- 2025/5/10
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🐳
動物トランスクリプション
00:00スペシャルエディション
00:08突然、あなたの会社が倒産し、見知らぬ企業に買収されたら、あなたはその事態をどう受け止めるだろうか
00:22私たちのカメラは立ち会ってしまった
00:24ある居酒屋チェーンの倒産とそれに続く買収劇の一部始終
00:29日本全国に58店舗、料理人の腕と味が自慢の店だった
00:39去る者は去る、とどまる者はこの激震を絶え忍べ
00:44従業員たちは突きつけられた
00:51これは不況の嵐に翻弄されたサラリーマンの物語
00:55揺れる組織に送り込まれた男が吠える
01:15お前らがダメなんだ
01:17何を持っての幹部なんですか
01:18何を持っての取締役ですか
01:23偉そうな言い方言いますけど
01:25上にいる資格ないですよ
01:29邪魔なんですよ
01:33取材スタッフもおのもいた
01:40お前らが2人できちんとしなかったらあなたもんちゃうんだい
01:45人は誰のために働くのか
01:48自分は洗脳されたくないんですよ
01:51家族のためそれとも
01:54やってりばり言うんだろ
01:56お前らが登って今日一緒に行った
01:58何だろ、ここに行ったで
02:00何だろ、3人で歩くでしょ
02:02バカやろ
02:04踏みとどまった者たちの修羅
02:06そういうことじゃないですよ
02:08死ぬ気で頑張ってこの様と
02:10お前ロールしてるだけやないと
02:12男たちが歯を食いしばる
02:16お前の人間それぐしゃぐしゃにしたいのだろな
02:19人心つかまれへんで、すぐ心つかまれへんぞ
02:24今夜のスーパーテレビは
02:26勝ち組と負組に色分けされる外食3年
02:29そのヒリヒリとする舞台裏に密着200日
02:34私たちにとってこの現実は
02:36決して一言ではない
02:38この番組は新しい暮らしに詰めて
02:46P&G、NECと
02:50ご覧のスポンサーの提供でお送りします
03:00フランチャイズが面白そうだ
03:02私たちの取材は全国に58店舗を構え
03:06年賞60億円と噂されていた居酒屋チェーンに
03:10カメラを入れるところから始まった
03:12居酒屋とはいえ、魚料理には提供がある
03:16料理人たちの仕事ぶりにも隙はない
03:19だが、内情を知って愕然とした
03:22有料店舗数店を除いて深刻な赤字
03:30あるいはという間に経営母体が倒れ
03:33居酒屋チェーンは支えを失ってしまった
03:35そこに、倒産したチェーンをそのまま買い取ろう
03:41という会社が現れた
03:43つまり企業買収
03:47混乱の中、外食産業とは無縁だったその会社は
03:51私たちの取材続行を受け入れてくれた
03:54おそらくPRになると踏んだからに違いない
03:57会議室には辞表を出さず踏みとどまった男たち
04:03新しい外食産業の形に業態変更をしたい
04:09それをやらなければ、我々としては生きる道はない
04:13状況はこうだ
04:16有料店舗はとりあえず、ヤグを買えないで
04:19経営を維持し、赤字の店は潰して人員を整備
04:23居残る道を選んだ者たちを再雇用して
04:25新たな外食チェーンを立ち上げ
04:28そのノウハウについては、業務提携した別会社に委託
04:36委託を受けたのは、外食産業のプロとして
04:39テレビでも顔の売れた男だった
04:43歯に気ぬ着せぬ物言いに凄みがある
04:46小林隆、45歳
04:49業界の封印と呼ばれ、成功請負人ともてはやされている男
04:58つまり、勝ち組の論理を知り尽くしているということだ
05:02小林が乗り込む先は、負け組となった居酒屋チェーン
05:09新たな別会社で働き続ける道を選んだサラリーマンたちは
05:13一体、何を思うのか
05:16彼らの前に初めて小林が姿を見せた
05:21いやいや、座ってる人は出て行ってもらって結構です
05:26そういう覚悟を持って聞いてください
05:29今、北野市長さんの売り上げは非常に悪いです
05:35不景気だから悪いんではなくて
05:41やる気がないから悪いんです
05:44今日ここに入ってきた時、気だるそうな社員さんが目につきましたよ
05:51大人たちが、幹部が、社員を巻き添いにしていって
05:57気の玉になって成功が見えるんじゃないんですか
06:02何をもっての幹部なんですか
06:05何をもっての取締役ですか
06:09仕入れ担当していれば、心霊だけでいいんですか
06:13これをやっているなら、これだけでいいんですか
06:16それだけ悠長なことの言っていれる川上なんですか
06:20偉さない方言いますけど、上にいる資格ないですよ
06:26邪魔なんですよ
06:29この時点で赤字の店舗はことごとく撤去
06:35だが、店の器は無駄にはしない
06:39同じ場所に全く新しいコンセプトで店を出す
