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  • 2025/6/14

カテゴリ

📚
教育
トランスクリプション
00:00東京で赤ちゃんポストが始まりました
00:04看護師が向かった先にいたのは
00:16生まれたばかりの赤ちゃんです
00:22今年3月都内の病院で始まった赤ちゃんポスト
00:26NHKは2か月にわたって病院に密着しました
00:35妊娠や出産で追い詰められる女性たちを
00:53どう支援すればいいのか
00:59現場の声から見えてきた実情に迫ります
01:09東京墨田区の三育会病院
01:24今年3月 妊娠や出産に悩む女性たちの実情を知ってほしいと
01:35病院が撮影に応じました
01:37この日は赤ちゃんポストの開始を前に
01:47受け入れの訓練が行われていました
01:50母親などが赤ちゃんを預ける場所は
01:59病院の通用口の先
02:08専用の部屋にはカゴが置かれ
02:11周囲の人に知られず赤ちゃんを預けることができます
02:18病院はこの取り組みをベビーバスケットと呼んでいます
02:26預け入れを知らせるアラームが鳴ると
02:30ベビーバスケットの部屋からコールが鳴りました
02:32行きます
02:38医療スタッフが病棟からすぐに駆けつけます
02:43預け入れに来た母親に接触できた場合
03:05できるだけ話を聞くようにしています
03:15赤ちゃんが生まれた時の状況や
03:18母親の情報などを得て
03:20今後の支援につなげるためです
03:26赤ちゃんの健康状態を確認しつつ
03:29本当にできる範囲での情報をなるべく
03:31赤ちゃんのために残してありたい
03:35ベビーバスケットが始まった4月
03:40赤ちゃんが預けられたことを知らせるアラームが鳴り響きました
03:51あ、空いてる
03:56ここに栗原さんが出てくるの
03:59栗原さん
04:01いや、まだちょっと下に今下がいたところなんで
04:07わかんないんですけど
04:08親がいなくて今赤ちゃん見に行ってたんでです
04:11はい、ベビーバスケットが来ました
04:14はい、お願いします
04:17残されていたのは裸でタオルにくるまれた赤ちゃん
04:28預けに来た女性の姿はすでにありませんでした
04:35呼吸を安定させるため
04:45赤ちゃんはすぐに保育器の中に移されました
04:49あんまり泣かないのは弱っちゃってるっていうことなんですかね
04:57ちょっと元気がないのかも
04:58感染症がないか
05:04血液を採取し検査も行われました
05:08病院の処置もあり
05:20赤ちゃんの状態は次第に回復していきました
05:24赤ちゃんの傍らには
05:49自宅で産んだという女性からの手紙が残されていました
05:53お金がなく子供を育てることができません
06:00身勝手で申し訳ありませんが
06:03この子にはどうか生きてほしい
06:06と書かれていたといいます
06:08その後病院は都の児童相談所に連絡
06:19赤ちゃんは乳児院に引き取られました
06:23預かった後について
06:29その後病院で養育していけるかというと
06:32そういうわけではございませんので
06:34受け入れ先の確保というところも
06:36しっかりやっていかなきゃいけない
06:38なぜ病院は今回の取り組みを始めたのか
06:45さまざまな事情を抱え
06:57妊娠や出産で悩む女性たちの姿を
07:01目の当たりにしてきました
07:03この病院の去年の分娩数は743件
07:10そのうちおよそ10%が
07:14貧困や虐待などの困難を抱え
07:17支援が必要な女性でした
07:20この病院自体が困った妊娠された女性とか
07:27そういう方を扱うことが多かったもんですから
07:31いわゆる赤ちゃんポストが国内で初めて設置されたのは
07:3918年前
07:40熊本の慈恵病院でした
07:44加藤院長が懸念していたのが
07:52赤ちゃんの遺棄事件が全国で後を絶たないことでした
07:56生まれたばかりの赤ちゃんを育てることができなくて
08:07命を奪ってしまうということが起きるので
08:10この10年で殺害や遺棄などをされた赤ちゃんは
08:17117人に上っています
08:19過去に赤ちゃんを殺害、遺棄し
08:26逮捕された女性です
08:28風俗店で働いていた時
08:33客に性行為を強要され妊娠しました
