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  • 7/5/2025
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Transcript
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00:28では何とも仕方がないんですよね。
00:32この病気を治すには脳外科手術を行い、
00:36痙攣の原因となっているものを取り除くしか方法はない。
00:41だが7年前、大畑さんは他の病院で手術を受けたものの、
00:47全く症状は改善されなかったという。
00:50このまま一生ね、生きててもつらいので、
00:53朝が来なければいいなって思ってました。
01:02しかし大畑さんには最後の望みがあった。
01:06一人の医師に再手術を依頼したのだ。
01:14福島貴則64歳。
01:17アメリカに拠点を置く世界屈指の脳外科医だ。
01:22毎日毎日がもう本当の熾烈なその脳のね、
01:27難病というか脳腫瘍の戦いで、
01:29毎日毎日もうまく仕上げていかなきゃいけないんで。
01:33だからこれからもう熾烈なパトルというかね、
01:36戦いが始まるんで、厳しいんですけど。
01:41都内にある府中軽人科医病院。
01:48福島が大畑さんの手術を行う日がやってきた。
01:54手術はまず頭に2センチ程度の穴を開けることから始まった。
02:00今回は左耳の後ろに小さな穴を開け、
02:07顔の動きをつかさどる顔面神経を刺激し、
02:11痙攣を起こしている障害物を取り除くものだ。
02:16脳の中の極めて小さな範囲で手術を行うため、
02:21福島は顕微鏡を用いる。
02:27これが顕微鏡で見た手術部分の映像だ。
02:32赤く見える血管の太さはおよそ1ミリ。
02:35手術は極めて微細な世界で行われる。
02:40一体何が大畑さんの顔面痙攣を引き起こしているのか。
02:45福島は驚くべき原因を発見した。
02:49あれ?あ、間に入れてある。
02:52バカだな、こんなことして。
02:54こんなところにこんな大きなテフロンが入ってる先生ね。
02:59なんと、神経と神経の間に大きさおよそ4ミリの綿が詰められていた。
03:06これは前回の手術で顔面痙攣を和らげるために入れられたものだが、
03:12これが逆に神経を圧迫し、症状を悪化させていたのだ。
03:17テフロンを挟んだせいだな。
03:21これを取ることからやらなくちゃいけないからまずね。
03:24福島は綿の除去に取り掛かった。
03:28こんなに大きなもの。
03:30神経と綿が癒着し、一体化してしまった部分を慎重に切り離す。
03:39ほんのわずかな手元の狂いも許されない中、綿を少しずつ除去していく。
03:45高い技術と集中力が要求される瞬間だ。
03:54これでやめてみましょうね。
03:58手術は無事終了。
04:01およそ2時間で大畑さんを長年苦しめていた綿はすべて取り除かれた。
04:10手術の後、福島から彼女の家族に説明があった。
04:15大畑さんの顔面痙攣の症状は、手術後すっかりなくなった。
04:28大畑さんの顔面痙攣の症状は、手術後すっかりなくなった。
04:40難易度の高い脳外科手術を年間600件以上こなし、その成功率は実に99%を超える福島。
05:02そんな彼を、人は神の手を持つ脳外科医と呼ぶ。
05:07福島は東大医学部を卒業後、最先端の脳外科技術を学ぶため、ドイツやアメリカに留学。
05:178年前からは、アメリカの名門、デューク大学の教授として、世界を股にかけ手術を行っている。
05:26福島の元には、全国の患者から救いを求める手紙やファックスが数多く届く。
05:34そこには、患者たちの悲痛な叫びが綴られている。
05:38助けてください。
05:42どうか主人を見捨てないで。
05:46そんな患者を救うため、福島は年に数回帰国し、手術に当たっている。
05:52今回は、2週間の滞在で45件の手術を行う予定だ。
05:59福島先生が手をつけたからにはね、患者さんを悪くしたくない。
06:02どうしても良くしたい。
06:04その、ほんとのもその、心底。
06:07その、全力投球の情熱だな。
06:10これがなきゃダメですね。
06:12この日、今回予定している中でも、最も難しいケースに挑もうとしていた。
06:19ああ、もう、もうこれ見ただけでもう、大変。
06:24病名は、髄膜種。
06:2739歳の男性患者の脳に、5センチを超える巨大な腫瘍ができていた。
06:33この腫瘍は、頭蓋底と呼ばれる、神経や血管が数多く集中している場所に存在していた。
06:42そのため、少しのミスが重大な後遺症につながる可能性があるのだ。
06:49福島は、この難しい手術に踏み切ることにした。
06:55巨大の頭蓋底の髄膜種で、脳毛柄で最も難しい手術です。
07:00はい。
07:01脳儀将軍の203高地とか、ベトナム最前線のシビアな戦いとか、そういったもんですよ。
07:09午後1時、手術が始まった。
07:16はい、では行きますよ。
07:19巨大な腫瘍をすべて取り切ることができるのか。
07:24今回は、右耳の後ろを10センチほど開け、頭蓋底にできた腫瘍を摘出するものだ。
07:35患者の男性には、すでにふらつきやしびれなどの症状が出ていた。
07:40すぐに腫瘍を除去しなければ、生命が脅かされる恐れがあった。
07:46腫瘍は深さ7センチほどのところに存在する。
07:50福島は脳をかき分け、腫瘍を見つけていく。
07:57これだ。これこれこれ。
08:00しかし大きいよね。信じられないで。
08:04ついに巨大な腫瘍がその姿を現した。
08:08予想通り、腫瘍は神経や血管を巻き込んでいた。
08:14手術を開始して早々、予想外の事態が発生した。
08:23すごいね、この出血。
08:26もうこれも連続だよ、今日は。
08:29何が呼んでいるんだよね。
08:32腫瘍をハサミで切り取ろうとすると、大量の出血が起きた。
08:39出血は、手術する部分の視界を遮るため、福島にとっては最大の難敵だ。
08:47吸引管で血を吸い取りながら、止血剤を含んだ小さな綿を、福島は次々投入していく。
08:57え、止まった。
09:00そして30分後、なんとか出血を止めることができた。
09:07血が止まっている間、福島は慎重に腫瘍と神経が癒着している部分を切り離していく。
09:15この辺がくっついているんですね。見た?