06:43まずは、第一号店を成功させるのが先決と小林は考えていた
06:49送り込まれるのは負け組にいた男たち
06:52失敗は許されない
06:58一番やる気のある奴に店長を任せたい
07:01小林の言葉に奮い立った男がいる
07:04かつて上司のやり方が不満だった
07:07倒産にホゾを噛む思いをした
07:10目の前に現れた小林が救世主に見えた
07:14長谷川敦、36歳
07:17妻があり、二人の子供がいる
07:20自分も大きい仕事も以前からしたかったもんですから
07:23やってみたいな
07:25あとは人ですよね
07:27そうですね、あと人をいかに教育して
07:29いかにお客さんを迎えられて
07:31いい食材があるんで
07:34教育という言葉が他ならぬ
07:37自分に向けられるのを長谷川はまだ知らない
07:42店長を任された長谷川は
07:44これから苦労を共にする料理人に
07:46昔から互いをよく知る同僚を選んだ
07:52同じ店で働いたこともある
07:54大山隆久、44歳
07:56同じく加藤正明、39歳
08:03なぜか馬が合う3人
08:05幕並みの汚名を注いで見せる
08:07そんな気負いも同じだった
08:10いい方向に向かっていくためには
08:12それもやっぱしょうがないことだし
08:15北の一丁としてはもう限界だったと思います
08:25新しい店は和食中心の居酒屋ではない
08:28近頃流行りの創作料理が売り物と聞かされていた
08:32まずはお手並み拝見とばかり3人が訪ねたのは
08:35小林が成功させている店
08:41この暗い照明の中に活気がある
08:44ユニークな盛り付けに驚く客の笑顔がある
08:473人が久しく忘れていた空気
08:50勝ち組の世界だった
08:58腕に心得のある料理人がしかし
09:01目の前の料理に首をかしげた
09:05盛り付けの意外性はともかく
09:09素材、調理法、そのいずれもが
09:12自分たちの描く理想とはずれている
09:24料理人ではない長谷川も
09:27仲間の言葉に異論を挟まなかった
09:29自分たちは一体何に負けたのか
09:35答えが見えない
09:36言葉もなくした3人を研修が待っていた
09:46合格点を取らない限り
09:53店は任せられないと
09:55釘を刺されている
09:58試されるんだ、俺たちは
10:01誰もが苦い思いを飲み込んでいた
10:03研修の現場は
10:09兵庫県川西市にある小林の本居ビル
10:14この部屋で
10:1630日間の共同生活が始まる
10:18支給されるのは
10:191人1日1000円の食事代
10:223人が託されているのは
10:24組織の命運だけではない
10:26誰もが、己の未来を背負っている
10:31料理人たちには
10:33それぞれに
10:34活泡料亭を渡り歩いてきた歴史があった
10:37肌見放さぬ包丁に
10:39職人の意地が除く
10:41和食の包丁って
10:44包丁ケースって
10:46この半分ぐらいで、4本ぐらいしか入れない
10:49別名を地獄の特訓
10:54小林の会社が行う研修が
10:58そう呼ばれていることを聞いていたのは
11:00私たちだけだった
11:02これから、自分たちが店で扱う食材を前にして
11:07加藤が絶句する
11:09職人の技を必要としない材料が目についた
11:12ちょっと待って
11:14今も出来合い?
11:16本当か
11:19今日は1日使って
11:213人を指導するのは
11:25小林の下で商品開発を担当してきた
11:28滝口雄吾、28歳
11:30味を見て
11:32こういうもんだなっていうのを
11:34一つずつ確認しててもらいますよ
11:383人が
11:40発見に取られたのは指導教官の若さではない
11:43まな板に向かっても
11:45腕時計を外そうとしない
11:46その姿勢に驚いた
11:47だが彼らはやがてその意味を知ることになる
11:53切り詰めた時間の中でレシピ通りに料理を仕上げること
11:58それが勝ち組が定めた掟
12:00食材の大胆な組み合わせも和食の料理人には思いつかない
12:08滝口は数多くの創作料理を浴び出してきた男だった
12:12制限時間10分でひとしな
12:19見本を示した滝口はクールに課題を与えてくる
12:24誰にでもできる料理が基本
12:29だから店長を任される長谷川も料理をマスターしなければならない
12:333人それぞれの動きを見守る滝口のまなざしは厳しかった
12:46調理時間を守れなければお客の満足は得られない
12:50接客スタッフにも負担をかけることになる
12:53滝口は繰り返した
12:54サービスの要は厨房にあり
13:0113分かけて大山が仕上げた料理
13:05本本的にアスパラからお肉をはみ出したらダメなんです
13:08アスパラの上にきれいに乗っからんと
13:10アスパラが立って向きじゃないし
13:13やっぱり横向きなんですよね
13:16食べました?
