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  • 2025/6/11

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トランスクリプション
00:00カオルは、司とは添えないまでも、司がこよなく愛する陶芸という場に自分も身を置きたいと願い、長谷川の下で陶器の製作に勤しんでいた。
00:17それは司には非したことであったが、司は愛する者の直感で、いつかカオルの行為に気づいていた。
00:25司は、そのカオルのために、上質の糖度をプレゼントすべく、とある山中に赴いたが、誤って転落した。
00:39司の身を案じたカオルたちは、直ちに捜索に向かった。だが、司の行方は、用として知れなかった。
00:55カオルさん、少し眠れよ。
01:02この闇をじゃ、司を探しようもない。
01:05夜が明けたら捜索が始まるから、それまで横になっていた方がいいよ。
01:10でも。
01:12司はきっと、あそこへ行ったんだな。
01:18先生、あそこって?
01:19いや、これから、5キロほど入った山奥に、上質な糖度が取れる場所がある。
01:28あいつはきっと、その土を取りに行ったに違いない。
01:32どこですか、それは。私、これから行ってみます。
01:35そりゃ無理だ。
01:37その場所までは、ろくに道もない。
01:39地元の人も、めったに通らん危険な場所だ。
01:43この夜中に、到底、たどり着けるようなところじゃない。
01:49ただ、遭難した場合の鉄則は、その地点から動かぬことだ。
01:57司が闇雲に、さまようなければいいんだが、まして、あいつは目が見えん。
02:08川さん、一人にしてやりなさい。
02:11今のわしらには、司の無事を祈るしか、すべはないんだ。
02:19司はどうしているであろうか。
02:33司!
02:36薫は、司が無事であるならば、それと引き換えに、自分の命は天に召されても良いとさえ思っていた。
02:45司、死なないで。
02:47それは、司が薫のために採集してきた土であった。
03:15何としても、薫に届けてやりたい。
03:19その一年が、司を支えていた。
03:22そのままに、お見たせ machoの分っぱりではありません。
03:32つかさは方角もわからぬままに
03:56さらに危険な渓谷に踏み込みつつあった
04:02ここに人が滑り落ちたの跡があります
04:05じゃあつかささんをこの人に
04:10よし人を探すぞ
04:13はい
04:13つかさーん
04:18おーい
04:21つかさーん
04:22ゆうけー
04:23どこだ
04:24つかさーん
04:26つかさーん
04:27おーい
04:28つかさーん
04:29あああああああああ
04:52uh
04:59行け行け!
05:01行け行け!
05:03行け行け!
05:04スカス!
05:06スカス!
05:08スカス!
05:10スカス!
05:12スカス!
05:14カオル!
05:16この声はカオルだ!
05:29ずっとしよう!
05:32スカス!
05:35スカッ!
05:37上 вам да?
05:43上手ören!
05:45あ!
05:48精神よ?
05:53お前は
05:59お前を 助け出してやるからな
06:02お前は 救護だ
06:07お前は 救護だ
06:11お前は 救護だ
06:13お前は 救護だ
06:15お前は 救護だ
06:17お前は 救護だ
06:21お前は 救護だ
06:28ユキ 大丈夫か
06:31先生 怪我はない
06:34ああ 大丈夫だ
06:38よかった よかったな
06:42先生 すみません
06:45俺のことで 心配かけちまって
06:47礼を言うなら この人たちに言いなさい
06:50お前を探してくれた 地元の人たちだ
06:54皆さん ありがとうございました
06:59カオル その辺に ビニールの袋があるだろう
07:06ここにあるよ
07:09これ 土が入ってるけど
07:12最高の粘土だ
07:14こいつを使えば お前は きっといい焼き物ができる
07:18つかさ
07:21ゆきさん さあ 行きましょう
07:23さあ 取って
07:25よし 外から
07:27よし
07:28陶芸に縁のない人が見れば それは ただの土くれに過ぎなかったかもしれない
07:39だが つかさは その土をカオルに送るために 命をかけてくれたのである
07:47それはカオルに対する つかさの愛の証であった
07:54だが 長谷川は危ぶまずにはいられなかった
07:59つかさのカオルへの愛が いかなる危険も犯すまでに高まりすぎていることを
08:06さあ
08:11けいこ
08:13なんて人かしらね
08:15目が見えないのに あの女のために 土を取りに行くなんて
08:18許せ
08:19お前というものがありながら 残せやがって
08:22いっそ つかさ君とは別れろ
08:25え?