08:40幼少期から親の激しい虐待を受けていた女性
08:45誰にも相談できないまま一人で出産し
08:51赤ちゃんを手にかけました
08:54家に帰りたくない、親に暴れたくないっていうのが一番強かったから
09:03絶対にやっちゃいけないようなことではあるし
09:09すごい後悔というか
09:12ごめんねっていう
09:15妊娠や出産で追い詰められた女性と赤ちゃんを守る最後の拠り所として
09:26ベビーバスケットは始まったのです
09:29命を奪うんだったら預けてもらった方がいいだろうと
09:34東京が一つどこかできないと
09:36物事は前に進まないんじゃないかということですよね
09:39この日
09:44病院を訪れたのは
10:04自宅で産んだ赤ちゃんを預けたいという女性です
10:08生まれてから20時間ほどの赤ちゃん
10:17健康状態に問題はありませんでした
10:20女性は産後の貧血などがあり
10:27そのまま入院することになりました
10:38数日後
10:42女性に話を聞くことができました
10:45交際相手の子供を妊娠したという女性
10:54お互い就職を控えていたため
10:58中絶することにしましたが
11:00できませんでした
11:02薬を飲むっていう行動を飲んでしまうと
11:09生まれてくるはずやった命が
11:11なくなってしまう
11:15って思うと
11:16みんなが飲めなくって
11:17その後
11:21不正出血やつわりが治るなどの体調の変化があり
11:26流産したと思い込んでいました
11:297ヶ月後
11:35ひどい腰痛やむくみの症状で
11:39流産していないことに気づきました
11:41しかし
11:44誰にも話すことができず
11:46女性は一人
11:48自宅で赤ちゃんを出産したのです
11:50その後
11:54交際相手に出産の事実を伝え
11:57子供を預けるため
11:59関西地方から車でおよそ10時間かけ
12:03病院を訪れました
12:05子供ってなると
12:09自分だけの話じゃないし
12:11相手方のこともあるし
12:15その相手の方の生活とか
12:19家族関係だったりとかも
12:21大変
12:23というか
12:25一度は赤ちゃんを預け入れようとした女性
12:42次第に
12:46気持ちに変化が生まれていました
12:49両親に出産したことを伝え
12:56児童相談所の支援を受けながら
12:59赤ちゃんを育てていくことを決めました
13:01病院に来て
13:07スタッフの方に
13:09元気な赤ちゃんでよかったよ
13:12みたいなのを言われると
13:13産まれた子が元気で
13:16これからも生きようとしてるんや
13:18っていうのを
13:19すごい実感させられて
13:21自分でもちゃんと株を決めて
13:25責任を持って育てていこう
13:28ここからは取材に当たった桑原記者とお伝えしていきます
13:34全国2例目の赤ちゃんポストが始まって
13:38東京にできて2か月余りになりますけれども
13:41今、どんなことが見えてきていますか
13:43これまでに預け入れは数件あって
13:46首都圏だけではなく
13:47関西から訪れた人もいました
13:49追い詰められた女性の受け皿になっていると感じました
13:53一方で課題も見えました
13:56一つが出産時の母子の健康リスクです
14:00預け入れられたケースはいずれも
14:02医療者が立ち会わない中
14:04自宅などで出産する孤立出産でした
14:07院長は本来なら母親の診療やケアをするのが望ましいと
14:13話していました
14:14もう一つは安易な預け入れにつながるのではないか
14:18という懸念です
14:19先行して取り組みが行われてきた
14:22熊本市の専門部会の報告書では
14:25赤ちゃんを2回預けた事例が複数あったと指摘していまして
14:29東京の病院でも今後第三者委員会を設置することにしています
14:34取材を通じて今どういうことを感じていますか
14:37女性を追い詰めていたのは若年妊娠であったり貧困といった理由だけではありませんでした
14:44家族の期待を裏切りたくない心配をかけたくないと話す女性がいました
14:50家族に頼れない上交際相手にも本音を話せない状況が
14:55女性を孤立させていると感じました
14:58この2ヶ月にわたる取材記録
15:01そして相談窓口についてまとめた記事は
15:04こちらのQRコードからご覧いただくことができます