13:19年上の料理人にも滝口は遠慮しなかった
13:24完全に熱が入ってもうドロドロになっちゃうんですよね
13:28さっと湯通しするぐらいで
13:32それとベッダーになってもうてね
13:35材料なんてどこにでも売ってるもんばっかりじゃないですか
13:38それをね、いかにきれいに見せておいしくするかっていうのは僕らなんで
13:43最初にしては上出来やと僕は思うんですけどね
13:47最初にしては上出来と言われて
13:50プライドが傷つかぬはずはない
13:53けれど、新店舗のために開発された料理に舌を巻いたのは事実だった
14:01徹底的に原価を抑え、その上で食材を魅力的に見せる工夫が凝らされている
14:06器もまた選び抜かれていた
14:12滝口たちが作り出すメニューは年間で3000を超えるという
14:16そのすべてが確実に利益を生み出すのだと教えられて
14:203人は思わず襟を正した
14:26研修は調理だけにとどまらない
14:30新店舗では売り上げはもちろん
14:33人件費から食材費までが完全なガラス張り
14:36料理人さえパソコンに向かう
14:39誰もが経営状況を知ることができてこその危機管理
14:43情報は隠すより見せた方が役に立つ
14:46それが小林の哲学だった
14:48朝9時から深夜まで
14:54次から次に勝ち組のノウハウがすり込まれる
14:58睡眠時間平均3時間
15:00誰もが愚痴は言うまいと決めていた
15:03妻と子供たちを実家に返した長谷川にとっては
15:07文字通り排水の陣
15:12研修では段階に応じて筆記試験が課せられる
15:163人そろって合格しなければ
15:19次のステップに進めない
15:24小林の懐型な浜本二郎は
15:2726歳ながら新店舗立ち上げのエキスパート
15:31人の器を見定めて
15:33店の人員配置にも発言力を持つ男だった
15:38失礼します
15:41研修12日目
15:43店長を任されることになっている長谷川が浜本に呼ばれた
15:48お店が良くなる良くならない
15:51どうなるって言ってほとんどもう長谷川さんに
15:54私次第に決まっているので
15:56長谷川さんのスキルアップは必ず
15:59絶対条件と思うんですね
16:01やっぱり意識が薄れていく
16:03店長の長谷川さんっていう人
16:06お客さん来たらみんな見てると思ってください
16:07スタッフ全員もみんなが見てると思ってください
16:11下手なことできないですし
16:14ちょっと待ってくれっていうのも言えないんで
16:17今度は変えると
16:192週間が過ぎた
16:23この日は新しい店で出す料理の試食会
16:26立ち上げるのは長谷川たちが身を寄せた会社の幹部たち
16:31この場を仕切るのは
16:33業務提携をしたパートナー小林だった
16:35まずは取り替えを持てますか?
16:42もう少しです
16:46単なる試食会に終わりそうにないことは
16:50小林の不気味な沈黙でそれと分かる
16:54料理の説明が長谷川の仕事
16:58そのはずだった
16:59長谷川くん
17:02あのノーマキーランから手伝ってから
17:05ノーマキーランから手伝ってから
17:07早速料理出せ
17:09長谷川に料理作らせ
17:13上着脱いで
17:15腕目を振って
17:17竹口次作るものをただ言っていったらいい
17:20長谷川当然作れるはずやから
17:22やかり分保ってどんどんいじめていけ
17:25声出してやっていけよほら
17:26意図とありますか?
17:30店長といえども
17:32調理ができなければ厨房をしきれない
17:35果ては店をしきれないということか
17:38長谷川には心の準備ができていなかった
17:43長谷川はい
17:45大山がオープン前日に倒れるかもしらんで
17:49分かりました
17:51加藤がオープン前日に交通事故で死ぬかもしらんで
17:53はい分かりました
17:56その時に俺らは小林の人間に依存するんか?
17:58いや自分たちでやるしかないです
18:00はい
18:02お前がほんまに悪事やったら
18:04厨房とホールを走り回って
18:07204席のお客さんを満足させるんですか?
18:09フル回転するで
18:11はいその通りです
18:13お前雇われ違うか?雇われだと思ってんちゃうの?
18:15サラリーマンか?
18:17いや違います
18:19はい
18:20作ることも一生懸命できるぐらいまで
18:22はい
18:23それがシャキッとさせることなんちゃうの?
18:25はい
18:27小林は容赦なく長谷川を追い詰めてゆく
18:30レシピ
18:32あのーサラダピザの葉っぱの方は?
18:36何でお前効かなわからへんのよ
18:38はい
18:39なんで効かなわからへんだよ
18:40はい
18:41お前昨日今日来たんか?
18:42いやそうです
18:43何やってんのよ
18:45はい
18:46お前死ぬ気で頑張って来たんか?
18:49頑張ってきたつもりですけど
18:50死ぬ気で頑張ってこの様か
18:53お前ウロウロしてるだけやないよ
18:55はい
18:56ん?
18:57はい
18:58こんなんでそっちができへんからな
19:00はい
19:04続く言葉で大山と加藤を挑発した
19:08はい
19:09自分の仕事ばっかにボッとしてたら
19:11とんでもない料理せるぞ
19:12はい
19:13あと放送にしとけ
19:14はい
19:15一番早い仕事してみて
19:17はい
19:181個1個料理作らせて
19:19はい
19:20オーダー取った感じで
19:21はい
19:22そことこなしてさっさと出せるような形
19:24はい
19:25お前のすべての力今出せ
19:26はい
19:30すでにパニック状態だった
19:33何かを考える余地も奪われていた
19:40ケオされた長谷川はうろたえるばかり
19:43背後で上がる罵声など聞こえぬふりで試食会は粛々と進む
19:57はい
20:00形ができてても片栗の味しか整備が
20:03はい
20:04クズの味ですか
20:05はい
20:06こんなもん出させるのに
20:07はい
20:08腹心の部下にも押し殺した叱責
20:10こんな唐揚げの簡単なことが生まれたらできるのか
20:14お前の用心深さといい加減さが全部ここに出てくんねんぞ
20:18はい
20:19悔しないか
20:21でもお前これかこれお前かって
20:24はい
20:25言われんねんぞ
20:27お前の繊細さって何なの
20:29お前の用心深さって何なの
20:32ん?