08:26そりゃな
08:27俺たちだって 離婚なんかさせたくはない
08:30しかし このままずるずる 別居状態続けてて どうなるんだ
08:34つかささんとのことはなかったと 諦めて
08:37再出発したほうがいいわ
08:39まだ若いんだから
08:41じゃあ つかさをカオルに譲り渡せ っていうの?
08:44いやよ そんなの絶対にいや
08:46けいこちゃん
08:47いったでしょ?
08:48あたし意地でも 塚里の席は抜かないわ
08:51しかしな
08:52意地など 所詮むらしいもんだぞ
08:55そこんところを よーく考えろ
08:58
09:00言いにくいことだけど あなたはもう負けたのよ
09:03もうしょうがないわ
09:08どこ行くの?
09:09けいこ!
09:11つかさのところよ
09:13かおるのやつ あたしがいないのいいことに
09:16はがりこんで 勝手なことしてるんじゃないかしら
09:19たたき出してやるわ
09:23だがけいこは 強気な言葉とは裏腹に
09:27もはやつかさをめぐる かおるとの愛の葛藤に
09:31せいもこんも つきかけていた
09:51ねえ ゆうきさんには あの娘さんのほうが お姉なんじゃないかしら
09:55そうねえ
09:56ゆうきさんの奥さんって 自分のことしか考えない人みたいだしね
10:00そうよね
10:01実家に帰ったら 切り出そうよ
10:03あら
10:04子供のことが かわいくないのかしら
10:06うん
10:08あら ちょっと 失礼します
10:13このときけいこは 最後の賭けをする決意をした
10:30けいこか
10:33かおるとよく間違いなかった 俺
10:35足音が違うからな
10:38つかさん
10:42かおるのことなんか忘れて 私を抱いて
10:45お願い
10:51ねえ 1時間
10:52家30分でいいから かわるを忘れてよ
10:55一瞬でいいから かわるを忘れて 私を抱いて
10:58お願い
10:59一度でいいの
11:02抱いてくれたら 私 あんたと別れてあげる
11:05けいこ
11:07それがのぞみなんでしょ
11:09だったら 抱いて
11:10どうしたのつかさん かわるには わからないことなのよ
11:22つかさん
11:27許してくれけいこ
11:29なによ
11:30抱いてくれたら 別れてあげるって言ってるのよ
11:33あんたかおると一緒になれるのよ
11:35もう苦しまなくてもいいのよ
11:37抱いてくれたからって 寄りを戻せなって言わないわ
11:43あんたこの地獄から おさらがしたくないの
11:47お前はだことはできない
11:49たとえ
11:51お前が俺と別れてくれても それだけはできない
11:55そう
11:57そんなにまで変わるわ
12:00けいこは破れた
12:03自分が貸した賭けに 完膚なきまでに破れた
12:06のである
12:13つかさん
12:15もういいわ
12:17別れてあげる
12:19けいこ
12:21離婚届はいずれ持ってくるわ
12:24お前
12:26本気で言ってるのか
12:27いえ
12:30大助あなたに 引き取ってもらうことにするし
12:33それで依存はないでしょ
12:35そうか
12:40俺はあえて引き止めない
12:43そのほうが
12:45どうしてもお前の心に 寄り添えなかった俺といるより
12:49幸せだと思うからだ
12:50俺と結婚したばかりに お前をずいぶん苦しんだはずだ
