんだ
15:26俺何もやってねえと
15:27うんもちろんやってねえからね
15:31ところが連携したら
15:34こういうことは全然しっかりいんだよな
15:37この人間を
15:41犯人に仕立てあげようと思ってやってくんだよな
15:46昭和30年
15:51宮城県松山町で
15:54一家4人が残殺された
15:5824歳だった斎藤幸男が逮捕され
16:01死刑判決を受けた
16:04決め手となったのは斎藤の布団
16:08被害者の血の跡が無数についていたという官邸が
16:12検察から出され
16:15斎藤の犯行だと裏付けられていた
16:24しかし
16:25この鑑定を疑問視する
16:27ある新しい証拠が見つかり
16:30裁判のやり直しが認められた
16:33その証拠は
16:38検察が事件から20年以上経ってようやく出した
16:42捜査段階の書類の中にあった
16:45死刑判決の時には
16:47出されていなかったその書類の中に
16:50布団に血痕はなかったという
16:53鑑定書が隠されていたのだ
16:56息子の無実を信じ
17:1429年も待ち続けた
17:17母との再会
17:19みなさん
17:20大体育養さんが
17:21私たちの御所に戻ってきました
17:31元検察幹部
17:32小島信勝
17:34検事長として
17:36斎藤のやり直しの裁判に関わった
17:42冤罪を証明する捜査段階の証拠は
17:45それだけではなかったと証言する
17:47狂気がね
17:50東北大学の翻訳の狂気が
17:54犯行直後に現場で
17:56死体4体当たって現場で検視してますからね
17:59それで狂気は3種類や言うとるんですわ
18:03基礎上1種類じゃないですか
18:06もうこれだけで無罪ですよ
18:08それが出ればね
18:10何のことはね
18:12後見の検事室の棚の中から出てきましたね
18:15物の見事3種類あるんですよ
18:18僕の基礎上1本ですよ
18:20もうこんな基礎があり得るの
18:24検事室の棚から見つかったメモ
18:28裁判には出されなかったが
18:30それは死刑判決を根底から覆すものだった
18:34逮捕当初から斎藤は
18:38一家4人を1本の斧で殺害したとされてきた
18:42しかし検視を行った医師の見解では
18:46狂気は3種類
18:49そこに食い違いがあることを検察は知っていたはずだ
18:53なぜその事実を初めから裁判に出さなかったのか
19:02全部出さなくてもいいとなっているわけです
19:04極端に言えば
19:05一番いい証拠を出しなさいと
19:08これは最良証拠主義というんです
19:10それは真理を迅速にするし
19:12一番的確ないい証拠を出しなさいと
19:16持ってる証拠を全部出しなさいという規定がないんですよ
19:20これが言うならば非常に問題点なんです
19:26日本の刑事裁判では
19:28有罪を証明するのに都合が良いと
19:31検察が判断した証拠しか法廷には出てこない
19:35つまり無罪を示す証拠は法廷に出されないのだ
19:41裁判官は検察官の証拠をもとに
19:44有罪か無罪かを決める
19:50事件から30年近く明らかにされなかった
19:55冤罪を示す数々の証拠
19:59ありがとうございました
20:00ありがとうございます
20:08初めから全ての証拠が出されていれば
20:11斎藤はもっと早くに無罪になっていたのではないのか
20:18死刑判決を覆すことに力を注ぐ奥西の弁護団
20:35なばり事件でも検察が重要な証拠を隠していると主張する
20:42無実を示す証拠あるいは確定判決の不合理
20:50あるいは確定判決の誤りを示す証拠が
20:54まだ多数検察官が握っている
20:59これが開示されないままで
21:03死刑判決を維持しようとしている
21:05検察官の態度は極めて不当である
21:08裁判をやり直すにはとにかく新しい証拠が必要だった
21:18これは弁護団が裁判所に提出したビデオ
21:28犯行当時のぶどう酒の瓶の開け方を弁護団が自ら再現したものだ
21:36農薬を入れて元に戻しておくことが
21:39奥西以外でも可能だったことを証明しようとしていた
21:52当時の製品を自費で再現
21:55ひたすら実験を重ねた
22:01事件当日の奥西の動きを追い
22:04村人の目撃証言の矛盾を立証しようと