20:33ぜーんぶお前の分身やぞあれ
20:35あれチヂミまでですよこれ
20:38何かこんなんで
20:40悔しさを押し殺したその顔は
20:45決してカメラを意識したパフォーマンスではない
20:4910分で綺麗にして10分で
20:54試食会を終え疲れ切った男たちに浴びせ続ける小林の言葉は
21:00まるで彼らの退路を断つような正論だった
21:05戦争やで
21:08戦っていくんですよ
21:10お前ら戦争気分になってないですよ
21:13実戦の気分になってないですよまだまだ
21:15お前らは
21:17精神たるんでるんちゃうのずっこいちゃうん
21:22俺らに感動を与えれや
21:25化けの川の離れない感動を与えてくださいや
21:29人見る目持ってるって
21:30取り憑くってことなんてすぐバレるって
21:37男たちは耐えるしかなかった
21:43けれど誰のために何のために
21:47その夜
21:52長谷川たちは荒れた
21:54だったら自分で誇り持ってやってるべきだね
21:57誇り持ってやってんかこれ
21:59やってりばり言うんだろう
22:00思って今日一緒に行ったんですけど
22:01何だろう
22:03何だろう
22:07組織と共に身売りして
22:10新たな夢に賭けた3人の男たちは
22:13試食会の惨敗で叩きのめされた
22:16一人になれば去っていった同僚の顔ばかりが胸に浮かぶ
22:21それを嫌った酒の席
22:23中でも意気込みをくじかれた長谷川は荒れていた
22:27冷静になってあったら自分で誇り持ってやってるべきだべ
22:30誇り持ってやってねんかこれ
22:32やってねばり言うんだろう
22:34残って今日一緒に来たんだ
22:36何だろう
22:38何だろう
22:40兄に何本説教されたと思うんですか俺
22:42言ってくださいよ
22:44こんでも一緒に3人崩れないに頑張ろうな
22:47兄いつも言ってくれました
22:48こんな時男には己を鼓舞する他に道があるだろうか
22:58狙いどおりきっとそう答えると思いつつ聞いてみたい
23:05成功の方程式を知っている小林の思惑
23:08自分が別に嫌われるものになるのは厭わないし
23:13鬼であろうが何であろうが関係なくて
23:15要は物事を成功させる執行者ですから
23:20やっぱり自分に対してあのチーム全部が何くそっていう気持ちになってくれることが狙いです
23:27僕らが何本ですねうちははは置いて頑張れ頑張れ言うても
23:32燃えようとしなかったら怒らないですよ炭は
23:363人を追い込むのはあり地獄作戦です
23:43目だけ細めて小林が言った
23:45鬼と呼ばれる男にも別の横顔がある
23:51手がけたフランチャイズの店をこまめに回り相談に乗る
23:56縁を持った人間は限りなく大切にする人だと
24:00関係者たちが口をそろえた
24:02いらっしゃいただきます
24:04確かにすっごい厳しいです
24:07やっぱりションベンチビルくらいの
24:15ムチはきます
24:17その時はもう
24:19やっとかいろんな
24:21やっぱり人間ですが思ったりは
24:23するんですけど
24:25その反面
24:27後でレーサーで考えてみると
24:30あれ言われてなかったら俺はどないになってるんかなとか
24:34っていうのはもうすっごいありますね
24:373人の研修は場所を変え
24:43小林の会社直営の居酒屋で行われていた
24:47実践トレーニングというわけだ
24:49なんでいいですか
24:51どうしていいですか
24:52なんでいいですか
24:55ここにこう貼って本日のおすすめキャラメルのムースでやろうかな
24:59汚名返上
25:02長谷川は賢明だった
25:04おすすめ品を品書きにして胸につけ客席を回る
25:09以前の店でこれが受けた
25:11宣伝なんですけど今本日の一押しで
25:14キャラメルのムース限定あと6個くらいなんですが
25:17いかがですか
25:17そちらでよろしいですか
25:19だが新店舗は雰囲気を重視するおしゃれな店
25:24研修の教官浜本が長谷川を呼ぶ
25:28アイデアは僕ねどんどんいろんなことやっていくっていうのはいいと思うんですけど
25:34あのおすすめ
25:36もうちょっと違うやり方あるんちゃうかなって
25:39本当にここでやってることをそのまま持って帰るつもりなんで
25:44向こう行っても
25:45やることなすことを否定される
25:49うんざりだった
25:522人の息子は14歳と10歳
25:57前の会社が傾きかけて以来
25:59家族は実家に返していた
26:02単身赴任がもう2年
26:07節約のため自分からはかけない携帯電話が
26:11妻の悩みを伝えてきた
26:13少年野球で地域選抜に選ばれた長男が
26:17自信をなくしているという
26:18なんで落ち込んだよ
26:21いやそういう風に思うなって
26:27そういう風に思ったら何もできない
26:29できないよ
26:30そこにそこだって
26:35そこに行きたい奴だって行けるんだけど
26:37頂点に行けない奴だっているんだけど
26:39そういう風に話して
26:42励ます言葉が
26:45己の現実に跳ね返り
26:47一瞬泣きそうになった
26:49俺は何のために耐えているのか
26:51家族のためか会社のためか
27:02実践訓練となれば
27:04料理人の研修も過酷さを増す
27:0710分以内に
27:0810分内に
27:09はい
27:09お願いします
27:10はい
27:10加藤に課せられた難題
27:1310分以内に4品の料理を作る
27:16いざ店が動き出せば
27:25そんな状況も乗り切らなければならない
27:28加藤もようやく分かり始めていた
27:31自分より10歳下の教官が
27:34腕時計を外さずに
27:35まな板に向き合っていたわけ
27:37お願いします
27:41ようやく3品目
27:46加藤さんもう15分経ってますよ
27:49ああですね
27:49急かされて手元が乱れる
27:544品目に取り掛かった時には
27:59すでに20分が経過していた
28:01パセリが次々に失敗を呼んだ
28:03えーちょっと待ってこれ
28:06ボロボロだった
28:08ソースが崩れました
28:12まずね加藤さん料理どれか味見ました
28:16味見しながら料理作ってくれました
28:18一つぐらい
28:20どれか味見ました
28:22あ、見てないです
28:23うん
28:25当たり前のことですよ
28:26味を見るっていうのは
28:28別に僕加藤さんにお願いしましたけども
28:31加藤さん一人でやれって言ったわけじゃないんですよ
28:33はい
28:33うん
28:34その中で自分がどれくらい仕事を振るかな
28:36っていうのを見させて持ってたんですよ
28:38はい
28:38これ自分やっとくからその間にあれ用意して
28:40これ用意してて
28:41自分が向こう行ったアルバーチャーには
28:42なんで
28:43今度はもう
28:44俺が突きつけられた正論と同じだ
28:47長谷川も硬直していた
28:49いいわっていうレベルで出されると
28:51お客さんはどう思うかですわ
28:53忙しくても
28:55完成度の高い料理を作ろうという意識を持たないと
29:00いつまであっても合格は出せないんですわ
29:03修行を積んだ料理人など必要としない創作料理
29:10それがこなせない俺は何者だと加藤は思う
29:14心の中で何かが邪魔をしていた
29:26職人の意地や理想
29:34それを捨ててまで自分は会社に尽くせるのか
29:38押し黙るばかりの加藤を長谷川が誘った
29:43揃って酒場に足を運ぶのはこれで何度目になるだろう
29:50小林審議所がこなったらソロは俺らはできなかったってこと?