12:59すまないと思ってる
13:02いいわよ今更
13:04でもこれだけは信じて 私あなたを好きだった
13:11できれば いつまでも一緒にいたかった
13:17私がいなくなったら カオルと一緒になるんでしょ
13:28それは
13:32あなたはきっとそうするわ
13:35でもそれでカオルが幸せになれるかしら
13:38何だって
13:41カオルは目の不自由なあなたと
13:44大助の世話で くたくたに疲れ果てるに違いないわ
13:47私と同じようにね
13:51でも私がそんなことを心配するのは余計なことね
14:05大ちゃん
14:06お別れよ
14:12私の分までパパに 可愛がってもらうのよ
14:36じゃあね
14:41ちょっと待て
14:43ケイコ
14:45短い間だったが 俺たちは夫婦だった
14:49いつか 街のどこかですれ違うことでもあったら
14:54お互い こだわりは捨てて
14:58気持ちよく挨拶しよう
15:00
15:02つかさん
15:04俺が言うのも妙だが
15:18お前の 幸せに乗ってる
15:22幸せに乗ってる
15:26さよなら
15:27
15:30
15:31
15:33
15:35
15:37けいこさん
15:49かおる
15:51あたし離婚するわ
15:53え?
15:55つかさはあんたにくれてあげるわ
15:57けいこさん
15:58どうして
16:00疲れたからよ
16:03ほんとに疲れた
16:06嫉妬することにも
16:08あんたたちの仲を引き裂こうとすることにも
16:12悔しいけど
16:13私の負けね
16:16ただね
16:19つかさと一緒になったところで
16:21幸せになれるとは限らないわよ
16:23あんたはボロボロになって
16:25不幸のどん底に落ちるわ
16:26それは
16:33恋を阻んできた最大の障害であるけいこが去った瞬間であった
16:39だが
16:41あまりにあっけない幕切れに
16:44かおるはまだその実感がわかなかった
16:47さあ今夜は腕に揺りをかけたわよ
16:52さあ乾杯乾杯
16:54かおるさん
16:55恋の大勝利
16:57おめでとう
16:58かおるさん
17:02どうしたの?
17:03けいこさん
17:04どんな気持ちでつかささんと別れたのかしら
17:07きっと辛かったはずよ
17:09でもかおるさん
17:11明日からは晴れてつかささんと自由に会えるのよ
17:14素直に喜んでいいと思うわ
17:16そう
17:16ゆうきだって喜んでるよ
17:18なあみこ
17:19僕らもいずれ結婚式をあげなきゃならないけど
17:21その時はかおるさんとゆうきと一緒にやろうか
17:24いいわね
17:25私とつかささんが結婚?
17:28もう夢じゃないのよ
17:30かおるさんの声は茨の道だったけど
17:32やっと報われる時が来たのよ
17:34さあもう一度乾杯しようよ
17:38かおるさんの声のために
17:40かんぱい
17:42ありがとう
17:54ママ喜んで
17:57かおるは今幸せです
17:59私はつかささんの花嫁になります
18:02ママにはもっと生きて
18:04私とこの喜びを分かち合ってほしかった
18:07天国のママ
18:09見ていて
18:10私つかささんとこの星空のように
18:13愛に輝く生活を築き上げてみせます
18:16つかささん
18:24今日限りお前は波紋だ
18:27波紋?