15:07この赤ちゃんポスト
15:08母子の健康リスクがあるということでしたけれども
15:11そのリスクを下げようと
15:13今回三育会病院では内密出産という取り組みも始めました
15:19これは自宅などではなくて安全な病院で出産をして預け入れもするというものです
15:27この出産をしたことは家族などには内密にされます
15:31この内密出産も熊本に次いで2例目なんですが
15:35病院への密着取材からは課題も見えてきました
15:385月
15:4220代の女性から
15:59家族に内密で出産したいと電話がかかってきました
16:031時間後
16:12やってきた女性はすでに破水していて
16:16妊婦検診を一度も受けていませんでした
16:20内密に関しては
16:24ご両親に知られたくないのがメインということみたいなので
16:28それで対応しようかなと
16:30アレルギーって
16:36保水とか金属とかゴム繊維とか何かあります?
16:39診察の結果
16:48合併症があることが判明
16:50自然分娩ではリスクがあるため
16:53緊急で低応切開の手術が行われました
16:573000グラムを超える赤ちゃんが生まれました
17:15ご視聴ありがとうございました
17:45出産したのは大学に通う女性
17:50話を聞くことができました
17:54子供の父親は元交際相手
18:00金遣いの荒さなどをめぐって別れたため
18:04妊娠後も連絡は途絶えたままでした
18:07女性は遠方に住む両親に
18:14妊娠を知られたくないと考えていました
18:17その理由は
18:22かつて貧血で倒れ
18:24救急車で搬送された時
18:26大学の大学を求めるなど
18:33過干渉な一面があったからでした
18:35女性が希望する内密出産
18:59国は身元の情報を明らかにして
19:04出産することが大原則としていて
19:06医療機関に対しては
19:09妊婦を説得することを求めています
19:12病院では出産の事実を
19:23親に秘密にし続けることが
19:25本人と赤ちゃんにとって最善の選択なのか
19:29議論が行われていました
19:31これを隠したのために
19:38ご本人もご両親に対しての
19:40このわだかまりがずっと
19:41一生をその覚悟があるかなっていう
19:46もう一回リスクその他について
19:50話をするということで
19:52病院は内密出産を選べば
20:07子どもとの法的な関係が
20:08立たれてしまうことなどを
20:10女性に説明しました
20:12このまま出産を内密にするべきか
20:29女性は悩んでいました
20:37自分全ての子だから
20:42当たり前にかわいいし
20:44それで気持ちが入れたっていうのが
20:47一番大きい
20:49学校のこと
20:53本当に気にしなくていいなら
20:56今すぐ学校辞めて
20:58働いて
21:00一緒にいたいぐらいなんですけど
21:03やっぱり今できないし
21:05出産からおよそ1週間後
21:28女性が記入していたのは
21:32将来赤ちゃんが18歳になった時に
21:36自分の情報を伝えてもいいという書類でした
21:39出産を内密にするという意思は
21:56変わりませんでした
21:57判断はなかなかできないですよね
22:09その時その時に用事でやっていくしかないので
22:12やっぱり悩むよね
22:15これやっぱり
22:18一病院の問題じゃないような
22:20ここからは熊本自家病院の赤ちゃんポスト
22:27コウノトリのゆりかごの検証にも
22:29携わってこられた山形文春さんとお伝えします
22:32よろしくお願いします
22:33よろしくお願いします
22:33一病院の問題じゃないという話がありましたけれども
22:37この内密出産について
22:39国は法律では定めていません
22:41ガイドラインを示しています
22:43そこでは病院が妊婦に対して
22:47身元を明かしての出産を説得するということ
22:50そして母親の情報は
22:51病院が永年保存することが望ましいとしています
22:55この現状ってどういうふうに今考えていらっしゃいます
22:58そうですね
22:58今回の産育病院さんの内密出産の取り組みですね
23:033つの角度から考えてみたいと思うんですね
23:061つは出産の安全性という面です
23:09こちらはですね病院で出産されるということですので
23:14母子ともにですね