29:57そういうこと言ってませんよ私は
30:00できなかったんだよ
30:01これ今もこのままやって
30:05俺らが3人だけ帰ってソロやったらソロできるか?
30:09できないでしょ?
30:10できますよ
30:11だって今までできなかったんですよ
30:14そのために3人でやってるんじゃないか
30:15今やることに対して兄と俺と加藤さん3人でやることでしょ
30:19怒鳴り合い互いを責めながら懸命にバランスを取ろうとする男たち
30:29けれど誰のために何のために
30:33誰だってふと立ち止まることがあるものだ
30:39これで良いのかと自問していつかそれも忘れて歩き出す
30:46だがあくる日加藤は黙って姿を受けた
30:53いない
30:54お、加藤さん荷物
31:00どこに行ったの?
31:05怒るより先に不安が募る
31:11私たちも思いは同じだった
31:14人一倍包丁を大切にしていた料理人が包丁ケースとともに失踪したのだ
31:33失踪した加藤の携帯電話に私たちは何度も何度もメッセージを入れた
31:45かすれた声で返事が返ってきたのは深夜2時過ぎ
31:48そこはビジネスホテルの一室だった
32:03日本を研修に戻る気はないという一人になりたかったのだと
32:10今ここ小林の事務所に来て
32:16俺はなんか自分は洗脳されたくないんですよ
32:21俺は俺でいたいから
32:23俺は俺のやり方でいたいから
32:26フランチャイズかなんかね、そういうシステムであっても
32:33でも俺は自分なんでポリシーを貫きたいっていうのはすごい強いんですよ
32:41だから2人を置いてどこへ行く気ですか私たちの質問に加藤は答えてくれなかったあくる日東京赤坂小林の事務所では1億円を投じた新規外食チェーンの最終打ち合わせが始まっていた
33:10長谷川たちが任されるはずの第1号店
33:22主なターゲットは若い女性
33:24流行の先端を行くインテリアの中で自慢の創作料理がサービスされる
33:291月の売上目標およそ2000万円
33:33懸念することっていうのは2000万の売上目標っていうのが高いというふうにイメージを持ってらっしゃると思うんですけどもこれ頂上の売上目標では決してないっていうふうに認識していただきたいと思ってるんですよ
33:45幹部たちは現場の葛藤など知る余地もなかったちゃんと話し合った方がいい加藤を長谷川と大山に引き合わせたのは私たちだったことの推移をただ黙って見つめていることが私たちにはできなかった
34:05固い表情の加藤に長谷川が詰め寄る
34:09やるやんないに対してはっきりした結論を出してもらわないと
34:163人のが2人になっちゃうわけですから
34:20会社が変なふうに見えてきたっていうことですか?川上にしろこちらにしろ
34:28またプライドだよね
34:30大山が割り込んだ
34:32プライドだけでしょ?
34:35俺もわかる
34:40そういうプライドみたいにないですか?