18:29私は言ったはずだ
18:33他のことには心を動かさず
18:36焼き物一筋に打ち込めと
18:37お前は人のために
18:41山の中に土を探しに行く余裕などないはずだ
18:45心を遊ばせている証拠だ
18:47そんな奴は私は弟子とは思う
18:50先生
18:51悔しかったら
18:53全身全霊を打ち込み
18:56焼き物一筋に没頭してみろ
18:59私の言いたいのはそれだけだ
19:03先生
19:07待ってください
19:09半女なんてそんな
19:11失礼する
19:13つかさ何をしているの
19:18追いかけてお詫びをしなさい
19:20といてくれ姉さん
19:22俺は今決めたことがある
19:25カオルはつかさに呼び出された
19:29つかさの話とは
19:31二人で始める新生活のことに違いない
19:35カオルの胸はときめいていた
19:38だが
19:40思いもよらぬ事態が展開しつつあることを
19:44カオルは知るよしもなかったのである
19:47つかさ
19:48どうして黙ってるの?
19:52カオル
19:53頼みがある
19:55何も言わずに言う通りにしてくれ
19:58なんだか変よ今日のつかさ
20:00言う通りにしてくれるな
20:03ええ、いいわ
20:06今日限り
20:08二度と俺とは会わないでくれ
20:11今何て言ったの?
20:12お前とはもう会いたくない
20:14家にもこれからは来ないでくれ
20:17もし来ても俺は追い返す
20:19なぜ?
20:20つかさわけを話して
20:22私のこと嫌いになったの?
20:24好きだ
20:26だがもっと好きなものがある
20:29焼き物だ
20:31焼き物?
20:33先生に波紋されて目が覚めたんだ
20:38俺はこれからは陶芸だけに打ち込みたい
20:42何としても自分で納得のできる焼き物作りに挑戦したいんだ
20:46だが、物を作るのに女は無用だ
20:50無用どころか
20:52お前がそばにいると俺はどうしても気が散る
20:55だから
20:57お前とはこれきりにしたい
21:01私は邪魔だと言うの?
21:03そうだ
21:04カオル
21:06俺のことを本当に考えてくれるのなら
21:09俺とこれ以上付き合うなどという
21:12つまらない夢を見るのはやめてくれ
21:14つかさ
21:19
21:20嘘よそんな
21:21女には分かるのよ
21:23好きな人が言うことか嘘か本当かぐらいは
21:25カオル
21:27つかさ
21:28ひょっとして私に苦労させまいと思って
21:30そんなことを言い出したんじゃないの?
21:33カオル
21:35以前のお前を思い出せ
21:37エレクトラに乗っていた頃
21:44あの頃の誇らかなお前に変えるんだ
21:46私はもう前の私じゃないわ
21:48あなたが変えたのよ
21:50今のあなたは私の命よ
21:52カオル
21:54もう終わりなんだ
21:57二度と口を聞くこともない
22:00いいな
22:04つかさ待って
22:05私はあなたが目が見えないことだとか
22:07お金がないことだとか
22:09なんとも思っていないわ
22:10あなたとも一緒に人生に立ち向かっていける
22:13ただそれだけで幸せなのよ
22:15お願いつかさなんとか言って
22:17なんとか言って
22:22つかさ
22:26つかさ
22:27
22:28
22:29
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23:16
23:18
23:19おじさま
23:23私のことは またパパとは呼んでくれないんだねー
23:32おじさまはママのお墓参りのためにわざわざ福島から出てこられたんですか いや
23:38学校から呼び出されてねー エミコと君のことで
23:42エミコさんと私のそれより 君泣いてたようだが
23:48何かあったのかな いいえ
23:51母のことを思い出したら抜けてきただけです 私もマキさんのことも言うと
23:58後悔ばかりが先に立って
24:04後悔って
24:07カナエにはすまないが 私がこれまでの反省で最も愛したのは
24:17君のお母さんだった
24:19心の行き違いで別れたっきりで 私はマキさんに何しとつ手を差し伸べようとしなかった