09:22あららら、あぶね、あぶね、あぶね。
09:27いやいやいや、やばいったね。驚いたね。
09:30手術の際、福島は、自ら開発した器具を用いる。
09:43ここで使用しているハサミは、刃先の薄さおよそ0.5ミリのもの。
09:49アクロン単位の手術を行うため、福島が独自に開発したものだ。
09:56難しいです、これは。
09:58うーん。
09:59うーん。
10:00うーん。
10:01うーん。
10:02うーん。
10:03うーん。
10:05絡み合う腫瘍と神経。
10:08そして繰り返される出血との戦いが続いた。
10:12開始から7時間が経過した。
10:14福島は、いよいよ巨大な腫瘍の適室に取り組み始めた。
10:22はぁー。
10:23神経や血管を傷つけないよう、腫瘍を切り離し次々に適室する。
10:29まだまだ固い。
10:30はい、腫瘍。
10:32はい、腫瘍。
10:36取っても、取っても、取ってもあるね。
10:38すごい量だよね、取り出すね、この量があるね。
10:46腫瘍は、除去しても除去しても、次から次に現れてくる。
10:52容器の中には、取り出した腫瘍が大量に溜まっていた。
11:03そして福島の体力も、限界に近づいてきた。
11:08どうぞ。
11:11かぁー。
11:14もう手が麻痺してきたね。
11:172の1時だよね。
11:19この辺のね。
11:21腫瘍を完全に除去できなければ、患者は、手術後に再発を繰り返す可能性が高い。
11:29福島は、最後の力を振り絞り、残りの腫瘍の適室にかかった。
11:36これが最後のピースかな。
11:39はい、終わりです。
11:45はい、終わりです。
11:50もう全力、全力。
11:5210時間以上に及んだ手術は、ようやく終わりを告げた。
11:56午後11時を過ぎていた。
12:01手術を終えた福島は、家族に経過を説明した。
12:09大変でした。
12:10ありがとう。
12:11いやいや、本当に。
12:12でも、全部取れたよ。
12:15全部取らないとね、全部取らないと再発、再発繰り返して自利品なんですよ。
12:22ちょっと2、3ヶ月我慢してね。
12:24最終的にはいいと思うけど。
12:27はい。
12:29食べてないんで、食べちゃってください。
12:32ああ、まいった。
12:33休憩も一切取らず、長時間の手術を終えた福島は疲れ切っていた。
12:43その、自分の限界を超える何かがありましたね、今日はね。
12:48闇夜の中で、
12:50ああ、これだ。
12:51ああ、これだ。
12:52ああ、これだっていうのは、分かるぐらいの、
12:55もう、何でしょうね。
12:57夜行性の猫の目のような、あれがないと、できない手術なんで。
13:01だから、こういうのは若い先生に変われないね。
13:04こういうのは、私がもうぶっ通しでやらなきゃいけない。
13:0664歳という年齢で、自らの限界に挑戦する脳下界としての執念が、
13:16巨大な脳腫瘍との戦いに打ち勝ったのだ。
13:23それから3週間、男性は順調に回復し、
13:28リハビリに励む毎日を送っていた。
13:31本当に福島先生でなければという気持ちが私の中にもありますし、
13:36うん。
13:37命を繋いでくれたなって気がします。
13:41手術後に撮影されたMRIでは、巨大な腫瘍が全て姿を消していた。
13:513月下旬。
13:53この日、福島は、2週間で予定していた45件の手術を全てやり終えた。
14:00超難しいのをやっていると、僕がいくら全力尽くしてもそれだけじゃダメなんだ。
14:06そこに何かね、この天の向こうから神様の御幸の光で、
14:11パーッと神様の助けがないと、こういうね、最高の結果が出ないんだよ。
14:16だからそうすると、神様に感謝しながら、
14:18ああ、嬉しいなって言うんだよ。
14:19それで、またアメリカに帰って、毎日くるくる動く原動力になるんだな。
14:25それ、それが私の人生。
14:48それが私の人生。
14:51ふとりとりとりとりとりとりとりとりとりとりとりとり。
14:55これが私の人生。
14:58今は、くるくると思う。
15:00それが私らが今をお悩みにとりとりとるのを務めてくるものです。

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