22:08何度も村に足を運んだ
22:11すべては
22:122審の死刑判決を覆すため
22:18奥西さんが犯人だとするには不合理な証拠を
22:22ああ考えれば不合理じゃない
22:24こう考えれば不合理じゃないと言って
22:26全部奥西さんに不利なように
22:29被告人に不利なように判断して
22:34結果そういう証拠の不合理性をね
22:38無視してしまったと
22:41弁護団が突き崩そうとしてきた
22:442審の判決
22:46どんな証拠に基づいて死刑としたのか
22:54奥西は無実を訴えていたが
22:57警察は逮捕当初の自白が信用できると
23:01対立していた
23:03自白の中で
23:05ぶどう酒を歯で開けて
23:07農薬を入れたとしていた奥西
23:10その唯一の仏証として出されていたのが
23:18武道酒の蓋
23:20王冠だった
23:22この王冠についていた傷が
23:24奥西の歯でつけられたものかどうか
23:28当時
23:30法廷に出された専門家の鑑定は
23:326通
23:343対3
23:35結論は大きく分かれていた
23:38さらに
23:40村人の証言の変遷も問題になっていた
23:44農薬の混入に関する重要な時刻について
23:47ある者は
23:48奥西以外にも犯行が可能な
23:513時としていた証言を
23:53奥西にしか犯行ができないとされる
23:564時過ぎに変更
23:59別の村人も同じような変更をしていた
24:02いずれも
24:04ある日を境に
24:05奥西にしか
24:07犯行の機会がなかったかのように
24:10不自然に変更されていたのだ
24:14裁判官は
24:22割れた鑑定を黒
24:25村人の供述も
24:27記憶違いによる変更
24:29と判断した
24:30こうして名古屋高裁は
24:32奥西の逮捕当初の自白は
24:35裏付けられるとして
24:37一審の無罪判決を覆し
24:40死刑を言い渡した
24:42戦後初めてとなる
24:45無罪からの逆転死刑判決
24:48その拠り所となった
24:50自白
24:52その後奥西に
24:56長く
24:58重くのしかかる
25:00逮捕当初の自白
25:02私が
25:12やっていないと言い続けると
25:15頭や肩を
25:18両手で押したり
25:19こづいたり
25:20無知で机や障子を叩いて
25:24強要しての
25:26調べ方でした
25:28裁判官は自白について
25:38一体どんな印象を持つのか
25:40判断に与える影響の大きさを
25:46元裁判官が指摘する
25:49を固めなければいけない
25:51と
25:52そこに落とし穴が
25:53あるわけですよ
25:54だから
25:55自分
25:56誰でも不利益なことを
25:58自分で認めるわけがないから
26:00自白している以上
26:01本人だろうと
26:02というふうに
26:03その
26:04思っちゃうんですよね
26:06日本の裁判史上
26:11死刑が確定してから
26:13最新で無罪となった人は
26:15斉藤幸を含めて
26:174人いる
26:184人とも
26:20逮捕当初警察に
26:22嘘の自白を強要されていたという
26:25日本の法律では
26:32自白だけを理由に
26:34有罪とすることは禁じられている
26:37密室で行われる取り調べで
26:40警察や検察に
26:42強制される危険性があるからだ
26:45その自白の信用性を
26:47裁判官は正確に判断できるのだろうか
26:52要するに捜査段階の自白に対する
26:58評価を間違った
27:00間違いやすいということが
27:02日本の刑事で言えばね
27:04今はあの
27:07宿話というかね
27:09昔からの問題であるということですよね
27:17都合の良い証拠しか
27:19法廷に出さない検察
27:21一度の自白でも
27:28それに囚われてしまう裁判所
27:33日本の司法は
27:35常に冤罪の危険性を
27:38はらんでいる
27:40狂気を崩せば裁判のやり直しが認められる
27:52野島の確信からすでに4年
27:57それを証明するには
27:59事件当時の農薬を使った実験が必要だったが
28:02肝心の農薬はなかなか見つからなかった
28:07昼間だから足で歩くというかそういう部分ですよね
28:18そうすると夜は?