24:28私はたとえ家庭を壊しても マキさんとの愛を貫くべきだったのではないか
24:34後悔というのはそのことだよ
24:39おじさま
24:41マキさんはもう 手の届かないところへ行ってしまった
24:47私の永遠の恋人として
24:51この時 カオルは決意していた
25:04生涯に悔いを残さぬためにも
25:07どんなに拒絶されようと 司への愛を貫き通そうと
25:12つかさん 何を考えているの
25:20驚かないで聞いてくれ
25:23俺は カオルと別れる
25:27何を言うの
25:29ケイコさんがいなくなった以上 立ちはだかるものは何もないのよ
25:34二人で立派な焼き物を作るのよ
25:37ケイコが離婚を申し出てくれた時 俺は正直ほっとした
25:42地獄のような生活は終わりだ
25:45カオルと一緒に新しい人生を始めよう 俺はそう思った
25:50だが ケイコが言った
25:52カオルは目の不自由なあなたと大助の世話で クタクタに疲れ果てるに違いないわ
25:59私と同じようにね
26:01考えてみれば まさにその通りだ
26:05俺は 駆け出しの陶芸家だというのに 長谷川先生にも見捨てられた
26:15収入は話にならない
26:19そんな貧乏生活の中で もし一緒になれば カオルは
26:24俺と ナサの中の大助のために おそらく身を小にして尽くしてくれるだろう
26:30しかもその苦労が カオルには一生続く
26:35出口もない
26:38どこからも希望の光の差してこない生活
26:42そんなどれども暮らしに 俺はカオルを引きずり込みたくはない
26:46カオルさんを 幸せにする自信がないから別れるっていうの?
26:51どう考えても 俺は何一つカオルに報いてやれない
26:55姉さん
26:58俺にとってカオルは 純白のハンカチのように尊い女だ
27:04このまま一緒になれば 俺はその純白のハンカチをボロボロにすり切らせ
27:10怪我してしまうことになる
27:13でもカオルさん 言うんじゃないかしら
27:18たとえボロボロになってもいい あなたのそばにいたいって
27:23その気持ちに甘えるわけにはいかないんだ
27:26本当にカオルの幸せを考えるのなら
27:30俺より カオルにふさわしい男はいくらでも現れるだろう
27:37現に教師の大下だって カオルを愛してる
27:42でも別れるなんて言ったらカオルさん 死ぬほど苦しむわ
27:47それは一時の苦しみだ 時間が解決してくれるだろう
27:55あたし やっとあなたとカオルさんの声が 実るとばかり思っていたのに
28:05泣かないでくれ 姉さん
28:09俺は生涯 誰とも結婚しない
28:14そして先生がおっしゃったように 焼き物のことだけを考えて生きていく
28:24破門された司は当然のことながら 長谷川の工房に出入りを禁じられていた
28:32司はやむなく奥多摩の加祖の村の空き家を借り受けた
28:37そこはかつて ある陶芸家が住んでいた家であり
28:42司の住居兼仕事場として 最もふさわしかったからである
28:47司の住居兼仕事場
29:02ごめんなさい
29:03司の住居兼人
29:32恵美子の学校生活は危機に瀕していた
29:35あくまで恋を貫こうと
29:39恵美子が高志と同棲していることは
29:42重大な拘束違反であり
29:44処分問題にまで発展していたのである
29:47パパ
29:55しばらくだな
29:59さあどうぞ
30:01ごめんなさい心配かけてしまって
30:07お父さん
30:11お呼び立てしたのは他でもありません
30:14恵美子さんの同棲は風紀を敏乱するものとして
30:18職員会議でも
30:20退学もやむを得ないという結論が出ましてね
30:23退学
30:24ただ
30:26校長先生のお計らいで
30:28恵美子さんが反省して
30:30同棲を解消しさえすれば
30:32処分は見合わせようということになりました
30:34それで
30:35お父さんからも強く言い聞かせていただきたいんです
30:39そうですか
30:41お父さんからも強く言い聞かせていただきたいんです
30:47お父さんからも強く言い聞かせていただきたいんです
30:54何かと苦労してるんだろう
30:56もし大学になったら
30:58お前どうする気だ