34:42あるよ
34:43ただプライド…俺はプライドを捨ててるんじゃなくてプライドを殺してる
34:49自分のために
34:53みんな会社のためならならないって言ってるけど結局は自分のために仕事してないよね
34:59だからプライドは捨ててないぜって
35:01殺さなきゃならないときがある
35:03それだけ
35:07それだけ
35:123人の中で兄貴分
35:14普段寡黙な大山の言葉は重かった
35:19けじめをつける
35:27加藤はそう言って研修をさらに1日休んだ
35:31足を運んだのはかつて自分が本格的な板前修行に励んだ老舗活泡旅館
35:38そこにこれまで折に触れて仕事先を世話してくれた師匠がいた
35:48失礼します
35:5018年前に師匠から譲り受けた包丁を返す
35:56それだけで師匠は加藤の心の内を見抜いた
36:00本当にやりたいのかお前そういう料理
36:04いやあのー
36:06研修してても
36:10わだかまりってありました
36:12あのー
36:14みんなとのか
36:16いやそういうのではなくてあの料理自体が
36:19うん
36:20自分の気持ちの中に
36:22はい
36:23きちんとその整理ができてるかどうかだよ
36:31それはそれで
36:33まあ
36:34本腰を入れてやっていきたいなとは
36:36思ってます
36:38まあ自分が納得してやるんだったらな
36:40これはもう飛びようがねえんだから
36:42はい
36:43あとはやるしかない
36:47加藤が選んだのは
36:49己のプライドを殺す道
36:53じゃあ今日
36:54これで失礼しますね
36:55またオープンの時連絡します
36:57オープンでお願いします
36:58すいませんけども行ったけ
37:02すいません
37:04ありがとうございます
37:06じゃあ頑張れよ
37:07はいありがとうございます
37:09じゃあよろしくお願いします
37:10腕だけでは生き残れない時代ということは
37:14師匠にも分かっている
37:1839歳
37:20雪の降り出した空を見上げることもなく
37:23男は覚悟を決めていた
37:25倒産を経験し別会社に賠償された居酒屋チェーンその1号店が誕生するのは栃木県宇都宮
37:39かつての雰囲気をガラリと様変わりさせオープンを目前にしていた
37:45店は店長の力量以上のものにはならない
37:48それが小林のモットー
37:50余計な話はしないようにな
37:53投資総額1億円余り
37:57店長長谷川の責任は重かった
38:00今一番おいしい状態で運んでほしいって言われてるな
38:05だからどっちが行くじゃあ俺行くじゃなくて
38:07皆さん開店まであと5日その肩にひどく力が入っていた
38:12いらっしゃいませ
38:13何名様でしょうか
38:15新店舗立ち上げのエキスパート浜本が客を演じ
38:19店長の横帯をチェックする
38:22店長こそは店の顔でなければならない
38:2624択4名様ですお願いします
38:29運転代行の方をご案内させていただきます
38:33ご利用する場合係の方にお申し上げください
38:37私たちが見ても長谷川の表情は硬かった
38:41浜本が眉を潜めるのも無理はない
38:46厨房では満席状態を想定した訓練
38:50あの滝口も駆けつけていた
38:58食材を使わない訓練にシビアなコスト意識
39:023人の兄貴分大山はこの店の料理長となる
39:05一時は辞める気でいた加藤が別人のようだった
39:11254名様ほべきです
39:15一方で長谷川は徹底的に試され
39:19クレームをつけた客への対応は万全化
39:22お客さんのところで
39:25お客さんのところで
39:27お客さんのところで
39:29お客さんのお客さんは何かもらえないし
39:31頼んだことは20分経ったけど来ないですよ
39:33手前床の2人のスタッフの方に私も強く指導しておきますので
39:36申し訳ございません
39:38誰か分からないでしょう
39:39最初に32択行った人は32択のドリンクまだ全然来てないんだけど2回3回言われてるんだけどどうなってる?
39:47私が責任を持ってご案内しますんでその間
39:50舞い上がっていた
39:52このままでは先が思いやられる
39:55この日
40:00反省会は深夜に及んだ
40:03浜本の表情は相変わらず険しい
40:07寝踏みするように目の前の長谷川をにらみつけていた
40:11誰にとっても失敗は許されない
40:14僕一番思ったのはバイト以上に店長が
40:18うがいないなっていうのを一番
40:21昨日一緒に最終チェックですよって僕全部一緒に回りましたよね
40:27はい
40:29それ今日ないんですよ
40:31結構店長の指示でアルバイトがパニックになることが今日多かったんですよ
40:35昨日も固いって言われて今日も固いって言われて
40:38フロンドです
40:42ひょっとしたらみんなが言う店の違和感で店長のフロンドの固いかもしれないんですよ
40:49アンバランスって
40:51浜本は準備の状況を地区一本部に伝えている
40:58開店5日前の真夜中あの小林に報告される文面に私たちは息を呑んだ
41:05長谷川店長交代の可能性
41:09ここまでは新しい暮らしについて
41:13P&G
41:15NECとご覧のスポンサーの提供でお送りしました
41:23店長長谷川はすさまじいプレッシャーの中にいた
41:29身を寄せた新会社が立ち上げる外食チェーンの1号店そのオープン当日
41:40あのワインクーラーの前のホコリ綺麗にしとけ
41:46ガラスのところ
41:48長谷川に対する不審などお首にも出さず駆けつけた小林は
41:53八木早に指示を飛ばす
41:56オープンからしばらくはかなりの混雑が予測された
42:01ここは使わない?
42:02使わないです
42:04表は自分一人やぞ
42:05はい
42:06いいか?
42:07はい
42:08これはインカボは?持ってないか?
42:11インカボはつけずに自分がサポートでやるつもり
42:13馬鹿じゃねえかお前ら
42:15はい
42:16全部自分にかかってるんで
42:17はい、わかります
42:18自分がもうやんやんやんってなってしまったら
42:20はい
42:21ぐちゃぐちゃなんで
42:22はい
42:23自信は?
42:24あります
42:25あるな、100%あるか?
42:27今85%です
42:28何のあの15%の不安は何の?
42:30今から気持ち高めるつもりです
42:31高めるつもりです
42:32高めるつもりです
42:33高めるつもりです
42:34お迎えのあれを高めます
42:35午後5時、開店
42:37どうぞ、お足元の方はお気をつけで
42:39どうぞ
42:40金沢500お客様です
42:41どうぞ
42:42いらっしゃいませ
42:44案の定
42:45たちまち店は満席となった
42:48警察様、もう少々お待ちくださいませ
42:49すぐご案内します
42:51どうぞ
42:5223宅500お客様ご案内しました
42:53ご案内しました
42:54ご案内どうぞ
42:57席数209
42:59見込まれる客単価3000円
43:01地方都市に進出したモダンなレストランは
43:04郊外という立地にも関わらず
43:06包丁に滑り出している
43:08中央では大山と加藤が大車輪で料理を作っているに違いない
43:13かつて見せつけられた勝ち組の実力
43:19負け組にいた男たちの努力はこの活況に報われるはずだった
43:25だが、店長長長谷川は狼狽していた
43:28なんでこれ、いつ追加になったの?