28:20群馬県で農薬が見つかったといえば
28:22急遽そういう連絡が入ったら
28:24とにかく
28:25回収しなきゃいけないから
28:27日程調整してでもいかないといけないといったりとかね
28:30そういうことがありました
28:37しかし農薬探しは劇的な展開を見る
28:42突破口を開いたのは
28:44ある若い弁護士のひらめきと
28:46新しい時代の波だった
28:51まあもともとは個人的な趣味なんですけども
28:53でもあの最近なんかは
28:57普通に仕事する上でもですね
29:00いろいろ情報を集めるのに便利なもんですから
29:04弁護団に入って間もなかった稲垣
29:085年前インターネットの掲示板に
29:11農薬の情報を求めた
29:18その書き込んだ段階では
29:20ただあの…
29:22わらおもすがる思い
29:26確信は全くなかった
29:31しかし反応は早かった
29:34使われなくなった古い農薬の回収を
29:37農協が行っていることが分かったのだ
29:41かつては考えられなかった方法で集まった
29:50有力な情報に
29:52弁護団は色めきたった
29:54野島をはじめとする弁護士たちは
29:57すぐに全国各地の農協を
30:00くまなく当たることにした
30:02そしてついに
30:04探していた農薬のありかを突き止めた
30:11やっぱりやったというかね
30:13本当にこれでうまくいくかもしれないということで
30:16だからその業者さんそうですね
30:19で見に行った時に
30:21それはもう感動しましたね
30:25探し求めていた農薬は
30:27福島県の処分業者の手元にあった
30:30未開封でほぼ新品の状態
30:33ついに手に出た狂気とされる
30:37ニッカリンT
30:44最新機器による分析が行われたが
30:46その結果は期待を大きく超えるものだった
30:50犯行に使われたのが
30:52ニッカリンTではなかったということだけではなく
30:55奥西の自白とは異なる
30:58別の農薬だった可能性まで裏付けられたのだ
31:02死刑判決を覆すために
31:09弁護団が長年かけてたどり着いた
31:12新証拠
31:14裁判所の判断は
31:17なばり独武道主事件について
31:31最新を開始する
31:34請求人に対する死刑の執行を
31:37停止する旨の決定を下しました
31:42奥西勝氏は
31:44死刑判決から36年
31:47悲願は
31:49叶った
31:51返し決定が出たということですね
31:54担当事務協力引き返されて
31:56やったっていうかね
31:57本当に万歳っていう気分ですよね
32:00うん
32:09また新たに生命力をいただいた気持ちですね
32:14大変嬉しいです
32:16本人は
32:18感気余って
32:19泣きちゃって
32:21状態でした
32:22はい
32:23処分のところを読み上げました
32:25こうやって見せたらちょっとあの
32:27目が強くないんで
32:29読めないから
32:30ということで
32:31こちらやりました
32:32裁判のやり直しと死刑執行の停止
32:42過去の例から
32:46最新になれば
32:48無罪になる可能性が高い
32:5440年近くにわたって
32:56死刑に怯え続けた奥西に
32:58安息が訪れた
33:00しかし喜びは束の間
33:07検察はすぐに異議を申し立てた
33:18裁判をやり直す決定が出た後も
33:21弁護団と支援者は現地での調査を続けている
33:26最新を確かなものにする
33:28新たな証拠を探し出すためだ
33:33まあ
33:34コミューカンで開かれる
33:36奥西が思い焦がれるふるさと
33:40しかし
33:42支援者が大勢で入ったことに対する
34:00村人の怒り
34:02決定が出たってことで相当大きく
34:11緊張とか
34:12村の方が高まってきました
34:145人の女性が亡くなった公民館の跡地は
34:28今
34:29老人たちの憩いの場となった
34:36あの日
34:37奥西と共に
34:39懇親会の席にいた
34:41老人たち
34:46葡萄酒を飲んだが
34:48命を取り留めた女性もいる
34:53こういう席へ連れてきたらええやん
34:56おたら一遍に白状させたるわ
34:59はいそうでございます
35:01私でございます
35:02一遍に言わせたるわ
35:03もう必ずあいつや
35:05間違いない
35:07一遍に
35:08一遍に
35:09一遍に
35:10一遍に
35:11一遍に
35:12一遍に
35:13一遍に
35:14一遍に
35:15一遍に
35:16一遍に
35:17奥西が犯人でないのなら
35:19一体誰が犯人なのか
35:21事件から45年
35:24この村では
35:26奥西を犯人とすることで
35:28村社会の秩序が
35:30保たれてきたのだ
35:32一遍に
35:38一遍の
35:39一遍に
35:40一遍を
35:41犯人とされ