31:00たかしさんを助けて働きます
31:02この上まだ苦労を重ねようというのか
31:05構いません
31:06私何でもやって頑張ります
31:08あと何ヶ月かで卒業だというのに
31:12えみこ
31:14たかし君と別れて
31:16学業に打ち込みなさい
31:18そして大学に行くんだ
31:20お前が望むなら
31:23外国へ留学させよう
31:25だから
31:26いや
31:27嫌です別れるなんて
31:29えみこ
31:30私はママを悲しませて
31:34満足なのか
31:36パパにもママにもすまないわ
31:39でも私がどんないけないことをして
31:42たかしさん愛するのが罪なら
31:44私その罪を喜んで受けるわ
31:48えみこ
31:49まだわからないのか
31:52おじさまやめて
31:56えみこさん
31:57もう行って
31:58パパごめんなさい
31:59でも私のことはもう構わないで
32:02えみこ
32:04君は
32:09君は仮にもえみこの姉だ
32:12妹が退学になっても構わないのか
32:16おじさまは矛盾してます
32:18私のどこか
32:20おじさまはママとの愛を貫けなかったのを
32:22後悔してるとおっしゃったわ
32:23なのに愛を貫こうとしているえみこさんを
32:27どうして祝福できないんですか
32:29私も退学します
32:35かおりさん
32:40えみこさんが辞めるからって
32:42君まで何も
32:43なぜだ
32:45いったいなぜなんだ
32:46わけは
32:48言えません
32:49言えません
32:50みぞ
32:51待つんだ
32:52実の娘が
32:59二人揃って高校を退学するというのである
33:02徹夜の衝撃ははかり知れなかった
33:09おい ちょっと待て
33:13大下先生
33:15私瑞穂さんがなぜ学校を辞めるか
33:17本当のわけを知っています
33:19多分
33:20結城さんのことが原因よ
33:22結城の
33:23私見たんです
33:32瑞穂さんはそのショックで
33:34学校を続ける気も
33:36いいえ
33:37何をする気もなくなったんだと思う
33:39そんな
33:41あの子を辞めさせてたまるか
33:43大下さん
33:45あの子がいなくなるのが
33:47そんなに寂しいの
33:51大下さん
33:53
33:54
33:56止めてくれ
34:09大下さん
34:14やあ
34:17ねえさん
34:18ねえさん
34:21そこに誰かいるの
34:22つかせ喜んで
34:25大下の世話してくださる
34:27おばさんが見つかったわ
34:29おばさん
34:30こちら野中八重さんとおっしゃるの
34:33あなたさえよければ
34:35明日から仕事場に通って
34:36手伝ってくださるんですって
34:38俺には
34:40人を雇えるような金はないよ
34:42違うの
34:43おばさんは福祉団体のボランティアなの
34:45だからお金はかからないのよ
34:47ただ
34:48おばさんは口がきけないの
34:50口がきけない
34:52おばさんは耳は聞こえるけど
34:54昔悪性行動へ患って
34:56話ができないんですって
34:58でも
35:00とってもしっかりした方よ
35:02しかし
35:03人様の行為に甘えるわけには
35:05でも
35:06目の不自由なあなた一人では
35:08陶器作りは無理よ
35:10大下の世話も生き届かないし
35:12いつどんな事故が起きるかも分からないでしょ
35:15だから
35:16だから
35:17そうだな
35:22分かった
35:24じゃあ
35:25おばさん
35:26よろしくお願いします
35:28おばさん
35:30おばさん
35:34おばさん
35:35おばさん
35:36おばさん
35:38おばさん
35:39おばさん
35:40おばさん
35:41おばさん
35:42どうした
35:44おばさん
35:46おばさん
35:48どうしてこんなによくしてくださるんです
35:50陶器がお好きなんですか
35:51おばさん
35:53おばさん
35:55おばさん
35:57おばさん
35:59おばさん
36:00おばさん
36:01おばさん
36:02おばさん