43:311名追加?
43:33これ
43:34客の人数が正しく伝わっていない
43:36すでに30分以上注文した料理を待っている客もいる
43:40すいません、申し訳ございません
43:44全然話になってないじゃないですか
43:46店長の混乱は厨房に波及した
44:01オーダーの聞き違い、品数の間違い
44:04パニック状態の厨房でそれでも加藤は必死で腕を振る
44:08料理長大山も焦りを隠している
44:18小林が怒り出すのは時間の問題だ
44:224名分のお茶漬けね、家はそこに買った
44:27そこは遊んでたら何か手伝えよう
44:31ふわっとすら
44:3327、急げ5時間も渡してやる
44:3627、バランス見てやっていけ
44:40バランス見て全部きてんのやろ
44:42はい、失礼します
44:43違うか
44:46頭悪やつだよ、ほんまに
44:48お前らの二人できちんとしなかったら分かんのちゃうんかい
44:522名のお前さんです
44:53はい、11歳ね
44:57はい、大丈夫です
45:01トラブルの大半が長谷川のコントロールミス
45:04オープン初日は混乱のうちに終わった
45:10いいか、俺は大山、加藤、あんたらには心配はないですが
45:16長谷川、はい
45:18人に注意を与えるときには、お前の一番悪いところは、命令苦笑になって、心入ってないです
45:28はい、すみませんでした
45:29うん
45:31中途半端やねん
45:32はい
45:33全部それか
45:34全部、はい、すみません、はい、すみませんか
45:37何回、はい、すみません言うねん
45:39その、はい、すみません、一回言うやつが、バイト離れになっていくで、お前の心から
45:46お前からバイト離れていくぞ
45:49もう始まってんねんで、戦い
45:50あんたとバイトたちの戦いが
45:53あんたと社員の戦いが始まってんねんで、みんな見てんねんで、お前を
45:56人心つかまれへんって、人の心つかまれへんぞ
46:07はい
46:09その戦いを2週間、3週間、あんたと俺していきますからね
46:12はい
46:13お前の人間性、ぐちゃぐちゃにしたいよからな
46:15はい
46:17それでクリアできなかったら、7点抜刀しながらクリアできなかったら、下ろしますから
46:22人の心をわきまえて、人の心の苦しみ、喜び、分かって、言葉を発せられるようにならなかったら、この店を回していかれへんで
46:35それにしても、随分な言い方だと私たちは思った
46:39仕事と関係ない人間性までも否定したりとか
46:43彼らの人生の中で1回たりとも、そんなことまで言われたことはなかったかもしれない、社会に人になってね
46:48ってことを言っていた時に、何でこのおっさんをこんな偉そうな風にして、こういう喋り方すんねんやろって
46:55でも1回、2回続いた時に、魂感じてくれるんだよね
47:00だから、ただの職立不動の恐怖の気を付けじゃないんだ
47:04真剣なんだよ
47:06それがある限りは、付き合っていきたいですよね
47:09開店3日後のことだった
47:14開店3日後のことだった
47:21お前、格好つけるんだ、バーガーの
47:23脱いで、表やね、そっちやね
47:261リンクで働け
47:28分かりました
47:30もう、カメラなんて一切切りそうな
47:33ビシビシ働け
47:34司令塔を務めることができないのなら、配膳係からやり直せ
47:41それでもダメなら、店長を降格
47:44有無を言わさぬ小林の命令に、長谷川は黙って従うしかなかった
47:49よろしいですか?はい、こう言っていただく
47:53新店舗を立ち上げに志願したのは4ヶ月前
47:56今度こそと言い聞かせて、がむしゃらにやってきた
48:01あだとなったのは、つい夢中になってしまう性格か
48:08働いていた会社の倒産、そして嵐のような買収劇
48:13迷わず、組織に踏みとどまったのは、それなりの自信があったから
48:18だが今、長谷川は、よりどころをなくしていた
48:21店長でありながら、賑わう店を離れてビラ配り
48:31屈辱と無念が混じり合う
48:33この半年で体重は17キロ落ちた
48:36単身赴任2年目、アパートに帰り着いたのは、深夜1時過ぎだった
48:52そういえば、野球が得意な長男はスランプを克服したのだろうか
48:58妻は、次男は元気にしているだろうか
49:02父さんも頑張ってるぞ、胸を張って伝えたい
49:06けれど、目の前には乗り越えるべき苦境がある
49:11自分の考えもこうあるっていうのも、やっぱり言っていきたいけど、現実はやっぱり通用しない目も出てきているのかなと、それも感じましたしね
49:25実力主義の時代なんで、その辺をちょっと自分なりにも反省してやらないと
49:3836歳、正念場だった
49:45開店から1カ月、新店舗は目標の売り上げをクリアしていた
49:50この日、小林の事務所では、チェーン展開を狙う社長との間で、早くも
49:55第2号店出店の打ち合わせが行われていた
50:00じゃあその2店舗目は、いつぐらい今の調子が続いたとしたらですね、考えてらっしゃるのかってことです
50:071月にもう1回再計画を立てて、4月からやりたい
50:13新しい風を川上に入れたいんだっていうね、そういう人のチョイスを1回御社の中で厳選していただいて、僕はその人たちと一人一人と面談したいんですよ
50:26で、それを長谷川につけてやりたいんです