35:42奥西の家族は
35:43村を割れた
35:44死刑囚の子
35:46とされた二人の子供は
35:48今も
35:49ふるさとを遠く離れ
35:51ひっそりと暮らしている
35:58子ども達への思い
36:00検証のため公民館に連行された時
36:07長女と長男が私に向かって大声で
36:12お父ちゃんお父ちゃんと何度も叫び続けておりました
36:19手錠をつけられた父の姿を
36:22二人は何と思っていたでしょうか
36:26二人はまだ幼くその幼い心では支えきれない重圧が降りかかっており
36:35本当にかわいそうでなりませんでした
36:47人里離れた山合の村で奥西の帰りをたった一人で待ち続けている女性がいる
36:55人目の少ないこの場所で45年間息を潜めて生きてきた
37:15奥西のたった一人の妹
37:18やってないからな死刑になったかってな
37:24また帰れる日があるやろ
37:26ちゅうてな
37:27向こうもそんなこと言うたように覚えてますわ
37:32それにな何十年ちょうど長い間になってしまうて
37:40事件後
37:48村を割れた母とともに
37:50兄の無実を信じ続けてきた
37:53その母は
37:55息子の無実を見届けることなく
37:58この世を去った
38:00奥西まさるお助けください
38:04どうぞ一日も早く
38:07元気に戻らせてください
38:10お願いいたします
38:12お助けください
38:14ちょっと
38:15ちょっと
38:33土地のせいばっかりじゃねえんだろうこれ
38:37水別を乗っていないや
38:4020年前、冤罪を晴らし死刑台から生還した斉藤幸雄
38:51普段ほとんど外出しないが、毎月1回必ず町役場を訪れる
39:05生活保護をもらうためだ
39:07収入は生活保護しかない
39:34極中、処刑を控えた死刑囚には年金に加入することさえ許されなかった
39:41死刑囚として生きた29年
39:5140人近い死刑執行を見送った
39:55今も拭いきれない死刑への恐怖
40:00扉はみんなパンパン、みんな閉めちゃう
40:04あの、見せないためだ
40:06ああ、パタン、パタンと閉めていくんだ
40:12すぐ、引き引こうだと分かるんだ
40:16そうすると、監視たちがみんな入っていくんでしょ
40:21靴はどうするんだ、どこどこ、どこどこ
40:23ああ、俺の前で止まるのかな
40:28ああ、手前で止まったり
40:34通り過ぎ、通り過ぎと
40:36ああ、今日も助かった、生きたなあ、どうした
40:41分かります?そういうことは
40:48釈放されたのは53歳
40:56初体を持つこともなく、食を転々としながら生きてきた
41:01冤罪で失った29年が、生活に重くのしかかっている
41:16一人で近くの国道へと歩いていきました
41:27そして、何者かの運転すると、車に跳ねられる
41:31引けだ、あけ、あけ、あけ
41:33ごくちゅう
41:41夢にまで見た、ふるさとでの生活
41:44しかし現実は、酒に頼り、孤独とともに生きるしかなかった
41:52冤罪は晴らされたが、裁きにもてあそばれた
42:04人生
42:06この夏、斎藤は誰にも見とられることなく、この世を去った
42:263年後までに、私たちが裁きに加わる裁判員制度が始まる
42:47裁くのは、殺人をはじめとする凶悪事件
42:5420歳以上の成人なら、誰もが裁判員になる可能性がある
43:00人の命さえも左右する裁きを、私たちが下さなければならないのだ
43:17裁判所が、いきなり認定できるか
43:20元裁判官の森谷教授
43:28裁きに加わる、法律家を目指す学生たちに
43:32必ず教える一言がある
43:35疑わしきは、被告人の利益にという言葉の意味というのは
43:39どういう風に考えるのかな
43:43疑わしきは、被告人の利益に
43:47被告人が罪を犯したかどうか、その証明に疑問の余地がある場合
43:57裁判官は、無罪を言い渡さなければならない
44:02たとえ10人の犯罪者を逃しても、1人の冤罪者も作ってはならない
44:08そのための、大原則だ
44:11静かな村で起きた不可解な事件
44:20誰もが早期解決を願う中
44:23一審の通知法裁判所は
44:26奥西を犯人とするには疑わしいとしていた
44:30自白には、多くの疑問点が存在し、証拠についても疑問があり
44:46断罪の資料とすることはできない
44:49主文、被告人を無罪とする
44:52事件直後の裁判で、大原則に基づいて言い渡されていた無罪判決
45:06その後、41年という長すぎる回り道をたどり、独房にようやく一筋の光が差し込んだ
45:22最新決定への検察の異議申し立てによる審理は、今、最終段階に入っているとされる
45:36冤罪を、この世で晴らしたい
45:57奥西は、今も獄中で、結論を待ち続けている
46:03ご視聴ありがとうございました
46:20ご視聴ありがとうございました
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