23:15安全は保障されているというふうに考える
23:18非常にここはいいポイントだと思います
23:21しかもその上でそのそばに
23:23専門家が寄り添っていただいていると
23:26孤立していないというところも評価したいと思います
23:292点目親子関係という面からですけれども
23:33最後までですね
23:34内密出産を利用するかどうかについて
23:37いろんなリスクも含めてお話をされているというふうな面もですね
23:41評価していて
23:42安易に内密出産に誘導しているわけではないということですね
23:463点目は情報の管理という面なんですけれども
23:50こちらにつきましてはですね
23:52民間の一機関がですね
23:55責任を持って対応されるということにはなっていますけれども
23:59個人の非常に重要な情報をですね
24:02一民間病院が預かって管理し続けていいのかどうか
24:06ということについては検討の余地があるというふうに思います
24:09この内密出産については
24:12先月大阪の泉佐野市も取り組みを進めると発表しました
24:16今後この内密出産どうしていくのか
24:19私たち国に見解を問いました
24:22すると
24:23母への母子保険福祉による支援等が
24:28出産後途切れてしまうことをはじめとする
24:30幅広い観点について
24:32さまざまなご意見がある状況と認識しており
24:36慎重に議論していくべき課題と考えています
24:39という回答でした
24:41妊娠や出産で悩む人たちに
24:43どんな支援が求められるのか
24:45現状はといいますと
24:47各地の自治体やNPOなどによる相談窓口ですとか
24:52住まい食事などの支援
24:54里親養子縁組といった制度がありますけれども
24:58国の役割として参考にできるものとして
25:01ドイツの例があるそうですね
25:03ドイツは2014年にですね
25:06子どもの権利をある程度保障しながら
25:10これをどう管理していくかということで
25:12法律を作って国あるいは自治体が
25:15公的な形で関与していくという仕組みを作りました
25:18ここはすごく評価していいというふうに思います
25:21これを参考にして
25:23日本でも考えていく必要があるのではないかということですね
25:25日本でも国民的な議論をするタイミングに
25:29来ているのではないかと
25:30そうですねそう思います
25:31あとはこの赤ちゃんポストが始まって
25:34もう18年になるわけですけれども
25:36いまだに追い詰められる女性
25:38それからそれによって生まれてくる命があると
25:41社会としてはどういうことが求められているでしょうか
25:45そうですね
25:46こういう仕組みについては
25:48安易な出産とかですね
25:50誘導するのではないかという批判もあります
25:54その批判もですね
25:55間違っているとは思いませんけれども
25:57VTRにありましたように
25:59女性はですね悩んで悩んでですね
26:02決して安易に利用しているわけではないと思うんですね
26:04子どもの命を大切にするからやってくる
26:07そういうところはきっちり見てあげていきたい
26:10だからその場合ですね
26:12本来は男性も関与すべきなんですけれども
26:14そこに男性がほとんど登場してこないという現実ですね
26:18男性にもですね
26:20共同の少なくとも共同責任があるんだということを
26:24自覚する社会
26:25そういうものを作っていかなければならないのではないかな
26:28というふうに思います
26:29それはどのようにしたら醸成できるでしょうか
26:32そうですね
26:33まずしっかりとですね
26:34現実を見ていただく
26:36対応できていない社会がある
26:40そこをですね
26:41国自体が制度化してですね
26:44作っていく必要があるのかなというふうに思います
26:47ありがとうございます
26:47この人知れず生まざるを得ない女性がいる
26:50そして生まれてくる命がある
26:52これは今に始まったことではありません
26:55病院一つに任せていいんでしょうか
26:58では失礼します
26:58ありがとうございます
26:59ありがとうございました

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