50:30長谷川を男にしなきゃあかんでしょ
50:35長谷川を男にしたい
50:38小林の言葉は意外だった
50:40おはよう
50:43昨日も良かったみたいな
50:44はい、ありがとうございます
50:46愚直ながら長谷川は、店の顔としてスタッフの信頼を得始めていた
50:52取り戻した自信をバネに、2号店の総責任者を任せる、それが小林龍の意識改革
50:59立ち上げっていうものに対して、挑戦してみたいか。
51:09挑戦するってことは、今回この店をオープンさせたときよりも、もっと責任が増えて、もっといじめられるで。それに、歯を食いしばったらついてこれるか。
51:23それに、歯を食いしばったらついてこれるか。
51:29ちょっと今の自分の能力ではちょっと無理かなと。
51:41ただ、グジャグジャになってしまうのが、やっぱりちょっと振り返るとちょっと思い出しましたんで、これだと逆にみんなに足引っ張っちゃいますから。
51:50今のポジションで、社長とかみんな浜本さんと指示がいて、展開していければなと思うんですけどね。
52:03自分の店長なんて完璧で自分とは思ってますし、自分はお店の店長とあれとお客さんを迎えして社長に感動を与えるように、それだけ毎日日々。
52:13長谷川が、2号店の立ち上げをやりたいんです、やりますって言ったとしたら、俺、お前殴ってたかもしれないんですよ。
52:21はい。
52:22会社をおもちゃにすなって。
52:26うん。
52:27でもお前は勇気を持って、今は自分にはそれはできへんかもしれへんって言ったわけよ。
52:32はい。
52:33会社の命令で選ばれたものになって、大阪に研修に入った。
52:42はい。
52:43その時の覚悟、緊張感、恐怖と、今2号店目の立ち上げしなさいって言った時の緊張感、覚悟、恐怖、一緒じゃねえよな。
52:59すいません。
53:02なあ。
53:03それが経験ってことで。
53:07歯を食いしばってもう一回頑張ることや。
53:10はい。
53:12はい。
53:13はい。
53:14走り続けることを求める勝ち組の論理。
53:21さらなる店の立ち上げにも、さまざまな困難が待ち受けているに違いない。
53:30それを思って長谷川は震えた。
53:34今年2月、外食産業に新しいチェーン展開で参入を図ろうとする会社の内部では、第2号店の事業計画会議が行われていた。
53:49中心にいたのは長谷川。1号店で店長を務め、2号店では立ち上げの創設人者。
53:59一度は倒産した組織に踏みとどまった男が、修羅場を乗り越えて地震に満ちていた。
54:06ある者はそれを意識改革の成果と呼ぶ。
54:11またある者は洗脳されたのだと笑うかもしれない。
54:16みんなには店長ちょっといっぱいいっぱいになってるよね。
54:19なんかいろいろ自分のできないのを吸い取ってもらったり、フォローしてもらったり、やっぱりこれみんなの力なんですね。
54:24自分だけ頑張ってもダメですから、みんなから力をもらって、みんなで協力してやればパッといけるなっていうのは、ここ2月になってやっと感じました。
54:35まだまだ長谷川君自身はもっと勉強しなければいけないものもたくさんあるけど、反対に長谷川だから乗り切ってきたよねと。
54:44そして一番大事なことは、長谷川さんが店長なんだから私ら頑張りますって言ってた現場のスタッフがいたということがですね、
54:54やっぱりこの子の人間にっていうんですか、料理じゃないスペースじゃないんだと、オペレーションが素敵なんだと言えるようなですね、店作りというのは長谷川君をきっとにやっていただきたいんだと。
55:34負け組から勝ち組へ。生まれ変わったのは長谷川だけではない。
55:412号店の料理長を任されることになったあの加藤が、腕時計をして部下を指導していた。
55:49味見は?
55:52もうずっと過ぎてるよ。
55:56大丈夫?
55:58兄貴分大山は、チェーン全体の総料理長に就任。
56:05大根サラダ、高梨チャーハン各一丁です。
56:08追加です。
56:10人を変えることで組織を変え、生まれ落ちる店を繁盛店に仕立て上げる、魔法ですねと投げかけた私たちに、小林は真顔で答えた。
56:24私が変えたんじゃない。彼らが変わったから店も変わったんです。
56:31困難に立ち向かう長谷川が、息子2人とキャッチボールを楽しめる休日は、まだ遠そうだ。
56:43外食産業の風雲寺の講演会には、今も日本中から多くのものが駆けつける。
56:50これからは激動の時代にどう引き残っていくのかっていうことを考えるべきだと思うんですよ。
56:56そういうようなことを今、提案一生懸命しています。
56:59飲食業界に限らず、父さんやリストラという言葉が決して人事ではなくなった今、誰もが確かなものを探していた。
57:12誰もが成功の方程式を求めていた。
57:19取材200日。
57:21時代の荒波に翻弄される男たちの姿を見つめて、私たちは思う。
57:27勝ち組を支えているのは、人と人とがぶつかり合うことで生まれる強固な絆なのかもしれない。
57:36男たちを挑発した言葉が耳について離れない。
57:41お前ら、死ぬ気で頑張ってそのざまか。
57:46ご視聴ありがとうございました。
57:47ご視聴ありがとうございました。
57:49ご視聴ありがとうございました。
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