残されし恋には Que reste-t-il de nos amours ? (シャルル・トレネ Charles Trenet) シャンソン / 訳詞初稿 Sima

  • 9 年前
残されし恋には Que reste-t-il de nos amours ? シャルル・トレネ Charles Trenet
1942年にナチス占領下のパリでトレネが作詞し、曲は当時一緒に活動したりしていた作曲家で自楽団指揮者のレオ・ショーリアック Léo Chauriacとの共作。原題は「私たちの恋の後に何が残るのか」
後に、フランソワ・トリュフォー監督の1968年の映画『夜霧の恋人たち』Baisers volés / Stolen kissesの主題歌としても使われました。
更に、アルバート・A・ビーチによって英訳(I wish you love)されてジャズとしても数多のスター歌手によって歌われました。
1957年キーリー・スミスが最初に取り上げた後、1964年にはグロリア・リンのレコード(演奏はマーティ・ペイチオーケストラ)が、ジャズシンガーとしては初めてビルボードホット100、イージーリスニング、R&Bと3部門でのチャート入りを果たした作品となりました。
2005年メリル・ストリープ主演のアメリカ映画「プライム」の挿入歌として日系4世のシンガーソングライター レイチェル・ヤマガタRachael Yamagata がカバーして高い評価を受けたようです。
シャンソンとしては、レオ・フェレ、ジャン・サブロン、ジュリエット・グレコ、ダリダ、ザーズ等も歌っています。
英語ではナット・キング・コール、フランク・シナトラ、ロッド・ステュアート、ナタリー・コールなど、多彩。
シャルル・トレネは、2001年に没しましたが、『ラ・メール』『詩人の魂』などを作詞作曲して歌い、戦後のシャンソン界に大きな功績を残した巨星でありました。
”シャンソン・フェンテジスト””歌う狂人”などと呼ばれ少々変人気質とも言われた側面を持ちましたが、’30年代にミレイユ(小さなコンセルヴァトワール=創立者)によって持ち込まれたジャズの要素を引き継ぎ、戦後のモダンシャンソンとして積極的に取り入れ、革新的な曲作りを展開し、開花させた功労者でもあります。

余談ですが、’50年代のサンジェルマンデプレは、思想や活動領域の違う知識人・文化人達のたまり場となっていたそうですが、その人たちを大きく結びつけたのはアンチテーゼとしてのジャズがあったからと言われています。
仕掛け人は、マルチな才能を発揮していたボリス・ヴィアンであり、グレコとマイルス・デーヴィスを引き合わせたのも彼だそうです。
当時のアメリカにおける人種差別から逃れてきた黒人プレイヤーたちの天国として仏ジャズは展開し、聖地となりました。
全編ジャズが流れる「死刑台のエレベーター」「危険な関係」等の映画も大ヒットしました。
仏文化のゴディネーターとも言えそうなボリス・ヴィアンは39歳で亡くなりましたが、トレネによって席巻されたそのエスプリはゲンズブールによって引き継がれ、今日の仏大衆音楽に多大な影響を残しています。

歌の方は、ボーカルのボリュームが小さく、ピアノの音に消されてしまい録音されない部分もあったりで、お聞き苦しい点がありますが申し訳ありません。

訳詞・歌 Sima
Pf 砂原嘉博   / inライヴ・カフェ “凡”
訳詞 no.103 (初稿)

シャンソン・訳詞のチャンネル
https://www.youtube.com/user/fwhy3109/videos