36:03おばさん
36:04おばさん
36:05どうしてこんなによくしてくださるんです
36:07おばさん
36:09おばさん
36:10おばさん
36:11どうしてこんなによくしてくださるんです
36:13陶器がお好きなんですか
36:19おばさん口が
36:21じゃあこうしましょう
36:23はいと言いたいときには
36:25手を一つ叩いてください
36:27いいえのときには二つです
36:31分かりましたか
36:34そう
36:36それでいいんです
36:38だけど
36:40いずれおばさんに焼き物づくりを手伝ってもらうにしても
36:44話ができないなら不自由ですね
36:46指文字もやりましょうか
36:50いや
36:52ここにおばさんに指で字を書いてもらって
36:54それを読み取るだけのことなんです
36:56稽古すればできるようになるかもしれません
37:00おばさん
37:02ちょっと試しに何か字を書いてみてくれませんか
37:06おばさん
37:08ちょっと試しに何か字を書いてみてくれませんか
37:14カオルは狼狽した
37:16カオルの指が触れれば
37:18その感触でそれが中年女の肌でないことを
37:22つかさは気づくやも知れなかったからである
37:26どうかしたんですか
37:28どうかしたんですか
37:32使った
37:34姉さん
37:36何しに来たの
37:38たまには人中未満よ
37:40はいお世辞持ってきたわ
37:42ありがとう
37:44綺麗に片付いたじゃない
37:46おばさんちょっと近所話してくださいな
37:48お姉さんありがとう
37:50助かったわ
37:52でもつかさは
37:54いつかあなたの翔太に気づくわ
37:56やっぱりこんな芝居は無理よ
37:58
38:00足音で私だと気づかれないように
38:02歩き方まで書いてるつもりなんですけど
38:04でもこればっかりは
38:06カオルさん
38:08明日から顔出さないほうがいいわ
38:10
38:12おばさん都合で来れなくなったのって
38:14適当な理由を作って
38:16つかさには納得させるから
38:18だが
38:20カオルさん
38:22おばさん都合で来れなくなったのって
38:24適当な理由を作って
38:26つかさには納得させるから
38:28だが
38:30カオルは
38:32あきらめきれなかった
38:37もし自分がいなくなれば
38:40つかさは陶器作りが不可能となるに違いない
38:44そしてカオルは
38:58つややかな指を
39:00ガサガサとした
39:02中年女の肌に変えたのである
39:28ねえ
39:40どう?
39:42分かりましたか
39:44どうもありがとう
39:46つかさは
39:52一心不乱に陶芸に没頭していた
39:56その厳しい姿のどこにも
39:58カオルをしのぶ風情は
40:00つゆほども感じられなかった
40:03カオルは
40:05陶芸家としてたくましく生きんとする
40:07つかさの姿勢を理解しつつも
40:10見捨てられたかのような
40:12市松の寂しさを覚えずにはいられなかった
40:22今日でお別れね
40:24学校ってなぜ人を感傷的にさせるのかしら
40:28いろいろあったものね
40:30ご視聴ありがとうございました
40:32ご視聴ありがとうございました
40:34ご視聴ありがとうございました
41:04ご視聴ありがとうございました
41:06ご視聴ありがとうございました
41:20ご視聴ありがとうございました
41:22通ったの 結局無駄だったわね
41:25そんなことないわ私たちそれぞれ愛を見つけたじゃん そうね一番出会えたい人に出会えたものね
41:33私たちくじけないで育てなくちゃその愛
41:52それはカオルの実への電話番号であった
42:16司は決してカオルを忘れてはいじ
42:19恋しさのあまりせめて声なりとも聞こうとしたのである
42:24司は決してカオルを忘れてはなかった
42:38カオルの胸に歓喜が込み上げた
42:45カオルの心は叫んでいた
42:47私はここにいます
42:50あなたのカオルはすぐそばにいるんです

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